【第1章】自我の誕生

〜あなたのお子さんは,自分で考えていますか?〜

 《1.3》 もう一人の自分は,自分とどう違うのですか?

 子どもは甘える生き物として育ち始めます。我慢を身につけなければなりません。欲望にブレーキをかけるのはもう一人の自分です。言われてするのではなく,我慢しようと自分で決めることがポイントです。忍耐力がないのはもう一人の自分が未熟だからです。自立ももう一人の自分が主導権を握り,自分で考えて決めるようになることです。嫌だな,面倒だな,恐いな,きついなという自分の思いを,自分にできることはしようともう一人の自分が前向きに取り組むとき,自主性が現れます。
 ひと頃話題になっていた「キツイ,キタナイ,キケン」の3K嫌いにある問題点を考えておきます。3Kがある世界は手の世界つまり自分の世界であり有限の世界ですが,3Kのない世界は目と耳の世界つまりもう一人の自分の世界であり無限の世界です。3K嫌いは自分の世界をもう一人の自分が嫌い,自我の離反が起こっているから問題なのです。
 もう一人の子どもが自分を拒否すれば,自暴自棄や自閉へ陥りますし,自分から逃避すれば,他者否定や責任転嫁の方へ逸れていきます。最近の子どもの口癖は「疲れた」ですが,これはもう一人の自分ではなくて他人に言われて生活しているからです。

答 「もう一人の自分は,自分をつかず離れず見守る存在です」