*****《ある町の社会教育委員の活動》*****

【第11章 社会教育関係団体等連絡会議第二ステージについて】


 平成15年度になって,社会教育委員が「本格的に」社会教育関係団体のトップに向き合う機会を作り出しました。苦節3年というわけでもありませんが,ジワジワと事態を変えていくモデルケースとして,その経緯をご紹介しておきます。まどろっこしい手続きですが,それと気付かないうちにいつの間にか変わっていくという手法も,社会教育分野では有効性が認められるはずです。ただし,気長に取り組まなければなりませんが。

 本格的に向き合うということの意味ですが,社会教育委員は関係団体に指導や助言をする役割を持っています。それをいつどのようにどのような形で実現するかという課題を明示的に解決しておくことが大事です。平たく言えば,事績として残せる形にしておこうということです。非公式な助言で済ませていけば,公的な成果としては残せないからです。仕事をしたという記録ができるように,形を作ることが大事です。その一つの形式として,会議開催という事実と議題としての助言活動を定着しておこうと考えてきました。それがやっと実現しようとしています。

《第一ステージ》
 数年前に,「社会教育関係団体等連絡会議」の名の下に,各団体のトップと社会教育委員が参集する場を設けました。その経緯についてはすでにご紹介しておきました。第1回については,社会教育委員会からの提言として,教育委員会に取り上げてもらい,招集を掛けてもらいました。その後恒例化しましたが,これまでは年度末一回の会議であったので,お互いの活動を知り合うという意味で,報告会という性格の会議として運営してきました。新規事業を増やすということで負担を意識されないようにワンステップを置いたのです。報告会なら,気楽に参集できるはずという見込みでした。

《会議の成長経過》
 ところで,当初の会議設置の提言の中には,一つの隠し球を組み込んでおきました。それは,会議の議長を社会教育委員のトップが務めるということです。誰が議長をしようと大したことはないという隙間をついて,さりげなく組み込んでおきました。その隠し球を掘り起こす時期がやってきました。年度末の会議,それを3年続けてきました。それなりに連絡会議というものが馴染んできたところで,次の段階にステップアップしなければなりません。
 社会教育委員会で,この会議の直後に反省をしてきました。報告を主とした会議を毎年繰り返し慣れてくると,やがてもう少し何かをしたいという欲が出てくるものです。委員としては聞く立場に置かれているので,出番がないという押さえ込みを感じるようになってきます。やっと,機が熟してきたということです。そこで,もう一回の会議を追加したらという気運が生まれてきました。今です。年度途中にもう一度の連絡会議を開いて欲しいという提案を教育委員会へ提出しました。もちろん,その必要性については,別途進めてきた社会教育計画書の改訂に絡めておきました。そうすることで,新しい会議の意味を明らかにできるからです。

 連絡会議を開催しようとしている第二段階の目的,それは社会教育委員から社会教育関係団体に対して指導・助言をすることなのです。公的な場の中で,提案・助言をすれば,記録にその事実が残りますし,言う方も聞く方も,真剣になれます。口約束ではなくて,公的な約束という意識を持ち合うことができます。そのような社会教育委員からの発言を会議の場に引き出すために,トップが議長になっているのです。平たく言えば,我田引水をしてしまおうということです。

《第二ステージ》
 社会教育関係団体等連絡会議の第二ステージに入ろうとしています。研修を重ねてきた委員から団体活動へのアドバイスを引き出す場にしたいのですが,はじめてのことなので,双方共に何をどうしてよいか分からない状態です。落ち着くまでは数回の慣らしが必要です。そこで,今回の会議では,スターター役を社会教育委員のトップが議長特権で果たすことにします。会議では,議長がごく当たり前のことのように新しいことを持ち込めます。議事運営を差配しているのですから。

 何事も最初が肝心です。団体の指導をどのように進めるかという形をはっきりしておかないと,その場の流れで動いていては何のためにという目的さえも曖昧になり,その後によい影響を残せません。そこで,指導の内容を慎重に吟味して,確実に提示することが必要になります。この問題をクリアするために文書化し,「会議資料」として提出することにしました。以下に掲載しておきます。

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平成15年度活動推進のために
(社会教育関係団体等別)

