*** 子育ち12章 ***
 

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「第 74-06 章」


『子育ちは 思いを向けて 伝わりに』


■子育ち12独語■

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『子育ち第6独語』

【つたわった?】

《まえがき》
 この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。
 この第74版では,第73版の続編として,「子育ち」をしている子どもたちが,育ちの最中に心でつぶやき続けている言葉に寄り添って考えてみようと思っています。育ちたいという思いを12の指標になぞらえてみることで,子どもたちにしっかりと寄り添うことができるはずです。それによって,子育てをしている大人の願いが子どもにきちんと伝わっていくことでしょう。子どもの自然に発露する独り言という新たな12の指標盤を楽しんでください。

《つたわった?》
 野田市の小4年女子児童が発した「先生,どうにかできませんか」というメッセージが,先生からどこまで伝わったのでしょうか。伝わりきれずに,理不尽な終わりを招いてしまったのは,悔しい事です。聞く耳を持たない相手に伝える事の困難さがありますが,ギリギリのところで守ってやる事は出来たのではと,思わなければならないでしょう。忘れていた事は,女子児童の願いがしっかりと伝わっているということを,折り返し伝わるようにしてやる事でした。子どもから目を離した事で,伝わらなくなりました。

 情報社会の中で育っている子どもたちは情報発信には慣れていますが,スマホで生の思いをあからさまに吐露しています。ネットの場での無神経な発信がいじめになっている状況は,大人の目に入りにくくなっています。子どもの言葉遣いの未熟さが,大人たちに伝わっていません。日常的にも,親子の言葉がすれ違っているかもしれません。いくら言っても聞かないんだから! それは伝えたけど伝わっていないという状況なのです。伝わるように言わなければ。基本は相手を想定して言葉を選んで丁寧に届けることです。

 親として,子どもが「つたわった」という思いを育ちに組み込んでいけるためには,どのように関わっていけばいいのでしょう。普段の言語生活で,子どもの単語放言を文章語りに矯正することです。「お腹空いた」という子どもの放言を聞き届けるのを止めて,「何か食べるものが欲しい」という思いを文章で語るように仕向けます。ちゃんとした話し方とは,相手に向けて言葉をつないだ文章をお届けすることです。私に向かって話しなさいという姿勢です。もちろん,家族皆がお互い様ですよ。



 性犯罪の背景に,女性がイヤと言わなかったのは,了解したということという男性の勝手な思い込みがあると指摘されます。イヤと言えない状況に追い詰めているという認識がありません。了解したというのはイエスという言葉が出たときであるという簡単な理解ができないと,伝わるべきことが伝わらない不幸を招きます。伝わらないという状況は,伝える方だけではなく,伝えられる方の無理解による場合もあります。自分勝手な聴き方をしていないか,迂闊なままでいると,取り返しがつかないことになります。

★落書き★

 くす玉は,もともと端午の節句に飾られた飾り物の一つでした。漢字では「薬玉」と書くように,もとは中に薬草を入れ,健康と長寿を願うためのもので,平安時代から主に贈答品として用いられていたそうです。今はお薬を入れることができないので,紙吹雪や垂れ幕を巻き込んで,パッと広げてみせる式典アイテムに変化しています。薬玉という名前から伝わってくるものと実際が違ってしまい,伝わらない言葉になっています。それを否定して消し去るのではなく,残していくのも一興です。


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