*** 子育ち12章 ***
 

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「第 93-05 章」


『子育ちは 言葉を選び 分かり合う』


■子育ち12志向■

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『子育ち第5志向』

【言語で表現しよう! 共感思考】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第93版では,こどもが幸せに生きる力を目指すとはどういうことかを考えておきます。こどもには幸せであってほしいと願いますし,幸せに生きていくことができるように育ってほしいものです。何となく育っているのではなく,生きる喜びを身につけて欲しいのです。これまでの羅針盤がどこを目指しているのか、それは幸せに生きることであるということを確認しておきたいと思います。

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《言語で表現できる》
 話が単語だけの叫びになっています。短縮語があふれて、意味が薄れて,記号が飛び交います。単語,それも特殊な単語が通用するのは,狭いグループ内だけです。ということは,人間関係が狭く,複雑な情報は必要がありません。子どもたちのクラスでは,掃除の際に,「箒」「雑巾」という単語が叫ばれます。「取って下さい」「貸して下さい」というつながりを表す言葉が消滅しています。自己主張すれば通じるという錯覚に嵌まります。意思を伝えることの手抜きは,心の中で他者の存在をないがしろにします。
 家庭で,父親が「新聞」と言っているのを聞いています。「新聞がどうかしましたか」という無言の問に答えていません。単語には,つながりの働きかけが欠落しています。自分本意な単語は,伝達の形が不備なために,誰も受取ろうとはしないでしょう。相手に向けて伝えようとしている意思を表明するのは文章です。言葉遣いを叱るときに「誰に向かって言っている」と問責されるのは,「あなた」に伝えようとする気持ちと言葉の適切な配置が求められるからです。ポイ捨てにされる台詞は,伝わる表現ではないのです。

《共感思考》
 悪口を言った,言わないが元で喧嘩になり,時には命が失われる事態が起こってしまいます。コミュニケーション不全のせいです。ある文化人類学者が,人は友好的関係を作り出すために「言葉」を発明したのでは?と語っていました。「俺はお前を殺さない」という意思表示として,お辞儀,握手が生まれ,敵意が無いという表現として定着しました。人の心は,他者の声,言葉によって満たされるものでもあるのですが。現実には言葉が通じていません。「お腹が空いた!」ではなく「お腹が空いたね!」と語りかけましょう。
 言葉に触れ合わないでいると,心は乾き,容易に殺意を育てるようになります。例えば,電話が長い,肩が触れた,面を切ったといった程度の言いがかりが引金になります。友好的な言葉の交流は,他者を自分と対等に意識することが条件になります。例えば,「叩く」という能動的言葉と対になる「叩かれる」という受動的言葉を知っていると,叩かれる相手のことに思いが及びやすくなります。お互い様という関係を実感すれば,共感という方向に向けた思考をすることが可能になります。言葉は人をつなぐためにあるのです。



 情報社会では,視聴覚が偏重されます。それは第三者の感覚でしかありません。当事者意識が欠落するという弱点があります。いわゆる,やじ馬感覚のレベルです。「見た,聞いた」というのは間接経験であり,他人の経験を伝達しているだけです。一方で,ネット情報に浸っていると,生々しさを敬遠するようになり,本音を冗談化して,自分を汚さないように疲れないように隔離する癖がついてきます。何かを問われたとき,「別に,一応」といった曖昧な表現で,自分を宙ぶらりんな立場に待避するようになります。借り物ではない,自分の言葉を持つためには,「したことがある」という直接体験が必要です。見た聞いたことは疑似体験であり,それは他人の汗にまみれていることを忘れないことです。

★落書き★

 ドアを開けてあげるなど,女性を一番にサービスするのが,レディーファーストです。元々はヨーロッパの上流階級に属する淑女が身につけるべきマナーで,今とは真逆だったそうです。ホールへは男性より先に入場し,男性を出迎える。扉や門は男性より先に抜けて,安全を確保する。食堂では男性より先に着席し,男性を出迎え,待たせない。食事は男性より先に終わらせて退出し,男性の食後の談話に加わらない。つまり,何事も女性が先に立って行い,男性をもてなすことだったのです。今では男性がすることに変わってしまいました。

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