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  1.はじめに
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 各団体の活動を順調に推進していただいている皆様方のお陰で,○○町の社会教育活動はかなり活発なレベルにあるものと自負することができます。今後もこれまで以上のご指導とご尽力をお願いいたします。
 さて,ここ数年の情勢を考えると,社会教育に関わる環境は必ずしもよい方向に進んでいるとは言えません。例えば,個々の団体では,会員数の減少傾向が続いており,さらに財政支援の縮小も時間の問題になってきました。このような流れを乗り切るためには,まちづくりの核となる団体としての存在価値を高めることが緊急の課題であることは明らかです。

 社会教育委員の会では,このような状況判断から,新しい社会教育計画書案を策定し,教育委員会に提案をさせていただきました。その計画書が各界の指導的立場におられる方に配布されたことはご承知のことと思います。
 計画書は町民すべてを対象とした構成を採っているために,各団体にはその提案されている方策の関連性が必ずしも明確にはなっていません。そこで,計画書が期待している活動方策を各団体ごとに再構成し,さらにその具体的な活動指針を付記しておくことにしました。

 もちろん,これまでに各団体が進めておられる活動を否定するものではありませんし,また今でも目一杯の活動であろうことは重々承知しております。しかしながら,従来通りの活動状態を守るだけでは,先が見えています。そこで,できる範囲でこんな方向に少し力を出してみれば新しい局面が開けるのではないでしょうかという提案です。現在の活動に新しい装いを施したり,明日へのちょっとした下準備をお願いしています。
 基本的なコンセプトは,次の通りです。団体内部の活動については皆様の責任でやっていただくことですから余計な口出しは控えます。ただ,団体の存在価値は町民の中での評価にかかっています。支援をしようという町全体の気運が満ちていなければ,孤立してしまいます。そこで,組織団体が外に向けた関わりを持つ方策について主として提案しています。いろんな人が知り合い,助け合い,学び合うことによってしか,まちづくりは実現できないと考えているからです。余計なつながり,わざわざつながる,それこそが町のぬくもりだからです。
 ○○町の団体だという気持ちで,提案をゆっくりと検討してみてください。限られた提案を越えるものを考案していただければ,道はより広く開けてくるものと思います。よろしくお願いいたします。

 以下に,各団体ごとに計画書にある実践方策を括りなおしておきます。なお1.2.などの番号は計画書記載の番号そのままですので,順序は無視してください。


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  2.具体的実践方策
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【青年団】
 青年団の皆さんが,自らの活動を進める傍ら,○○町文化祭の実行委員を務め,町民運動会並びに成人式等の運営に深く関わっていく中で,○○町の社会教育活動に確固とした役割を果たしていることは,町民が広く認めるところです。今後も,その活力を持続されることを心より切望いたしますと共に,○○町の社会教育活動になお一層のご支援をお願いいたします。
 社会教育計画書で目指しております次の各方策に,青年団として意欲的に関わっていただければ幸いです。

1.青年団の地域と連携した活動による組織の拡充
  →青年団の演劇活動を,地域や学校などで開催できないでしょうか?
3.各種団体との連携による組織活動の実践研修の立案
  →文化祭実行委員会などの連携した運営を,組織活動研修の機会として下さい。
3.女性自らの組織活動による機会均等と参画社会への啓発
  →女性会員の研修から参画についての提言を社会教育委員会へ出しませんか。
1.各社会教育関係団体のボランティア活動による奉仕体験の普及
  →ボランティア活動をする場合は,できれば連携を考えてみて下さい。

【空と海の会】
 空と海の会は,青年と少年の組織として他に例のない得難い組織です。さらに空と海という外に開いた世界の共同体験を核としている特徴は,大いに自信とすべきことです。会員の皆さんが国際感覚をより一層磨き上げて下さるように熱望すると共に,身近な方を巻き込んでいただくことをお願いします。
 社会教育計画書では,次のような活動を期待しております。空と海の会として積極的に関わってみてください。

2.空と海の会による青年・少年交流の機会の確保
  →会の活動をより充実することで,会員参加を増進してください。
4.公民館による青少年リーダー研修の開催
  →リーダー経験をジュニア世代に伝授するプログラムを作成してみませんか。
5.町民自らの発想と実践による生涯学習機会の創出
  →訪問先と日本の風俗習慣・事物などの比較研究をしてみませんか。
1.各社会教育関係団体のボランティア活動による奉仕体験の普及
  →ボランティア活動を連携という形で取り入れてみませんか。

