*****《ある町の社会教育委員のメモ》*****

【社会教育関係団体等連絡会議?】

 毎年恒例の社会教育関係団体等連絡会議の夏季会議を開きました。その概要の紹介と,会長としてのコメントをしておきます。

【招集者】
・教育委員長及び社会教育委員の会会長
○会議の企画は社会教育委員の会で,進行は社会教育課,主催を教育委員会。

【出席団体】
・子ども会育成会連絡協議会,小中学校PTA連絡協議会,青年団,空と海の会
 婦人会,体育協会,文化協会,老人クラブ連合会,自治公民館主事会
・体育指導委員会,教育委員会,社会教育委員の会,社会教育課
○団体からは3名の出席。委員会等は全員出席

【趣旨】
・社会教育関係団体の役員が一堂に会して,意見交換をする機会を持つことによって,相互の理解と連携を図ることを目的とする。
・教育委員及び社会教育委員が,各種団体の目標や活動状況,課題を聴取し,具体的な理解を図ることを期待とする。
○助言や指導をしたり,あるいはニーズを把握する機会でもある。
○協議に入る前に,協議についての趣旨を社会教育委員の会会長より説明する。

【協議内容】
○協議の進行は,社会教育委員の会会長が務める。
○各委員及び職員等も分散してグループに分かれ,協議に参加する。

《全体協議》
○連絡会議を一つの組織体として,共通の活動を実践するための企画を協議する。
・社会教育委員の会からの提案として,まちの中にある美しくホッとするヒト・モノ・コトを探して,団体毎に推薦をし,町の行事の開催会場でパネル展示をする活動を実施する。その具体的な内容等について協議を行う。
・垣根の道路側に花を見せてくれる人と見る人,笑顔で向かい入れる人と入る人,和やかな場を作る人と楽しむ人,そんな温かな情景をあちこちで見つけてほしいというまち発見の活動であり,その探索の目で普段のまちを見守る癖をつけてほしいという願いがある。
・まちに目を向けることによって,まちをよく知るようになり,やがてはまちと関わろうという気持ちが育つことを目的としている。

《分散協議》
○3つのグループに分かれて,社会教育委員による司会進行で,時々のテーマに沿って意見交換を行う。昨年は,子どもに期待する「○○する力」を思いつくだけあげてもらうワークショップを開き,その結果を社会教育委員の会でまとめ,教育委員会に「子どもの12の基礎力」として提言した。
・今年は,各団体が実施している活動に込めたまちづくりに向けた願いやねらいについて,意見交換を行った。各団体はそれぞれの会則にまちづくりへの貢献を目的として掲げており,そのことをどこまで意識しているかを探るということ,あるいはこの機会に意識してもらうことを図るという意図がある。
・3人が3つのグループに分かれるので,各グループには団体から1人の参加になり,発言をしないといけない形になっている。何か結論を出す協議ではなくて,意見交換を主とするので,話の流れは不定となる。
・それぞれが団体の中心メンバーであり,思いがあり,また悩みも出てくる。そこに共感が育まれ,可能な協力の動きも現れ,共同事業も実現した。

【報告】
○各グループで話し合われたことを,記録係の社会教育委員が報告する。
・人づくり,健康づくり,美化活動,あいさつ運動などでまちづくりを目指している。
・団体間交流が徐々に進んできたので,この会議の意味が見えてきた。
・人の結びつきが思ったように進まないところに,共通の課題がある。
・例えば,子どもに挨拶をしても返ってこないことがあり,限界を感じる。

【会長コメント】
 会議の終わりに述べた感想です。
 社会教育関係団体の今日の集まりは,一見すると横のつながりですが,その対象である町民の側から見れば,子どもから青年,成人,婦人,高齢者までの縦のつながりになります。この縦のつながりはまちづくりの背骨になります。まちを作るためにとても大切なつながりです。分散会の報告を聞くと,その縦のつながりに触れるお話が出てきて,皆様の思いが一つにつながっていることが分かり,今日の協議をした成果が現れているとうれしく思いました。
 もうひとつ触れておきます。あいさつは社会教育計画書にうたっているまちづくり3ステップ「知り合う・助け合う・学び合う」の最初のステップにつながる大事な活動ですが,返ってこないというお話がありました。
 挨拶を受けた側の子どもにとって,「この人どこのおじちゃん?」という思いがあります。そこにはちょっとした段差があります。NHKの「ご近所の底力」という番組の中である活動が紹介されていました。ボランティアグループがあいさつ運動を始めましたが,通りで出会う人にあいさつをしても,返事が返ってこなかったそうです。そこで考えてユニフォームを着用したら,あいさつが返ってくるようになったそうです。あいさつが返ってこないのは,返してもらえるようなサインが不足していたのではないかと考えてほしいのです。
 団体の活動を通して働きかけをしてうまくいかないとき,もう少し自分の方のことを考えてみるようにしていただけたら,よりいっそうの進展があると思われます。思いを伝えたつもりでも,伝わっていないことがあります。あいさつによって思いを伝えるだけではなく,さらにはあいさつを受けるサイン,笑顔を添えるといったことのほかに,自らを証明するシンボルサインが必要です。安心・信頼のサインです。

・・・・・以上・・

 平日の夜,2時間の会議ですが,毎年積み上げていくことで,少しずつなじんでいっているという感じを受けます。この会議によって,社会教育委員も成長しています。お互いに助け合いながら,自然と学びになっている,そんな状況を会長として心密かに願っています。

(2008年08月29日)