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「第 82-09 章」 |
『子育ちは 誠に向けて ひたすらに』
■子育て12心育■
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『子育て第9心育』
【子どもが誠実でいる心を育てましょう!】
《まえがき(毎号掲載)》
子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問題視座です。また,2つの領域とは,自分の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が羅針盤の基本的な考察の構成となります。
この第82版では,子どもたちの心の育ちがどのようなものかを,総括しておきます。つい日常の子育てに向き合っていると見逃しがちな目標を,再確認していただければと思っています。子育てという山道を歩んでいくとき,目の前だけを見ていないで,たまには目を転じて向かっている頂を確かめておくことが迷わないために必要なことです。何となく成るように育てればいいというのではなく,あるべき育ちに沿っていくことができるように,親は子どもの育ちを見守りつつ支えてやらなければなりません。心豊かな子に育ってほしいという親の熱い願いが時として過剰に子どもに向けられることがあります。子どもは今の自分ではどうすればいいのと問いかけています。子どもの育ちのペースに寄り添った親の支援になるために,親は自分の子育てを検証することが必要です。今すべきことか,相応しい程度か,順序に沿っているか,子どもの育ちを見極めて,それなりに指導や助言をすることになります。子育ての全体を見渡したポイントになる12の指標を参考にしてください。
《誠実にさせる》
誠実であるためには,例えば,嘘をつかないといったことがあります。自身のことで一度嘘をつくと,必ず嘘を重ねることになり,身動きできなくなります。人を巻き込んだ嘘は,いずれ必ず暴かれてしまいます。人の噂話も,気をつけていないと,知らないうちに嘘を交えて面白くしようという誘惑に負けてしまいます。それが講じると,いじめにつながっていきます。あるいは,わがままが過ぎてトラブルになりかけたら,ごめんなさいという言葉が出れば,お互いに傷つかずに済みます。誠実とは,自分と同じに相手を大事にすることです。
《直面させる》
手伝いを頼むと,嫌な顔をします。それには気付かないふりをして,とにかくやらせます。した後のフォローが大事です。してもらったら,必ず笑顔でありがとうを言って,労をねぎらいます。それで終わりではありません。後で,団らんの際などに,○○ちゃんが手伝ってくれたのでとても助かった,と家族に紹介します。嫌々したのに喜んでもらえた,自分のしたことが認められたという経験に直面していくと,やがて嫌々という気持ちが薄れていきます。誠実な手伝いに変わっていきます。誠実とは,人の喜びを我が喜びとすることです。
《共感させる》
赤ちゃんはいろんな表情をします。そのうち,ある表情をすると,皆が喜んでくれることを知り,笑顔を覚えていきます。子どもは自分の行動のあり方を,周りの反応によって確認しながら整えていきます。テレビで育つ子どもは,テレビからの反応がないので,表情が鈍くなり,行動の洗練がなされにくくなります。家族が笑っていると,訳も分からず笑顔になるように,人の中で共感し合うことで,お互いの温もりを作り出す術を身につけていきます。自分だけの世界には,誠実さは必要ありません。私たちという世界を知ったとき,子どもは誠実になっていきます。
《共生感が育つ》
誠実さには誠実さで応えるのが自然です。たまには,不誠実さで返されることもありますが,その時は付き合いリストから外すのが凡人の知恵です。あくまでも誠実さを押し通す寛大な意志は後に残しておけばいいでしょう。誠実さを軸に行動をしていれば,堂々と表の世界で生きていくことができます。誠実さを失うと,人の目が怖くなり,コソコソとしたり,ふてくされたり,気持ちがささくれ立っていきます。社会を成り立たせているのは誠実さの交換という信頼です。その信頼が共に生きる喜びを産み出しているのです。生きていてよかった,その喜びは孤独にはあり得ません。
子どもは無条件であるはずの愛を求めて親に話しかけても,親の反応が期待を持ちだしたダメ出しになると,反発するしかありません。子どもの話に耳を傾ける際には,子どもの主張や感情に善悪の判断を加えることをせずに受け止めることです。ただ聞くべきだという思いを強く持ちすぎると,親の方がきつくなってきます。そのときは,隣のおじさんおばさんの立場に成り代わってみましょう。隣の子どもの話を聞いていると思い込むのです。将来のことや期待抜きに,今の子どもに優しく向き合うことができるでしょう。
★落書き★
年若い娘さんをオトメといいます。オトメは「乙女」とも書きます。歴史的なかな遣いでは「をとめ」で,語源は「ヲト(若い)+メ(女)」です。現代仮名遣いでのオトは,エ(兄)に対する言葉で「若い」意です。干支をエトといいますが,兄弟(エト)のことです。ひのえ(丙)は火の兄,ひのと(丁)は火の弟のことです。乙姫,弟橘姫,同じ語源です。オトウトは兄に対して若いという意味です。小さくて若いゆえに,可愛く美しい女性が乙女なのです。
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