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【第18章 新任社会教育委員オリエンテーション】
わが町では,役職指定による社会教育委員への委嘱が一部なされているために,委員の交代が起こります。ほとんどの方が社会教育委員の存在も知らなかったという無垢のままに委員に委嘱されるのが現実の姿です。そこで,わが町の社会教育委員はこれまでどのような活動をして来たかという概要をまとめた資料を作成し,提供しています。全体のイメージと年間の日程を理解しておいていただきたいという思いからです。
以下に載録しておきますので,ご笑覧ください。お気づきの点などありましたら,HPトップにあるメール便でご教示いただければ幸いです。
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【社会教育委員の手引】
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社会教育委員のご就任をお慶び申し上げます。
社会教育委員を引き受けられて,最初に思われることは,
「社会教育委員とはどんな活動をしているのか?」
ということでしょう。初めての役職には,期待と不安があるものですが,同時に責任も重く受け止めることになります。
そこで,社会教育委員として法的に期待されている役割から活動の現状までを概略としてまとめておくことにします。これからの活動のベースとして知っておいてください。
はじめに,立場上の留意点を簡単に述べておきます。
社会教育委員は独任制といって,委員一人一人が独自に活動することができます。しかしながら,諮問や提言などは,委員の総意という形式に則ってなされることになっています。そのために会議に関する取り決めがあり,会議の議決を経るという手続を踏んでいます。組織的活動であることを了解しておいてください。
また,社会教育委員が,委員として具体的な実践活動をすることは,原則として,期待されてはいません。仮に実践者の役割が課せられているとすると,社会教育主事のような資格が求められ,さらに相当の手当て等が支給されるべきです。そのような要件は整っていません。したがって,委員はあくまでも支援者,コーディネーターとして間接的な役割を担うことになります。もちろん,組織を代表する立場からの委員は,自らの組織活動を通して必要な社会教育活動を実践することは組織代表として当然のことです。
社会教育分野での具体的な活動は常に時代背景とともに動いていきます。その動きを見極めて,新しい活動が展開されるように指導することも大事な役割です。焦ることなく,じっくりと課題に取り組んでくださることを願っております。
なお,社会教育委員に限らないことですが,公的な委員を引き受けた以上,最大限の参画が責務となります。余人に代え難い方々であるのは当然のことではありますが,参画に支障があれば無に帰します。他の参画できる方であれば活動ができたであろう機会をないがしろにすることになります。蛇足ながら,役職とは果たしてこそ公的な意味のあるものとご理解下さるようにお願いいたします。
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《1.社会教育法》
社会教育委員は,社会教育法に基づいて委嘱され,同時に期待される役割も規定されていますので,関連する条文はしっかりと読み込んでおくことが大切です。以下に,活動上必要と思われるものを抜粋しておきます。
《社会教育の定義》
第2条 この法律で「社会教育」とは、学校教育法に基き、学校の教育課程として行われる
教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体
育及びレクリエーションの活動を含む。)をいう。
《社会教育関係団体の定義》
第10条 この法律で「社会教育関係団体」とは、法人であると否とを問わず、公の支配に属
しない団体で社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とするものをいう。
《文部科学大臣及び教育委員会との関係》
第11条 文部科学大臣及び教育委員会は、社会教育関係団体の求めに応じ、これに対し、専
門的技術的指導又は助言を与えることができる。
2 文部科学大臣及び教育委員会は、社会教育関係団体の求めに応じ、これに対し、社
会教育に関する事業に必要な物資の確保につき援助を行う。
《審議会等への諮問》
第13条 国又は地方公共団体が社会教育関係団体に対し補助金を交付しようとする場合に
は、あらかじめ、国にあつては文部科学大臣が審議会等で政令で定めるものの、
地方公共団体にあつては教育委員会が社会教育委員の会議の意見を聴いて行わな
ければならない。《改正》平11法160
《報告》
第14条 文部科学大臣及び教育委員会は、社会教育関係団体に対し、指導資料の作製及び
調査研究のために必要な報告を求めることができる。《改正》平11法160
《社会教育委員の構成》
第15条 都道府県及び市町村に社会教育委員を置くことができる。
2 社会教育委員は、学校教育及び社会教育の関係者、家庭教育の向上に資する活動
を行う者並びに学識経験のある者の中から、教育委員会が委嘱する。
《社会教育委員の職務》
第17条 社会教育委員は、社会教育に関し教育長を経て教育委員会に助言するため、左の
職務を行う。
1.社会教育に関する諸計画を立案すること。
