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「第 74-05 章」 |
『子育ちは そうかと分かり 賢くに』
■子育ち12独語■
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『子育ち第5独語』
【そうか?】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。
この第74版では,第73版の続編として,「子育ち」をしている子どもたちが,育ちの最中に心でつぶやき続けている言葉に寄り添って考えてみようと思っています。育ちたいという思いを12の指標になぞらえてみることで,子どもたちにしっかりと寄り添うことができるはずです。それによって,子育てをしている大人の願いが子どもにきちんと伝わっていくことでしょう。子どもの自然に発露する独り言という新たな12の指標盤を楽しんでください。
《そうか?》
歩き出して倒れた幼児は,ワーッと泣き出すだけです。走り回っている児童が転けて膝を打ったら,「痛〜い」と叫びます。自分の思いや心情,状況を言葉で表現できると落ち着きます。気になる相手がいて気持ちが浮つくとき,それが「恋」であると知ると,そうかと心が納得します。言葉を覚えていくと,もう一人の自分が自分を理解することができます。何と言えばいいのか分からないというもどかしさに,適切な言葉との出会いが重なると,そうかという感動によって,記憶にすり込まれていきます。
子どもの好奇心は,疑問を生み出します。見上げると白いものがふわふわと浮かんでいます。あれは何? 雲だよ。そうか,雲って言うのか。向こうから何かが走り寄ってきます。怖い,あれは何? 「犬」だよ。怖くないの? いっしょに遊ぼうって言ってるよ。自分の身の周りのことを細々と言葉にする度に,そうかという理解が膨らんでいきます。すごーいという言葉しか知らないと,何がすごいのか,どうすごいのか,なぜすごいのか,中身の納得が進みません。言葉の豊かさを目指しましょう。
親として,子どもが「そうか」という思いを育ちに組み込んでいけるためには,どのように関わっていけばいいのでしょう。生活のあちこちに子どもを関わらせて,その経験に関わる言葉をきちんと話しかけてやることです。言葉を使えることが頭の良さの基本です。ただ単におしゃべりであるよりも,本を読むことを楽しみにする方が,もう一人の子どもにとってはよいでしょう。さらには,きちんとお話ができるようになる訓練として,親はしっかりと子どもの言葉を受け止めてやりましょう。
先週から心愛さんに関する大人たちの不都合な対応が続報されています。秘密にするから安心して書くようにといういじめアンケートを,加害者である父親に見せてしまうという裏切りがあったようです。児相の保護から家庭に帰した後の見守りもしていなかったという不手際もあったようです。「先生,どうにかできませんか」という精一杯のアピールを,大人たちが受け止めただけで,受け入れていなかったようです。制度という枠の中だけでは,子どもを守り切れないのかと悲しく思います。
★落書き★
あみだくじは,平行に線を引いてくじ引きをします。かつては放射状に線を書いて,くじを引いていました。その放射状の形が,阿弥陀仏の後光に似ていたところから,阿弥陀の光と言われていました。そこから,阿弥陀くじに変化しました。阿弥陀仏を見たことがないと,頭の後ろに放射状の後光を表す飾りを思い浮かべることもなく,阿弥陀くじという言葉も「そうか」という感慨を引き寄せることもないはずです。どこか阿弥陀仏の前で,改めて説明をしてやって下さい。
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