【第6章】失敗の発芽

〜あなたのお子さんは,失敗を楽しんでますか?〜

 《6.3》 失敗すれば,それだけで済むとは思えないのですが?

 0点といえば親が一番嫌いな点数ですが,0点の思想を知るべきです。一般には失敗すると責任を取らされます。しかし答案では間違えてもマイナス点は付けられません。0点というのは,どんなひどい間違いでも水に流そう,白紙に戻そうという考え方で,失敗の積極的な勧めなのです。養育・教育における点数は常にプラスの点数しかありません。
 さらに0点は反省の勧めになります。間違いをチェックし自分の弱点を反省し,二度と同じ間違いはしないようにするチャンスです。失敗と反省の体験が豊かになると,失敗が見極められ恐くなくなります。つまずくことで物事の本質が見える場合もあります。
 生物の行動様式から創出されたサイバネティックスという制御法は,目標を定めてとにかく運動を開始し,コンピューターが目標とのズレを常に検出し,狂っていたら修正をするという作業の繰り返しによって目標に到達しようというものです。平たく言えば,試して,失敗すれば,反省するということになります。最初から精密に物事を完全に考え尽くすのは不可能です。将棋の第一手で勝負をつけるようなものです。動物の行動がやってみながら見えてくることに対処しているのと同じように,育ちももう一人の自分が失敗で目を覚まし,しくじりを修正しながら舵を取り続けることだと考えることができます。

答 「失敗することで,もう一人の子どもが目を覚まし反省します」