2.定時又は臨時に会議を開き、教育委員会の諮問に応じ、これに対して、意見
を述べること。
3.前2号の職務を行うために必要な研究調査を行うこと。
2 社会教育委員は、教育委員会の会議に出席して社会教育に関し意見を述べること
ができる。
3 市町村の社会教育委員は、当該市町村の教育委員会から委嘱を受けた青少年教育
に関する特定の事項について、社会教育関係団体、社会教育指導者その他関係者
に対し、助言と指導を与えることができる。
《社会教育委員の定数等》
第18条 社会教育委員の定数、任期その他必要な事項は、当該地方公共団体の条例で定め
る。
《学校施設の利用》
第44条 学校の管理機関は、学校教育上支障がないと認める限り、その管理する学校の施
設を社会教育のために利用に供するように努めなければならない。
《学校施設利用の許可》
第45条 社会教育のために学校の施設を利用しようとする者は、当該学校の管理機関の許
可を受けなければならない。
2 前項の規定により、学校の管理機関が学校施設の利用を許可しようとするとき
は、あらかじめ、学校の長の意見を聞かなければならない。
第47条 第45条の規定による学校施設の利用が一時的である場合には、学校の管理機関
は、同条第1項の許可に関する権限を学校の長に委任することができる。
2 前項の権限の委任その他学校施設の利用に関し必要な事項は、学校の管理機関が
定める。
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※追記
1.社会教育委員の身分は,非常勤の特別職の地方公務員であり,条例の定める所により
報酬,費用弁償が支給される。
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《2.○○町における条例等》
2.1 ○○町社会教育委員に関する条例
《目的》
第1条 この条例は,社会教育法第18条の規定に基づき,○○町社会教育委員の設置
その他必要な事項を定めることを目的とする。
《社会教育委員の設置》
第2条 ○○町教育委員会に○○町社会教育委員を設置する。
《委員の定数》
第3条 委員の定数は,10人とする。
《委員の任期》
第4条 委員の任期は,2年とする。ただし,補欠の委員の任期は,前任者の残存期間
とする。
《委員の解職》
第5条 委員に特別の事情が生じた場合には,教育委員会は,その任期中であっても
これを解職することができる。
《委任》
第6条 この条例に定めるもののほか,委員に関し必要な事項は,教育委員会規則で
定める。
2.2 ○○町社会教育委員会議運営規則
《趣旨》
第1条 この規則は,○○町社会教育委員に関する条例第6条の規定に基づき,○○町
社会教育委員の会議運営に関し必要な事項を定めるものとする。
《会長及び副会長》
第2条 委員の会議には,委員の互選による会長,副会長各1人を置く。
第3条 (削除)
《会長及び副会長の職務》
第4条 会長は,会議を招集し,これを主宰する。
2 副会長は会長を助け,会長に事故あるとき又は欠けたときは,その職務を行う。
《会議の招集》
第5条 会議は,必要がある場合に招集するものとする。
2 前項の規定による招集は,会議開催の日時,場所及び会議に付議すべき事項を
あらかじめ通知して行う。
第6条 会長,副会長がともに欠けたときは,第4条の規定にかかわらず,教育長が
会議を招集する。
《会議の定足数及び議決》
第7条 会議は,在籍委員の半数以上が出席しなければ,これを開くことができない。
2 会議の議決は,出席委員の過半数でこれを決し,可否同数のときは会長が決する
ところによる。
《その他必要な事項》
第8条 この規則に定めるもののほか,会議に関し必要な事項は,会長が会議に諮って決
定する。
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※追記
1.社会教育委員は,合議体として活動する場合,「社会教育委員の会」と称します。し
たがって,社会教育委員会という会は存在しないことになります。
2.社会教育委員は,行政主催の社会教育行事に招待を受ける場合があります。委員とし
ての役目の一環として,ご出席をお願いします。来賓紹介が付随しますので,社会教
育委員の存在を町民に周知できる機会でもあります。
3.各種の公的な会議組織等に対して,社会教育委員の会から委員の推薦を求められるこ
とがあります。会議で諮って推薦となります。通常は代表という形になりますので,
会長の充て職になっています。
・○○地区社会教育委員連絡協議会
・青少年問題協議会 ・青少年育成町民の会(専門部長)
・図書館協議会 ・人権教育審議会 ・行財政改革推進委員会
・教育問題審議会 ・総合計画審議会 ・地域福祉活動計画策定委員会
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《3.○○町社会教育委員の主な職務内容》
○○町における社会教育活動の推進について,これまでに先輩委員が陰に陽に幾多の貢献を積み重ねてきました。その伝統に支えられて今後も時代に相応しい寄与をするために,社会教育法第17条の規程に則って,以下のような職務を果たすことが求められています。
職務の中で,何を考えればいいのかという基本的な事項については,状況に応じて変わりますが,○○町の社会教育活動及び生涯学習活動を推進するという目的があります。いつもそのことを念頭に置いておいてください。
