*** 子育ち12章 ***
 

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「第 89-01 章」


『子育ちは 自分に寄り添う もう一人』


■子育ち12情動■

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『子育ち第1情動』

【自己情動!】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第89版では,情動知能について触れてみるつもりです。内省的知能と対人的知能,つまり自分自身を見つめる知能と,人と人との間の関わりに関する知能に分けられています。この羅針盤で考えている「私の育ち」と「私たちの育ち」に対応しています。人としての育ちの全体的なイメージを構成できる助けになればと願っています。

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《自己洞察》
 何はともあれ,自分をしっかりと意識しておく必要があります。私は何者であるのか,その自意識を持つことが生きていく上で大事なことです。そのためには,自分に寄り添う立場にいる"もう一人の自分"が自分を見つめていなければなりません。具体的にはどういうことかといえば,自分のことを名前で呼ぶことができるとき,もう一人の子どもが生まれたということができます。この子育て羅針盤は,子育ちとはこのもう一人の子どもの誕生と育ちであるとみなして,お話しを進めていきます。

○お子さんは,自分が思っていることや感じていることが分かっていますか?

 鏡に映っている自分の姿を,自分であると認識することができる"もう一人の自分"が生まれたときに,人としての成長が始まります。親離れをするということは,親べったりの一体感を卒業して,親と自分は違う存在であると思うもう一人の自分の誕生に相当します。今自分はお腹が空いていると感じて食べ物をねだること,尿意を催したのでトイレに行くことなどをはじめとして,もう一人の自分が自分に寄り添っていることが,自分らしさの源です。

○お子さんは,自分の気持ちが変化することが分かっていますか?

 朝目が覚めて起きようとするとき,寒いから嫌だなという思いがある一方で,起きなくてはいけないんだというもう一人の自分の説得に応じることが望ましい状況となります。気持ちが激しく揺れ動くと我を忘れますが,それはもう一人の自分が消されているということです。もう一人の自分はいつも自分に寄り添って,自分をより良く生かそうと自分に言い聞かせるようになることが,子育ちです。

○お子さんは,今の自分の気持ちを言葉で表すことができていますか?

 自分ともう一人の自分の間をつなぐコミュニケーションツールは言葉です。通常,言葉は人と人とをつなぐツールであり,子どもに対して,「きちんと言わなければ分からないでしょ」という言葉が出てくることがあります。しかし,言葉は自分ともう一人の自分との対話のツールでもあるのです。自分の気持ちや思いを分かるのはもう一人の自分であり,もう一人の自分と自分の間に伝達手段がなければ不可能です。そのために,モノの名前といった具象言語の他に,喜怒哀楽などの気持ちを表す抽象言語の取得が不可欠です。



 この版では,お子さんの状態に関してお尋ねするという質問形式にしています。子育ちを見守る尺度と考えてご利用ください。説明は別にして,質問している内容そのものについては,筆者の思いつきなどではなく,大学の紀要に掲載されている論文を参照していますので,それなりの検証を経たものです。お役に立つはずです。

★落書き★

 分娩の娩という文字は,女偏に免と書きます。この免は女性が股を開いて出産するさまを表した象形文字です。子どもを産む感じが現れていますが,やがて分娩の意味が薄くなって,努力という意味が強くなってきました。勉強の勉も,同じ仲間です。女性がいきむときより,さらに力を込めて行うのが勉というわけです。勉強するためには,相当の覚悟が必要なのです。

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