*****《ある町の社会教育委員の活動》*****

【第1章 国における法的背景について】

 まず,法的な根拠を明らかにするために,「社会教育法」から関係のある条文を抜粋しておきます。
 社会教育委員の活動はすべてこの法に準拠して行われなければならないからです。自分は何をすべきか,何ができるかという考察の出発点です。この基盤を抑えておかないと,委員の思惑が一人歩きしてしまったり,やるべきことを見失ってしまうでしょう。同時に,教育委員会や社会教育団体との関係も円滑に運ばなくなる怖れがあるからです。
 条文を読むことはあまり面白いことではありませんが,はずせないことと思います。

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社 会 教 育 法
(昭和二十四年法律第二百七号)
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第1章  総  則
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(この法律の目的)
第1条  この法律は、教育基本法(昭和22年法律第25号)の精神に則り、社会教育に関
    する国及び地方公共団体の任務を明らかにすることを目的とする。
(社会教育の定義)
第2条  この法律で「社会教育」とは、学校教育法(昭和22年法律第26号)に基き、学
    校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対し
    て行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーションの活動を含む。)を
    いう。
(国及び地方公共団体の任務)
第3条  国及び地方公共団体は、この法律及び他の法令の定めるところにより、社会教
    育の奨励に必要な施設の設置及び運営、集会の開催、資料の作製、頒布その他
    の方法により、すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、自ら
    実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように努めなけ
    ればならない。
  2 国及び地方公共団体は、前項の任務を行うに当たつては、社会教育が学校教育
    及び家庭教育との密接な関連性を有することにかんがみ、学校教育との連携の
    確保に努めるとともに、家庭教育の向上に資することとなるよう必要な配慮を
    するものとする。(平成13年7月11日新設)
(市町村の教育委員会の事務)
第5条  市(特別区を含む。以下同じ。)町村の教育委員会は、社会教育に関し、当該
    地方の必要に応じ、予算の範囲内において、次の事務を行う。
  1.社会教育に必要な援助を行うこと。
  2.社会教育委員の委嘱に関すること。
  3.公民館の設置及び管理に関すること。
  4.所管に属する図書館、博物館、青年の家その他社会教育に関する施設の設置及
    び管理に関すること。
  5.所管に属する学校の行う社会教育のための講座の開設及びその奨励に関するこ
    と。
  6.講座の開設及び討論会、講習会、講演会、展示会その他の集会の開催並びにこ
    れらの奨励に関すること。
  7.家庭教育に関する学習の機会を提供するための講座の開設及び集会の開催並び
    にこれらの奨励に関すること(平成13年7月11日新設)
  8.職業教育及び産業に関する科学技術指導のための集会の開催及びその奨励に関
    すること。
  9.生活の科学化の指導のための集会の開催及びその奨励に関すること。
  10.運動会、競技会その他体育指導のための集会の開催及びその奨励に関すること。
  11.音楽、演劇、美術その他芸術の発表会等の開催及びその奨励に関すること。
  12.青少年に対し社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の機会を提供
    する事業の実施及びその奨励に関すること。
  13.一般公衆に対する社会教育資料の刊行配布に関すること。
  14.視聴覚教育、体育及びレクリエーションに必要な設備、器材及び資料の提供に
    関すること。
  15.情報の交換及び調査研究に関すること。
  16.その他第3条第1項の任務を達成するために必要な事務
第8条  教育委員会は、社会教育に関する事務を行うために必要があるときは、当該地
    方公共団体の長及び関係行政庁に対し、必要な資料の提供その他の協力を求め
    ることができる。
(図書館及び博物館)
第9条  図育館及び博物館は、社会教育のための機関とする。
  2 図書館及び博物館に関し必要な事項は、別に法律をもつて定める。

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第3章  社会教育関係団体
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(社会教育関係団体の定義)
第10条  この法律で「社会教育関係団体」とは、法人であると否とを問わず、公の支配
    に属しない団体で社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とするものを
    いう。
(国及び地方公共団体との関係)
第12条  国及び地方公共団体は、社会教育関係団体に対し、いかなる方法によつても、
    不当に統制的支配を及ぼし、又はその事業に干渉を加えてはならない。
(生涯学習審議会等への諮問)
第13条  国又は地方公共団体が社会教育関係団体に対し補助金を交付しようとする場合
    には、あらかじめ、国にあつては文部大臣が生涯学習審議会の、地方公共団体
    にあつては教育委員会が社会教育委員の会議の意見を聴いて行わなければなら
    ない。
(報告)
第14条  文部大臣及び教育委員会は、社会教育関係団体に対し、指導資料の作製及び調
    査研究のために必要な報告を求めることができる。