1.○○町社会教育計画書(案)の策定(社会教育法第17条第1項−1)
・毎年度5月までに社会教育計画書(案)を立案し,教育委員会に答申する。
・この計画書は,教育委員会発行の計画書として,「生涯学習研修会」において,
社会教育委員によって各層指導者に説明,配布される。
2.会議の開催
・定例の会議は,毎月第三金曜日に開催し,情報交換や協議を行っている。
なお,会議では議事に先立ち2名ずつ輪番で5分スピーチをしている。
・必要な協議のために,臨時あるいは部会毎の会議を開く。
・必要な協議とは,教育委員会からの諮問があった場合,調査研究を実施する場合,
事業の反省や提言の詳細な検討の場合などである。
3.専門分野の担当
・全委員が分担して専門領域を担当する体制を採用している。
・専門領域とは,成人教育,公民館活動,社会体育,芸術文化,ボランティアの5
領域であり,委嘱時に希望を勘案して担当する。
・青少年に関する活動はその重要性によって全員が関与するものとする。
例えば,青少年健全育成町民会議の事業である諸団体の輪番制による休日巡回補
導活動にも参加する。年間2,3回の出席が求められる。
・委員は,専門領域ごとに○○町における年間の社会教育活動に着目し,年度末の
活動反省及び計画立案に生かす。
4.社会教育関連事項について提言等
・現状を把握し課題を発見し適切な対応を考察し,教育委員会への提言や社会教育
関係団体への助言という具体的な支援活動をする。
5.研修への参加と報告(社会教育法第17条第1項−3)
・各委員には社会教育に関する研修の機会を与えられている。
・全国大会と九州大会にそれぞれ数名の委員参加が,福岡地区大会および○○地区
大会には全員参加が予定されている。
・各研修会に参加した委員は提言を含めた研修報告を提出する。この報告は年度で
一括して綴り,「研修報告書」として町長及び教育委員会に配布提出する。
・○○地区研修会においては,隔年毎に活動発表の機会が与えられる。
6.社会教育団体への補助金の審議(社会教育法第13条)
・教育委員会から社会教育関係団体への補助金について意見を求められる場合に,
適切な補助であるかどうかを回答する責務を果たす。
7.教育委員会との合同会議(社会教育法第17条第2項)
・社会教育委員が教育委員会において意見を述べることができるという法令上の役
割は,教育委員と社会教育委員との合同会議という形式で実施されている。
・この会議では,社会教育活動に関する意見の調整や活動目標の確認などを図る。
・生涯学習や健全育成のあり方について,共通理解を図る機会として機能している。
・会議への提案は,各年毎に交代で行うようにしている。
8.社会教育関係団体等連絡会議
・社会教育関係団体との関わりのために,連絡会議が開催されている。
・会議は,8月と年度末の3月に開催される。
・参加団体は,○○町全域の団体である,子ども会育成会連絡協議会,青年団,空
と海の会,PTA連絡協議会,婦人会,体育協会,文化協会,公民館主事会,老
人クラブ(福祉)である。
・出席者は,各団体代表,教育委員,社会教育委員,社会教育行政職員である。
・会議では,各団体年間活動の紹介と意見交換による活動の融和と推進が図られる。
・会議の議長は社会教育委員の会会長が務める慣例になっており,各委員は協議の
中で指導や助言を行うことが期待されている。
9.ミニ研修の開催
・定例会議の中で,活動実践指導者を招いてのミニ研修を行うことがある。
・当事者の話を聞くことで実情や課題等が明らかになるという目的がある。
10.その他の活動
・○○町における社会教育活動の推進に必要な懸案を協議し,具体的提言をする。
・例えば,調査活動,組織再編や新設,運営指導,連携方策,情報発信・・・。
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追記
1.社会教育法第17条第3項にある「青少年教育に関する特定の事項について助言と指
導を」という役割は,委員全員に期待されているものではなく,別途特定の委員にの
み個人的に委嘱されるものです。指導者への指導という職務内容を考えると当然です
が,それなりの明確な指導資格を備えているという根拠が必要になるからです。
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《その他のオリエンテーション》
実際に新任委員に提供される資料には,当該年度の「年間スケジュール一覧表」が添付されます。委員の委嘱を受ける際に,どれほどの実働日数があるのかということはかなり関心が持たれることです。月に一回の会議に出れば済むといった認識では,十分に役割を果たすことはできません。事前に実情を把握していただき,それなりの繰り合わせをお願いすることは,委嘱をする上で不可欠な説明責任です。
また,報告書や社会教育計画書の現物を可能な限り配布します。はじめてのことには,手本が必要です。その手本を習った上で,独自の工夫を加えることによって,活動内容の進展が期待されると考えています。
委員の力を結集するためには,それなりの下支えをすることが大事なことは自明のことですが,それをどのように具体的な形として実現するかが問題です。これで十分という段階にはまだ至りませんが,これからも何ができるかを考えていくつもりです。
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