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【健全育成の環境浄化?】
毎年県警から「少年のみちびき」というパンフレットが発行されます。前年中に検挙補導された刑法犯少年の実態統計が報告されています。各市町別の状況が数表化されているので,近隣の市町について年次推移をまとめています。委員会などの場で配る参考資料にして,数字から見えてくることをいくつかお話ししています。
統計は発生地別と居住地別に整理されています。居住地別が「わがまちの子ども」であり,発生地別が「わがまちでの犯行」ということです。二つの数字に違いがあります。発生地別の方が多い場合,よその子どもが入ってきて犯行を行うということになります。商業施設が多いまち,交通の便がいいまちが,呼び込んでいるようです。大人の指導の目は,他市町の子どもにも向けられなければならないようです。同時に,よそに出かける子どもにも注意をする必要があります。
件数の半数が,「占有離脱物横領」という範疇に入っています。パンフレットの説明によると,占有離脱物横領とは,道路や駐車場に長期間放置してある自転車やオートバイを「捨ててあったから」と勝手に判断して乗り回すこと,と例示されています。管理されているものを持ち出すことに対しては歯止めが利いているようですが,管理されていないと思われると,盗むという判断が消えて,拾うという判断にシフトするようです。このわずかな判断違いは,犯罪に対する踏み止まりをすり抜ける穴を穿つことになります。抑制力が働かなくなるということで,先が心配です。
つい出来心,軽い気持ちでという状況が起こらないようにすることが,環境の浄化になるはずです。放置自転車は,犯罪を誘起するということです。子どもたちを見守ることも大事ですが,子どもたちが出来心を持つことがないように,環境を整理するということも効果的であるはずです。少なくとも検挙補導される刑法犯少年が半減することになるからです。
ところで,わが町には青少年指導員という制度があります。警察と連携している青少年補導員とは異なった制度です。数百世帯規模の行政区毎に2名の委嘱が行われています。一般人の協力を得る制度なので,見守るという職務に限定されており,もちろん補導といった直接的な働きかけは求められていません。その制度が効果的に機能していないという声が,当の指導員からあがってきます。日常的な連絡があるわけでもなく,見回るといっても何をどう見回ればいいのかが曖昧であり,委嘱を受けた意味が感じられないというのです。制度の運用側も,誰かを委嘱し,警察などからの説明といった研修を済ませれば,後はどうぞ好きにやって下さいと放り出しているのかもしれません。
子どもたちが道を踏み外さないように,放置自転車を片付けたり,違法なステッカーを剥がしたりといった間接的な働きもできるはずです。具体的な活動を積み上げていく考察が待たれます。社会教育委員も無関係ではありません。少し情報を収集して提案しなくてはならないでしょう。
(2005年06月22日)
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