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第4章  社会教育委員 
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(社会教育委員の構成)
第15条  都道府県及び市町村に社会教育委員を置くことができる。
  2 社会教育委員は、学校教育及び社会教育の関係者,家庭教育の向上に資する活
    動を行う者並びに学識経験のある者の中から、教育委員会が委嘱する。
(社会教育委員の職務)
第17条  社会教育委員は、社会教育に関し教育長を経て教育委員会に助言するため、左
    の職務を行う。
  ○社会教育に関する諸計画を立案すること。
  ○定時又は臨時に会議を開き、教育委員会の諮問に応じ、これに対して、意見を述
   べること。
  ○前2号の職務を行うために必要な研究調査を行うこと。
  2 社会教育委員は、教育委員会の会議に出席して社会教育に関し意見を述べるこ
    とができる。
  3 市町村の社会教育委員は、当該市町村の教育委員会から委嘱を受けた青少年教
    育に関する特定の事項について、社会教育関係団体、社会教育指導者その他関
    係者に対し、助言と指導を与えることができる。
(社会教育委員の定数等)
第18条  社会教育委員の定数、任期その他必要な事項は、当該地方公共団体の条例で定
    める。

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第5章  公民館
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(目的)
第20条  公民館は、市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即する教育、
    学術及び文化に関する各種の事業を行い、もつて住民の教養の向上、健康の増
    進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目
    的とする。
(公民館の設置者)
第21条   公民館は、市町村が設置する。
  2 前項の場合を除く外、公民館は、公民館設定の目的をもつて民法第34条の規定
    により設立する法人(この章中以下「法人」という。)でなければ設置するこ
    とができない。
  3 公民館の事業の運営上必要があるときは、公民館に分館を設けることができる。
(公民館の事業)
第22条  公民館は、第20条の目的達成のために、おおむね、左の事業を行う。
  但し、この法律及び他の法令によつて禁じられたものは、この限りでない。
  ○定期講座を開設すること。
  ○討論会、講習会、講演会、実習会、展示会等を開催すること。
  ○図書、記録、模型、資料等を備え、その利用を図ること。
  ○体育、レクリエーション等に関する集会を開催すること。
  ○各種の団体、機関等の連絡を図ること。
  ○その施設を住民の集会その他の公共的利用に供すること。
(公民館の運営方針)
第23条  公民館は、次の行為を行つてはならない。
    もつばら営利を目的として事業を行い、特定の営利事業に公民館の名称を利用
    させその他営利事業を援助すること。
    特定の政党の利害に関する事業を行い、又は公私の選挙に関し、特定の候補者
    を支持すること。
  2 市町村の設置する公民館は、特定の宗教を支持し、又は特定の教派、宗派若し
    くは教団を支援してはならない。
(法人の設置する公民館の指導)
第39条  文部大臣及び都道府県の教育委員会は、法人の設置する公民館の運営その他に
    関し、その求めに応じて、必要な指導及び助言を与えることができる。
(公民館の事業又は行為の停止)
第40条  公民館が第23条の規定に違反する行為を行つたときは、市町村の設置する公民
    館にあつては市町村の教育委員会、法人の設置する公民館にあつては都道府県
    の教育委員会は、その事業又は行為の停止を命ずることができる。
  2 前項の規定による法人の設置する公民館の事業又は行為の停止命令に関し必要
    な事項は、都道府県の条例で定めることができる。
(公民館類似施設)
第42条  公民館に類似する施設は、何人もこれを設置することができる。
  2 前項の施設の運営その他に関しては、第39条の規定を準用する。

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第6章  学校施設の利用
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(適用範囲)
第43条  社会教育のためにする国立又は公立の学校(この章中以下「学校」という。)
    の施設の利用に関しては、この章の定めるところによる。
(学校施設の利用)
第44条  学校の管理機関は、学校教育上支障がないと認める限り、その管理する学校の
    施設を社会教育のために利用に供するように努めなければならない。
  2 前項において「学校の管理機関」とは、国立学校にあつては文部大臣、公立の
    大学にあつては設置者である地方公共団体の長、大学以外の公立学校にあつて
    は設置者である地方公共団体に設置されている教育委員会をいう。
(学校施設利用の許可)
第45条  社会教育のために学校の施設を利用しようとする者は、当該学校の管理機関の
    許可を受けなければならない。
  2 前項の規定により、学校の管理機関が学校施設の利用を許可しようとするとき
    は、あらかじめ、学校の長の意見を聞かなければならない。
第46条  国又は地方公共団体が社会教育のために、学校の施設を利用しようとするとき
    は、前条の規定にかかわらず、当該学校の管理機関と協議するものとする。
第47条  第45条の規定による学校施設の利用が一時的である場合には、学校の管理機関
    は、同条第1項の許可に関する権限を学校の長に委任することができる。
  2 前項の権限の委任その他学校施設の利用に関し必要な事項は、学校の管理機関
    が定める。
(社会教育の講座)
第48条  学校の管理機関は、それぞれの管理に属する学校に対し、その教育組織及び学
    校の施設の状況に応じ、文化講座、専門講座、夏期講座、社会学級講座等学校
    施設の利用による社会教育のための講座の開設を求めることができる。
  2 文化講座は、成人の一般的教養に関し、専門講座は、成人の専門的学術知識に
    関し、夏期講座は、夏期休暇中、成人の一般的教養又は専門的学術知識に関し、
    それぞれ大学、高等専門学校又は高等学校において開設する。
  3 社会学級講座は、成人の一般的教養に関し、小学校又は中学校において開設す
    る。
  4 第1項に規定する講座を担当する講師の報酬その他必要な経費は、予算の範囲
    内において、国又は地方公共団体が負担する。