【第2章 子どもと地域とのつながり】
次に,子どもはどのような地域生活をしているか,親はどう思っているかについて,調査結果を見ておきます。
2.地域の人たちとの交流
○子どもは近所の人とも親しくつきあっていけるはずですが,
1年未満では子どもにきちんと挨拶をさせようとして気をつけて見ているせいでしょうか,「よくしている」が高くなっています。1年を過ぎると親はまだ近所に慣れていないために挨拶していることを目にすることが少なくなり,「時々」が増えています。3年を過ぎると親も近所づきあいができるようになるので,あらためて挨拶に気配りし,「よくしている」が増えます。5年を過ぎると親は地域という広がりに目を向けるようになるので,子どもが挨拶している大人の範囲が狭く感じるようになり,「時々」が増えます。「よくしている」が居住年数でデコボコしているグラフは,親の方の揺れ動く事情を反映しているものと思われます。
○ただ,近所の人は子どもを注意することもありますが,
近所の人も子どもを注意するためには,その親となじみになっていないと注意しにくいものです。家族が5年を経過して居住していると,地域の人も仲間として受け入れ,子どもに温かい気配りをしてくれるようになります。
「知らない」が3年で突出しているのは,親が地域とのつながりをまだ確立できていないために見えていないということでしょう。
親の地域へのつながりは,その程度に応じて,子どもを取り巻く地域環境の見え方を変えるのみならず,我が子への地域の大人の関わり方も左右します。これが地域の教育力の姿なのです。親たちによる子育てを招くためには,親たちが暮らしの上でつながる必要があります。5年の壁に着目することによって,その連鎖が明らかになりました。