【子ども会育成会連絡協議会】
 育成会が立ち上げられて間もないにもかかわらず,着実に活動が実践されていることを多くの町民が歓迎しております。特に子どもたちの集団体験活動を進める基礎作りとしてのリーダー研修は,時期を得た適切な事業として評価されます。今後各地域で生かされることが期待されます。
 社会教育計画書では,子ども会の活動を進展させる手だてとして,以下のような指針を提示しております。育成会の次なる展開として一考をお願いいたします。

4.子ども会育成会連絡協議会によるJリーダー,指導者の養成研修講座の開催
  →すべての区で研修修了者グループがいる所まで参加を拡大してください。
5.各区子ども会による伝統行事・体験活動等の計画的実践の定着
  →子ども会独自の事業を各区で定着・創設する年次計画を考えてみてください。
7.社会教育関係団体等による異世代交流の機会の創出
  →子ども会連絡会議のような,成人組織と対等な組織を創設する準備を進める。
1.各社会教育関係団体のボランティア活動による奉仕体験の普及
  →各団体・地区によるボランティア活動との連携の可能性を検討する。
3.小中学校の体験活動によるボランティア教育の活用
  →学校による体験活動の情報を育成会が把握し地区活動に生かすシステム作り

【○○町PTA連絡協議会】
 各小中学校のPTA活動は,長年の活動歴に則って堅実な実践を重ねてこられました。いま学校教育の大きな変化に直面し,その組織力を生かすチャンスが到来しています。
 開かれた学校,学校週五日制,学社融合,体験学習や総合学習といったキーワードは,まさにPTAこそが主役となって受け止めるべきものです。○○の子どもを育てているのは○○の親であり,その親の組織が○○のPTAなのです。
 社会教育計画書では,青少年健全育成の鍵を握るのは家庭であるとの認識から,PTA活動に当面期待されることとして,以下のような方策を提案しています。

4.小・中学校による教育方針の開示と共通理解の推進
  →理解に不可欠な対話を促すために保護者からの問を仲介し広報する。
5.PTAによる父親育児参画の啓発と校区コミュニティ活動の立案
  →子どもや母親が父親に頼りたいことはどんなことか,具体例を聞き集める。
3.小中学校の体験活動によるボランティア教育の活用
  →家庭での思いやり行動例を収集して,実践を促す活動を仕掛ける。
・校区連携組織等の,連絡調整ネットワークを構築する。
  →校区ごとの,学校・育成会・PTA・主事会等の連絡会を学期始めに開く。

【婦人会】
 婦人会の皆様による伝統的な社会活動の広さには,多くの方が感謝されております。なによりも,婦人の社会参加の場を提供しているという意味で,とても意義深い活動団体です。益々の活躍が期待されております。
 まちづくりの基礎は人と人とのつながりですが,その要となる活動を担っていただいていることは,誰の目にも明らかです。つながりには,知り合って助け合って学び合うというステップがありますが,その動きを町内に広める役割を推進していただければ,よりよいまちづくりに大いに貢献していただけることでしょう。
 社会教育計画書では,次のようなことを婦人会にお願いできればと考えております。諸活動の実践に当たり,多少なりとも意図していただければ幸いです。

7.婦人会による育児支援
  →自治公民館に親子連れで寄りつける時間と場を定期的に設定できないか。
7.社会教育関係団体等による異世代交流の機会の創出
  →婦人会支部が異世代活動に広く付き添える可能性を考える。
5.町民自らの発想と実践による生涯学習機会の創出
  →各学習活動を学級生による自主運営に移行することを勧める。
1.婦人会の地域密着活動による近隣融和と社会参画体験の充実
  →一般婦人を巻き込めるようなモデル活動を区ごとに開発・展開しては。
3.女性自らの組織活動による機会均等と参画社会への啓発
  →婦人会ネットワークを生かした婦人参画の気運を産み出す研修などを
4.各機関・施設との連携による子育て・福祉支援活動等への参加機会の拡充
  →婦人会が主導して支援グループを産み出し立ち上げてみては。

