*** 子育ち12章 ***
 

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「第 91-09 章」


『子育ちは 生きる自分を 確かめる』


■子育ち12反転■

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『子育ち第9反転』

【庇護と阻害】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第91版では,子育てと子育ちが反発してしまう心配をを考えておきます。子どものためを思って良かれと作用をしても,子どもからは良くない関わりになってしまうということです。親はしつけのつもりで関わっていても,子どもからは虐待となっていることがあると言われるようなことです。保護するのが親の務めですが,過ぎると過保護となって,育ちを疎外してしまいます。どんな点に注意をすればいいのか,羅針盤の12の視座から考えてみましょう。

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《庇護》
 夏の暑さは嫌なものですが,「暑い」といえば,「夏は暑いに決まっている」と父親に叱られたものです。子どもの健康調査によると,汗をかくことができない子どもが増えているそうです。生まれてから空調された環境の中で育っているので,暑さに対する冷却機能である発汗の機能が封印されているのです。汗をかくことができないので,体温の調整ができず,発熱してしまいます。子どものためにと暑さ寒さから庇護していることが,暑さ寒さに対処する身体機能の開発・発達を阻害していることになります。
 育ちとは,可能性の開花です。備わっている能力を使わせることで,目覚めさせなければなりません。汗をかいて冷却する機能,寒さに鳥肌だって熱を逃がさない機能,それは練習することで上手になります。その他の生きる機能,特に衣食住環境への適応力も,同じです。快適な環境,美味しいものだけを好きこのむという育ちをさせる庇護は,芽生えるべき育ちを阻害していると早く気付いて欲しいものです。もちろん,子どもを放っておくということではないことは当然です。

《阻害》
 あっちに行って勉強しなさい。余計なことはしなくていいの! 子どもは子どものやるべきことに専念できるように,気配りしてちゃんと庇護しています。子どもは親のすることを見て真似をすることで生きることを学んでいくものです。追いやられたら,生きることがどういうことであるか体験できません。生きていくことについては何一つ知らないままという状況に阻害されます。例えば,日々の食事に込められている調理者の気配りに気付くことができないから,食べ物を粗末にしても心が痛まない若者になっていきます。
 暮らしに関わることを「余計なこと」と切り離す言葉が,生きている実感を子どもから奪い去ります。「何のために勉強するの?」という疑問を抱くのは,勉強が机上の空論になっているからです。字を覚えたら,本が読めるようになった。社会の仕組みを勉強したら,さまざまな食材がどうして冷蔵庫に入っているのかが分かった。計算の仕方を勉強したら,お小遣いを上手に使えるようになった。暮らしにつながっていれば,勉強に疑問を持つはずはありません。勉強だけという庇護は,生きる勉強を阻害しているのです。



 社会的な活動をしている団体の代表が集まって会合をしているときです。前向きな話が進んで,各団体がどのように取り組むかという意見が交わされていきます。PTA団体の代表から「忙しくて,今でもやりきれていないので無理」といった否定的な声が出てきました。代表という役職を「嫌々仕方なくやらされている」という思いがあるのでしょうが,自分が引き受けた公的な役柄を個人の気持ちでないがしろにしている印象です。私情に流されず,やるべきことをきちんとやり遂げる覚悟,それを示すのがお父さんの役目なのですが?

★落書き★

 このところおかしな犯罪が起こっていて,「確信犯」という言葉を耳にすることがあります。「そうなるだろうと分かっていながらされる行為」を指すと思っている人が6割だそうですが,実は違います。確信犯とは,自分が行うことは良心に照らし合わせて正しく,社会や政府の命令,議員の立法こそが間違っている」と信じて行う犯罪のことです。自分の考えが正しいと確信を持って法を犯すことです。自分は正しいと思うことは大切ですが,思い込まないように余裕を持つことも大事です。

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