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【第15章 社会教育関係団体等連絡会議の転進】
社会教育関係団体等連絡会議と銘打った会議を開催しています。提言によって実現された会議です。回を重ねるにつれて,会議の趣旨が現状とずれてきました。参会者の意識に変化が出てきたからです。経過を振り返りながら,次なるステップを準備しておかなければなりません。
この会議を立ち上げる提案の中で述べた趣旨は,次のようなものでした。
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これまで培ってきた重要な活動である「〇〇町社会教育計画書(案)」作りをさらに充実させるために,「町内の各種団体等によるそれぞれの年間目標と計画を直接に発表説明していただく場を設けて頂けないか」という提案です。
具体的な一例として,次のような形式と内容を考えております。
○名称:〇〇町社会教育関係団体連絡会議
○時期:各種団体が総会の準備に入る時期:2月中旬
○構成:町内社会教育関係の任意団体のトップ(補助対象組織を主に)。
青少年:子ども会育成会,青年団,PTA,空と海の会。
成 人:自治公民館,文化協会,体育協会,婦人会。
老 人:老人クラブ(福祉団体であるが,参画をお願いする)。
○内容:年度行事実績,反省点,新年度重点目標,計画案の提案と資料の提出。
○効果:メンバー:年間行事予定の連絡調整,情報交換と協力態勢づくり,等。
生涯学習計画書作りに自分たちも寄与したという意識の醸成。
社教委員:団体活動の把握,(並びに補助金交付の評価確認)。
《補足》
○この会議は非公開のものであり,関係者間の共通理解を図るために開催されます。
従って,決議したり,何らかの束縛を与えるものではありません。お互いが何をしているかを知り合うことが目的です。協力体制を生むきっかけになれば幸いです。例えば日程の相互調整とか,事業の相互乗り入れ,学習内容の連携など,会議での情報交換の利用価値は多いでしょう。
○具体化の方策として,社会教育委員会活動の一環と位置づけ,公聴会的な性格を持った会議にすることが考えられます。社会教育委員から研修の報告として新しい学習の提案をする機会にもなります。
○当面の目的は,社会教育委員会が「〇〇町社会教育計画書案」をまとめるに当たり,町内各種社会教育関係団体の実績と課題を生の声で聴取することです。
○以上のように,形式において固定化しないフレキシブルな会議であるからこその利点が多々あると信じます。
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当初は,各団体の実績や計画を紹介し合う機会を設けて相互に理解することが目的でした。数回の会議を経てくると,各団体の活動内容が定着しているために,やがて聞き慣れてくることになり,連絡会議の意味づけとして,連携を促すような協議を進めてみました。しかしながら,連携作業に伴う煩雑さやメリットの曖昧さが気持ちの上での壁になり,一部には連携を模索しようという動きも見られましたが,実現にこぎ着けるまでには至りませんでした。団体の代表ですから活動の進展に対する理解は十分にあるのですが,新企画を打ち出すというところまでは踏み込んで頂けなかったのです。相互理解の結果として社会教育関連の行事を俯瞰する視点を持てば,連携や共催といった形を採用できる個別の行事群が見えてくるはずだと期待していましたが,見合いの段階に留まってしまいました。
会議の運営の基本姿勢は,団体代表者の自発性を尊重することとしてきました。言われてするのではなく,自然発生的に動きが生まれるようにと期待し,そのための機会の提供が,連絡会議の意味づけでした。ひたすらじっと待ちの状態を続けてきましたが,会議から何も生まれてこない現状に,じれったいという気持ちが漂いはじめました。機はかなり熟してきたと思われました。
第二のステップとして,いくつかのテーマを設定して協議をすることにしました。青少年健全育成,男女共同参画,地域の活性化,といった社会教育活動の主テーマを取り上げて,各テーマに関連を持つ団体をグループ分けしてみました。各グループ内での意見交換は活発でしたが,煮詰まるまでにはいかなかったようです。それはそれでさらに続けていくことにして,第三のステップも繰り出すことにしました。たたみかけるという働きかけです。ある程度差し出がましいことではありますが,指導的な働きかけも必要ではないかという焦りからです。
具体的な共同行事の提案をしてみようとしました。各団体では美化作業という活動を行っていることに目を付けたのです。美化作業の内容が実際には清掃作業であることから,もう一歩進めることを考えました。清掃するだけではなく,花を植えることで文字通りの美化にしようということです。提案の枕には,2005年から「持続可能な開発のための教育の10年」とするという国連総会の決議を据えました。地域づくりの具体的活動に団体が参集できて,賛同を得られるものと考えたからです。