【体育協会】
 体育協会の皆様の活躍や町民のスポーツ活動への支援は,○○町のスポーツ振興に大いなる貢献となっております。ますますのご健闘にエールを送ります。
 町民一人一スポーツの推進は高齢者の健康や青少年の育成に対して最も効果が期待されます。スポーツ好きな人は自発的にスポーツをしますが,そうでない人は誰かの誘いがなければスポーツの世界は遠いものです。根気よくサポートする体制が必要です。
 社会教育計画書の次のような提案を検討してみてください。

6.スポーツ団体・クラブ等によるジュニアスポーツの場の拡大
  →OBを組織化して,ジュニア指導の体制を整備できませんか。
2.まち・校区・地域コミュニティの各単位による地域スポーツクラブの育成
  →スポーツマップを作成し,空白地区に重点的に働きかけをしては。
5.体育協会連携活動による一人一つのスポーツ運動への機会の提供
  →各区体育委員からの要請に応えられるスポーツ体験出前講座を整備する。
6.体育団体・関係者による全町民参加の総合型スポーツクラブ設立の検討
  →スポーツクラブの先進地を探し視察する機会を設けることから。
1.各社会教育関係団体のボランティア活動による奉仕体験の普及
  →オフの時期を利用したボランティア活動を計画できませんか。

【文化協会】
 文化協会の各部門の皆様方には,精進の成果を文化祭などの発表を通して広く町民に披露していただいております。打ち込んでおられる姿には学びの喜びがあふれています。
 文化は人の生きるさまざまな局面での姿を凝縮したものです。喜びや切なさ,感動や恐れといった基本的な感性を研ぎ澄ますことができ,町民の心の健康には不可欠です。
 社会教育計画書で提案している次のような活動方策を検討してみてください。

7.社会教育関係団体等による異世代交流の機会の創出
  →できる部門から下部組織としてのジュニア組織を立ち上げてみませんか
4.施設・団体主催の芸術文化行事による伝統文化と異文化の紹介
  →発表だけでなく,風俗習慣・技の背景など周辺情報の発信もしてもらえたら。
5.町民の自立的文化活動への積極的支援による情操教育の推進
  →新しい部門を,募集し組織として創設する手助けをしてもらえたら。
6.文化協会連携活動による身近な文化活動体験の機会の提供
  →分館主事からの要請に応えられる芸術文化出前講座を整備してください。
1.各社会教育関係団体のボランティア活動による奉仕体験の普及
  →特技を生かしたボランティア活動に踏み出してみませんか。

【老人クラブ】
 老人クラブの方々には,その豊かな人生体験から紡がれる核心的なご指導をいただいておりますことを,心よりお礼を申し上げます。
 時代は変わっても変わらないものがあると言われますが,それが具体的には何かということは必ずしも共通理解されているわけではありません。芯の通った活動を続けていただくことで,不変な価値を顕示してくださることをお願いいたします。
 社会教育計画書では,教えをいただく方策を提案しております。後生のために是非ともご尽力をお願いいたします。

7.老人クラブによる育児支援
  →子ども会行事などに積極的に関わり続けてください。
7.社会教育関係団体等による異世代交流の機会の創出
  →地域の人を結びつける機会や場を設ける中心人物になってください。
1.老人クラブによる相互交流の促進と生きがい発見の支援
  →地域の福祉環境に対する支援への要望などをまとめて下さい。
3.各社会教育関係団体による高齢者の指導的社会参加の機会の創出
  →所属する社会教育団体で,前向きな姿勢を押し進める役を務めてください。
4.高齢者の地域活動による青少年への文化伝承の場の提供
  →地域における伝統的な活動や文化の語り部として活躍してください。

【○○町主事会】
 主事会は各区住民の学習要求を集約し,学習活動を支援し,学習成果を地域の活性化に生かす方策を研究開発する組織であり,自治公民館主催の多彩な事業を展開していただいており,そのご苦労には深く感謝いたします。
 住民一人ひとりの身近な学習活動が互いに絡み合うことで,生涯学習活動は奥行きと広がりを獲得できます。学び合うことが学習を生かすことだからです。学びを忘れた地域は人のぬくもりを失っていきます。主事の皆さんの踏ん張りが求められています。
 社会教育計画書では,まちづくりのために最も重要な活動領域を自治区と想定していますので,いきおい区の活動に多大な期待を寄せることになっています。区の役員の協力を得ながら,地道に取り組んでいただきたいと願っております。

