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「第 97-07 章」 |
『子育ちは 自由な自分 生かすため』
■子育ち12鍵語■
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『子育ち第7鍵語』
【権利・自由】
《まえがき(毎号掲載)》
子育て羅針盤では,こどもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
この第97版でも,これまでの流れに沿って,子ども自身や親が育ちの確認をしていくときに,思考を開く鍵となる語を使って育ちの状況を展望していきます。今現在それぞれの育ちの度合いに違いがあってもそれは個性になり,達成度の評価ができるなら,幸せに育っていると考えることができます。子どもの育ちは見えにくいものですが,羅針盤としての全方位を見届けることができることを再確認していただけたらと思っています。
《権利・自由とは?》
権利と自由はそれぞれ次元を異にする言葉です。それでも,権利を守る,自由を守る,権利を主張する,自由を主張する,のように,共に似た扱いをされます。人は自由であるという権利を持っているとつなげば,関連が出てきます。暮らしの中で,人が生きていく上で拠り所にする価値基準があります。個人の尊厳を想定し,個人の自由を優先しようという了解がなされています。その了解を保証する仕組みとして,権利という概念を創造しました。権利は侵されないのです。
どのようなことをどのようにしようと,それは個人の自由の権利に任されています。自分の願いを実現するために,もう一人の自分が考えたり,しようとしたりすることは,一般には誰の許しも入りません。このような自由な社会の中で育っていく子どもたちも,自由に考え行動することが当たり前になっていきます。ただ,子どもについてはすべてに自由というわけにはいかず,親の許しという危険回避の手順も,それなりに必要となります。自由には責任が伴っているからです。
ありのままでいい。その言葉が流行りました。子どもを自由にしていいと解放すると,何をどうしてよいか分からず,迷いの中に立ち止まるようです。自分が何をすればいいのか,したいのか,もうひとりの子どもが分かっていないということです。なんとなくしようと思っても,それでいいのかという確信もありません。そのような子どもたちが,ありのままでいいという言葉に,背中を押して貰えるような感じを得たのでしょう。自由であること,そういう権利があるということ,その生きていく基準を学んでいきます。
権利を主張するという行為は,大方の人には好まれていないようです。いわゆる,モンスターと呼ばれる人が現れています。子育ての世界では,モンスターペアレントが注目されましたが,モンスターペイシェントなど,各方面に拡大しています。最近はパワハラやカスハラに衣替えしています。権利の理解が不適当なためですが,権利という考え方それ自体が日本的な体質とは対立するようです。私たちの馴染んだ価値基準として,別のものが用いられているということです。権利をことさらに主張しなければならないような社会は,日本の社会らしくないということです。
★落書き★
和菓子に使われている葉は,本来香付けや保存性を高めるために使用されているため,厳密には食用を目的にしていないのですが,柏餅の葉と違い,桜餅の葉は食べることができるようです。桜餅は,江戸向島の長命寺の門番である山本新六が作ったと伝えられています。享保の頃,隅田川の堤にたくさんの桜の葉が落ちているのを見て,何かに利用できないかと頭を巡らせ考えたようです。ほのかに桜の香るお菓子は花見客に大評判を呼んで,江戸を代表する和菓子になりました。
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