***** 《ボランティアの窓》 *****

【相手への思いやりを形に表していますか?】

《第07章》

 約束の時間に遅れたとき,「ごめんなさい,車が混んでいたものだから」と言い訳をしがちです。それは遅れたことを相手に分かってもらおうというつもりです。でも,その前に言わなければならない言葉があります。「ずいぶんとお待ちになったんでしょう。心配をかけました」と,先ず相手の思いを察することです。自分の思いを先に受け取ってくれると,待つときのイライラはずいぶんと緩和されるものです。

 人はそばにいないときでも気配りをしてくれていることに感激するものです。例えば,子どもはパパが出張で留守をしたとき,おみやげを待っています。帰ってきたパパの鞄からおみやげを探し出して喜びます。そのおみやげも数日すると忘れられてしまいます。せっかく買ってきたのにと思いますが,それでいいのです。子どもはパパが出張先でも自分のことを忘れていなかった証拠としておみやげがうれしいのですから。親子でもそうなのですから,ましてや他人同士の場合はなおさらでしょう。

 ボランティア活動を受ける人は人恋しい気持ちがあるでしょう。そこまで思いやりを届けてあげられたら素敵です。そのためには,誕生日を覚えておいてささやかな花でも贈るとか,好物を聞いておいて「思いがけなく手に入ったから」と届けたり,「昨日は寒かったから心配していたんですよ」と言葉をかけたりします。気にかけてくれていることを知れば,人は気持ちが温かになります。そこが仕事としてのお手伝いとボランティアによるお手伝いの決定的な違いです。