8.自治公民館による育児学級の開設やサークルの育成
  →PTAや婦人会との連携の可能性を相談する機会を設けてみてください。
7.社会教育関係団体等による異世代交流の機会の創出
  →子どもやお年寄りの行事に,お互いを招き合うような計画を立てませんか。
5.町民自らの発想と実践による生涯学習機会の創出
  →学級活動を種にして,楽しめる有志グループを育ててみませんか?
1.各区の特徴的活動方針による区民融和と協調体験の活動推進
  →祭りや集会などの定例行事の日程を固定化して参加しやすくする。
2.各分野の指導者との連携による入門的学習機会の新設
  →近隣区と共同して,数回の連続した入門講座を募集し試してみませんか。
3.各種団体の学習指導の受け入れによる新しい学習内容の導入
  →各種出前講座を利用して,学級内容に変化を持ち込んでみませんか。
4.青少年指導員による環境浄化と非行防止活動の情報の公開
  →青少年指導員と地区の子どもたちが顔なじみになる機会を設定する。
5.公民館の開放による児童活動および養育活動の場の提供
  →地域団体等と連携して,子育て広場のような場を定期的に開きませんか。
6.区民手作り活動の支援による新規事業への積極的挑戦
  →区民に活動の実践提案を募り,小集団活動の発掘・支援を試してみませんか。
7.公民館相互連携による多様な活動の紹介と展開
  →近隣地区の学級活動にも参加できるような連携を図ってみませんか。
8.学校・主事会連携による校区コミュニティ活動の創出
  →校区規模の竹とんぼ大会など子どもも参加できる活動を発案できませんか。

 それぞれの方策について一例を述べてあるだけですので,各自自由に発案して下さい。年度末のこの会議で,何か取り組まれたことがあれば,ご紹介していただく予定です。楽しみにしております。

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《コメント》
 社会教育委員の立場から見た社会教育関係団体等連絡会議の位置づけをはじめに述べておきましたが,当然のこととして,団体から見た連絡会議の位置づけもしておかなければなりません。団体にとってもメリットがなければ,意味は半減します。
 組織は人です。特にトップはキーパーソンとして組織を動かさなければなりません。組織を動かすとは,どういうことでしょうか? 最も大事なことはどう動かすかということではなく,何に向けて動かすかということです。トップに課せられる指導とは何を指すかということです。目的であり目標です。
 社会教育の目的は豊かな社会を作り出すことであり,そのための手段としての種別が各種団体ということになります。それぞれの団体に相応しい目標が設定されているはずです。組織が何を目標にするか,それは第一の目標,第二の目標とステップ状につながっています。指導者が当面する目標を決めなければ,組織は立ち往生をするだけです。あそこに行こうという目標が見えていれば,組織は一丸となって動いていけます。
 指導者は何をすべきかを決定する人です。人がやれそうもないと思うことから課題を選び抜き,それができると信じて,本気になり,悩みという陣痛を越える勇気を持つ人です。どのように実現するかはスタッフに任せればいいのです。やれると決断する人がいれば,組織は確実に動くものです。プロジェクトを進めるには優れた指導者が不可欠であるということです。
 各団体の指導者にとっては,何をすればいいのかというアドバイスが有効だと考えて,具体的な指針を提案しておきました。どこから手を付けるかはそれほど問題ではありません。段階を追っていけば,すべてはつながってしまうからです。決めるのは組織の現状を熟知している指導者です。任せることにします。
 資料の最後に,それとなく付記しておいた「年度末の会議」という一言が,指導者にはちょっぴり痛い注射針になるかもしれません。なにしろ,後でじわっと効いてくる一言ですから・・・。

***(この連絡会議で,口頭で実際に説明したことは,「社会教育委員のメモ」第31号にリンクします!第31号に再録してあります。若干違ったニュアンスの導入をしておきましたので,関心のある方は開いてみてください。)***