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【団体指導の経路?】
「社会教育関係団体等連絡会議」という名の下で,団体代表者と教育委員・社会教育委員による会議を開いています。平成15年度には新たに夏季の開催を実行しました。従来は年度末の時期に開いていましたが,そこでは済んでしまった活動を後追いする形式になるので,各団体が活動をしている最中である夏季にも開くことになりました。社会教育委員からの助言が生かされるためには,具体的な活動計画前が効果的であろうという判断からです。そうすれば,年度末の会議で結果を確認できるようになります。今年度,社会教育委員の会から教育委員会へ提言して実現しました。
社会教育委員からの助言とは,具体的には「社会教育計画書」です。各団体の活動がどのように有機的に結びつけば,まちづくりのうねりにまとまるのかという指針をまとめたものが計画です。団体の活動を束ねることが大事なのですが,その意図を各団体に共通理解してもらわなければなりません。従来はそのつなぎの手続きが踏まれていなかったので,社会教育計画書と各団体の活動とが,それぞれ独立に営まれてきました。ということは,社会教育委員の指導助言が公的には各団体に届いていなかったのです。
連絡会議の席上で社会教育計画書に沿った活動指針を提案すれば,一挙両得です。連絡会議を開催する目標がきっちりと設定できますし,委員の役割も公的に保証されることになります。このことが今回の会議の最も大事な目的でした。
初めての試みですので,各団体の代表の方に,社会教育計画書に基づく指針を提案する意味を説明する必要があります。以下に,それを再録しておきましょう。団体を指導する際に描いておく構想の一つとして,参考になるはずです。
○社会教育活動の現状認識
団体活動は,構成会員の減少や高齢化,参加の低迷といった限界に直面するものです。それぞれに魅力ある活動を目指して運営されていても,思うようにことは運ばな
いものです。ねらい目があります。それは会員以外の人へのアピールです。
確かに団体は会員のために存在し,会員にアピールすることが本筋のようですが,すでに会員であるということは最初の一歩を踏み出していると考えます。その一歩を際だたせる工夫が大事なのです。簡単に言えば,会員になっていてよかった,という仕掛けです。一般の人に,団体活動を周知することです。こんないいこと,楽しいことをしている団体があると知れ渡れば,団体の魅力が認知されます。同時に,会員意識が生まれてくるものです。
団体には公的資金が投入されています。いわゆる補助金です。ここにも,一つの陰が現れてきました。税収の減少が起こり,パイの分配にあたって,社会教育分野も削減を免れることはできません。現状を維持しようとすれば,それは既得権を守ろうという保守派の動きになり,必要な新規事業を潰すことになっています。
団体が新たな期待を背負う時期に入ってきました。社会教育や福祉という旗印の元で補助が当たり前という状況が続いてきましたが,最近生涯学習という言葉が表立つようになってきました。何かよく分からない間に,浸透しています。私たち当事者はこの動きがどこに向かっていくか,敏感でなければなりません。
根っこにある意識が大きな転換をしようとしています。教育という言葉はみんなのためにというイメージがあり,公的な活動と思うことができます。ところで,学習という言葉は学ぶ側が主体ですから私の学びというイメージが強くなり,私的な活動と思えるのです。
つまり,活動の外にいる人にとっては,社会教育は公的な活動,生涯学習は私的な活動と意識されるようになるということです。生涯学習なら学びたい人が勝手にやる私的なものだから,受益者負担が当たり前ではないかという雰囲気に変わっていきます。言葉が変わるということは,イメージが徐々に変わっていくということです。
団体が目指すべき目標は,町民にとっての存在理由の証明です。自分たちの学習活動を保守するのではなくて,先輩としての意気込みを示す時期に入ろうとしており,それが団体を魅力あるものにしてくれるはずです。どうすればいいのでしょうか。町民の目に「がんばってくれているんだ,ありがとう」と映るような活動をしていくことです。自分たちばかりが楽しんでと思われたら,そっぽを向かれ,孤立してしまいます。
○社会教育活動への期待
粕屋町の団体であるという姿を意識して示しつつ,さらに現在に必要な新規事業をできる範囲で引き受けていくことが期待されています。そのためには何をどうすればいいのか,いくつかの具体的な指針を社会教育計画書で提案しております。社会教育計画書は皆さん方のために発行されているということを再確認していただき,積極的に利用していただければと思っています。このことと関連して,社会教育委員を皆さん方の活動に利用していただければと思っております。来賓という大げさなものでなくて,ただ見に来てくださいという儀礼でも結構です。オブザーバーやアドバイザーとして参加させていただければ,なにがしかのお役に立てることと思います。
団体の活性化には,連携という形が有効な方策です。点から面に活動を結びつけるように図れば,効果も倍増します。本来の活動からちょっぴりはみ出すことになりますが,それが団体の魅力になります。また,孤高を守っていては,人は寄りつかなくなります。団体加入を渋る大きな理由は,すでにできあがっている親密な人間関係の中に新参として入り込めないという気持ちです。開かれているということは入り口があちらこちらにあるということで,それは連携の際に顔見知りになるという形で具体化することができます。
子どもたちの育ちに異年齢集団が必要なことは誰も口にしますが,大人の世界に異年齢集団がありません。大人が異年齢活動を見せつけることをしないでは,事態の改善は覚束ないでしょう。団体の連携が養育環境をよいものにする端緒になります。
会議の席では,時間の関係もあり,多少端折って説明をしましたが,ポイントだけは伝えたつもりです。ただ,伝えたことが伝わったかどうかは,今後の推移を見ておかなければなりません。一度だけではなく繰り返すことが必要でしょう。その結果については,いずれまたこの場で報告するつもりです。
(2003年08月06日)
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