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子育て心温計の全体図は別図に示すとおりです。ここでは枚数の制限のために,心温計の目盛りの意味を健全育成の部に限定して概観しておくことにします。
【3.1】子育て心温計の読み方
この子育て心温計についての全体的な説明をしておきます。
(1)この心温計は下から上に向かって読めば,成長の高い段階に進みます。
(2)この心温計の目盛りは,中央部の番号付けした質問文です。九つの目盛り,つまり判定の基準があります。これは同時に上位の段階への必要条件であり,さらに下位の段階の十分条件でもあります。
(3)矢印の先の語句は「状態」を表す言葉です。人間の心情の様式を示しています。例えば〈無法状態〉とか〈自立状態〉と呼びます。
(4)右側は健全な成長状態を示してあります。援助法は親が子どもに対して差し伸べる助けの様式を表してあります。最右端の発達例は人の一生の各年代で到達できているはずの目安を概略的に表しています。もちろん子どもであっても一時的にはより高次な状態に達することもありますし,逆に大人でも場合によっては低次な状態に陥ることがあります。状況によって体温が違うように,この心温計もその場に依存して変わり得ます。発達例は平熱例と考えて下さい。
(5)左側は不健全な成長状態を示してあります。治療法は子どもがその状態にはまりこんだときに親がなすべき治療の方法を表しています。
(6)成長の段階を測る場合には,下から目盛りを見ていきます。例えば,[@他人の権利を犯さないか]という基準(目盛り)に反した場合,成長矢印は跳ね返って〈無法状態〉に入り込みます。基準に合格しますと目盛りを通過します。通過した矢印は〈孤立状態〉か〈孤独状態〉のどちらかに飛び込みます。どちらに飛び込むかはそこで抱いている心情方向(体験の質)に依ります。正しい心情を育んでいないと左側の〈孤立状態〉の方に入ってしまいます。〈孤立状態〉か〈孤独状態〉のどちらに入っているかは,次の基準(目盛り)である[B自分は他人と比べ同じか]を満足するか否かに依ってしか分かりません。満足していれば〈孤独状態〉,満足していなければ〈孤立状態〉であるということになります。このようにそれぞれの状態は上下の二つの基準によって判定されるようになっています。これが必要条件と十分条件ということの意味です。
(7)矢印が示していますように,健全な状態(右側)はその個々の状態の中で成熟すれば次の基準(目盛り)に向かって成長することができます。一方で発育不良な状態(左側)は穴蔵に落ち込んでしまうようなもので,入るだけで出口がありません。この状態に入ったままで放置されますと自分の力だけでは成長できなくなり,立ち枯れてしまいます。親の治療という梯子をかけてやることで健全な状態に脱出できるようにしてやらなければなりません。しかし早い時期に症状に気づかないと子どもが自力で梯子も上れなくなってしまいます。幼いときは親が抱えて救い出せますが,大きくなるまで放置すると親の手に余り専門の救助活動(カウンセリング)を要します。
(8)この子育て心温計で読みとって頂きたいことは,子どもの行動の奥にある心情です。表面的な行動に親が振り回されて行動だけを矯正しようとしても,子どもは受け付けません。私たち親はまず子どもの気持ちを正しく診断しなければ,子育てはうまくいきません。そこでこの心温計には,行動例・特徴・心情を例示しておきました。心温計を見るときの診断の目安として使って下さい。
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