美化作業への提案では,期日を決めて一斉にという形は団体毎の事業の趣旨から無理があるので個別に実施することにして,どの団体でも花を植えるという作業を適当な規模と場所でやって頂くということをお願いしました。もちろん口だけで,金もモノも出さないという厚かましい提案です。その点が隘路になりました。花を植えるといっても,苗はどうするのか,そんな予算は無いということです。美化活動をするにしても先立つものがない,もっとも現実的な壁を立ち上げられました。
苗を準備したから植えてくださいというお膳立てが必要なのです。協力をすることはできるという受け身の姿勢が強固です。あくまでも自分たちの活動と意識して実践に取り組んで欲しいのですが,そこまでの気運が未成熟のようです。大々的に取り組まなければ意味がないという思いがあるのかもしれません。規模についてはできる範囲ですればいいと提案しているので,前向きに考えてもらえたらいくらでも方策はあるはずです。
連絡会議で申し合わせをして,各団体が共同歩調をとることができれば,一つの事績が生まれます。その意図を実現する働きかけは今後も続けていくつもりです。
団体の置かれている状況は,必ずしも良好ではありません。団体は公的補助を受けていますが,その注入が危うくなりはじめています。財政の逼迫化によって補助の削減という動きが見えてきました。公的な補助に対してその対費用効果の判定が厳しく持ち込まれてきます。公的な活動であるかどうかの評価がなされ,その先には事業毎の査定も必然として行われるはずです。そうなると団体の会員個人に帰すると思われる事業については,補助対象から外されることもあり得ます。今後は公的な事業の実績が重要視されるのは必定です。
また,予算の執行についても,より効率的な運用が求められます。いわゆる丼勘定はできなくなります。経常費の圧縮はもちろん,事業費の節減も不可欠です。少ない予算でより効果的にという難しい舵取りを強いられることになります。その策として,類似事業の団体間の統合が考えられます。もちろんすべてがそうなるというわけではありませんが,可能性のあるものは採用することが賢明です。
連絡会議が,苦難を乗り越えるパートナーとしての結びつきを育んでくれることを願っています。そのためにはさらなる布石が必要になります。取りあえず想定できることは,社会教育委員の指導性を各団体に注入する道筋の設置です。委員が団体の主な会議にお邪魔できるようにオブザーバー的な資格を与えてもらうことです。組織の活性化のために部外者の声を取り入れるという名目も成り立つからです。
連絡会議には,社会教育計画書との関連というもう一つの目的があります。各団体の活動を計画書の上に配置していくことで,町全体としての活動推進を図ることができます。個々の団体活動が全体の活動につながっているという設計図が,社会教育計画書の意味だからです。ところで,その計画書に掲げられている活動事例等は団体や行政の実績だけで網羅できるわけではありません。必要ながら未実施の活動も努力活動として添えられています。計画書という地図を参照しながら,団体活動のより一層の進展を提示したことがあります。そんなことを急に言われても,という戸惑いが返ってきました。計画書が団体による活動の位置付けと方向性を示していることの理解が十分ではありませんでした。教育委員会の作文であろうという認識であったようです。計画書など読んでみたこともないという現状はとても残念ですが,それが現実の姿であることは覚悟の上です。大事なことは根気よく動かそうと力み続けることしかありません。誰がその役回りを演じるか,問題ですが?
《今後の取り組み》
連絡会議の目的が何か,集まって何をするのかが見えてこないという声があります。その声に答えなければなりません。大きな流れはともかく,会議毎に何かがやれたという確かな手応えが求められています。小さなアイテムの提案をして,する?しない?の結論を出してもらうこともできます。あるいは,具体的な相談ごとを持ちかけて知恵を借りるということもあります。
具体的な提案をぶつけていく中で,一つの流れを維持しておくことにします。それは,社会教育団体の責任という視点です。単なる好き者の集まりではないという自覚を促すことです。少なくとも,社会教育団体として補助を受けているということに対してどう責任を果たすかという課題があるはずです。そのことに気付いてもらうことが最も大きな取り組みになります。しばらく時間を掛けて挑戦してみます。
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