*** 子育ち12章 ***
 

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「第 80-06 章」


『子育ちは 言葉交わして 知恵貯まる』


■子育ち12進路■

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『子育ち第6進路』

【話すから,知恵を生かします!】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問題視座です。また,2つの領域とは,自分の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が羅針盤の基本的な考察の構成となります。
 この第80版では,子どもたちが育ちに向っていく上でより望ましい向きに育ちの歩みを踏み出す契機について考えてみます。ただ闇雲に育てばいいのではなく,育つべき道に沿って育っていくことができるように,親が子どもを12の指標に向かう出発点に導いてやることができるはずです。心豊かな子に育ってという親の願いに対して,子どもは自分はどうすればいいのと問いかけています。それなりに指導や助言をすることになりますが,それだけで十分か,他にしておくことはなかったかと迷うことがあります。全体を見渡す指標として参考にしてください。

《話せる!》
 自分の側の事情だけではなく,話している相手から被せられる言葉も,大きな意味を持っています。例えてみましょう。「白い犬がいた」と話します。相手から「どれくらいの大きさだった?」と尋ねられます。話している方は分かっていますが,聞く方は分からないからです。大きさを伝えるのに,どう言えばいいのでしょう? 「小さな犬だ」と言っても,伝わりません。人によって小さいという大きさはまちまちだからです。

 「猫より一回り大きいぐらい」と言えば,伝わります。相手と共通にイメージできる大きさとして,猫を持ち出したことが大事です。自分しか知らないものでは役に立ちません。あるいは,背丈が20センチぐらいという言い方ができれば,もっとはっきりしてきます。こうしたやりとりをして細部の確認が進んでいくと,ただ白い犬でしかなかったイメージが詳細に描かれていきます。人の考えとは言葉を使って構成されるものなので,考えが研ぎ澄まされ練り上げられていくことになります。

《知恵を生かす!》
 聞き分ける,見分ける,分かりが早い,と並べてくると,なんとなく見えてくるものがあります。「分ける」ことが「分かる」ことであるということです。最も基本的な分け方は,言葉で分けていくものです。大根,ネギ,ゴボウ,・・・と野菜を分けます。山や川や池と風景を分けていきます。人には男と女がいて,大人と子どもがいます。血液型という区分けもありました。喜怒哀楽と気持ちを分けていますし,生老病死と苦を分けています。分かろうとするからです。

 分けることは違いを見つけるということでもあります。真偽,善悪,美醜という違いを弁える知恵を,子どもには持たせたいですね。悪ふざけをちょっとぐらいならとか,皆がしているからと躊躇なく踏み出すけじめの無さは,違いを曖昧にしていることになります。生活のリズムも,ダラダラするのではなく,きちっとここからは○○をするという時間の区分ができるようにすればいいのです。片付けも分けて整理することです。また,子どもは名前という固有の言葉を覚えることで,自己と他者を意識化することができます。誰かがいるというのではなく,○○ちゃんがいると名前で認識するとき,お友達という関係が成り立ちます。


 今年は変則的な夏休みになりました。国中のお盆休みもいつもとは違っていることでしょう。ご家庭の暮らしもどう過ごしてよいのか,思案に悩まれておられるのではないでしょうか。家庭は密でなければ成り立ちません。だからこそ信頼が育まれます。ウイルスとの密を避けながら,人との密は失わない,その実現のためには衛生的な知恵を繰り出していくしかありません。清潔な過ごし方がしばらくは続きそうです。盛夏の頃です。ご自愛ください。

★落書き★

 きょうだいがいるとドタバタと動き回るので,「温和しくしなさい」という声がかかります。静かで,穏やかで,落ち着いているという意味で使います。さらに,従順な人や落ち着きのある着物の柄や色にもオトナシイを使います。このオトナシの語源は「大人+シ」です。成人には使われなかった言葉です。聞き分けのない乱暴な子どもが,大人のように物わかりがよく温順な場合に,大人ラシイ,大人シと使っていたようです。子どもに向けて使ってよい言葉だったということです。


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