《第2章 子育て心温計の誕生》

【2.6】子育て心温計の細胞分裂?

 私たちの心の中では道徳上の相対する二つの価値,善と悪とが融合しています。漫画などでときどき目にするように,心の中に純真な天使と邪悪な悪魔が同居しています。この二つの相反する力がしのぎをけずっているとき,私たちの心は千変万化の彩りを持ってきます。子育て心温計は,可愛い天使の微笑みがどのくらいまでの力を持つようになっているかという状態を示すようにしようと思っています。
 私たち人間の感情は私たちの行動を決定します。社会的生活を維持し発展させていくために理性に従って行動しているように見えますが,理性は感性を包み込んでいるだけです。理性の導きの下でより豊かな感性に変化することはありますが,感性の力が消滅しているわけではありません。心の中にある情は理性を含めた環境に対してさまざまは姿を見せてくれます。その中から代表的なものを抽出し,より良いと考えられる順序に並べてみることにします。
 一つの心情が生まれるための条件は,二つのものがあります。必要条件と十分条件です。どちらが欠けても完成できません。例えば料理は良い材料を揃えるという必要条件と,彩りの美しさと味付けの美味しさという十分条件が備わってはじめて完成します。子育て心温計でもこれらの二つの条件をそれぞれの心情毎に設定し,全体としてのバランスのとれた流れができるように積み上げていきます。成長とは不連続な跳躍ではなくて,一つ一つの階段を昇っていくのと同じであると考えているからです。
 授精した卵細胞が分裂を繰り返し気の遠くなるような個体数に成熟したとき人の身体が誕生するように,善悪の二つの核を持つ心が分裂をし育って人間の心が形作られます。果たして成功するかどうか,仕上げを待って,応用して,検証を進めることにします。