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【ガラス張り 運営してこそ ボランティア】
《ボランティア・ノウハウ:第04条》
ボランティア活動は集団組織として実践されることが普通です。特定の活動を請け負うためにはそれなりの人数の確保が不可欠だからです。そこで,組織運営という問題が避けて通れません。さらに,複数のボランティア組織による連携活動も出てくるはずです。運営という役割を担う代表者を立てる必要が出てきます。活動の継続を図るなら,組織として備えておくべき要件があります。最小限のものについて,簡単に述べておくことにします。
まず,組織であるためには規約が不可欠です。一般的には,何を目標にする団体組織か? 構成員の資格は? 具体的な実践活動は何か? いつ,どこで? 活動資金はどうするのか? 代表の選出は? 任期は? 役割は? 入退会は? 規約改正は? といった点について,決めておけばいいでしょう。気持ちを同じくする人が集まって立ち上げたボランティア組織では,改めて規約といったものを作らなくても,何となく対応していくことができます。それでも,賛同者が加入してくると,規約なしでは,古株の人が恣意的に運営をすることに対して,あれこれと不平不満が現れます。組織の性格が皆に周知されていないからです。規約は団体組織のイメージを共有するために大事な説明になります。
そのほかに,行政が主導して集められた組織では,行政任せになって,規約も提示されないままに何がどうなっているか知らず,ただ実践をするだけに留まることもあり得ます。これでは,自分たちの組織という感覚を抱くことができないので,活動の意欲が低迷します。
ボランティア活動それ自体は無償であるにしても,活動には資金が必要です。行政などからの補助をあおぐことになるでしょう。他には廃品回収やバザーなどの事業活動をして収益金を得ることもあるはずです。また,構成員の親睦を目的とした会費を集める場合もあるかもしれません。いずれにしても,金銭を扱います。そこで,会計報告をする義務が生じます。補助金を適正に使用したという事実を明らかにする義務,構成員に対して使用目的を周知する義務,組織の明朗性を部外に示す義務などがあります。予算と決算からなる報告書の作成が必要です。
下世話なことを言えば,組織にとって最も致命的なスキャンダルは不明朗な会計です。使途不明という金銭上のいい加減さは言い逃れのしようがありません。きちんと処理をして当たり前なのですが,それを怠ると組織の存在を脅かすことになります。
活動記録を年度ごとに集約しておくこともしなくてはなりません。日付と活動名,参加者数などをきちんと整理した活動報告書を作成しておきます。そうすれば次年度の計画も自然に見通しがつきます。その上で活動の拡大や深化を図る企画を考える余裕が生まれてきます。行き当たりばったり,その場しのぎでは追いかけられることになり,活動にゆとりがなくなります。
少なくても以上の三点をきっちりと処理しておけば,組織活動の基本的な体制はできあがります。同時に,構成員すべてに対してガラス張りの運営をすることができます。組織がどう動いているかを皆が熟知することで,誰でも運営に関わることが可能になります。代表の交代もスムーズに進むでしょう。中心になる人の負担も軽減されます。参画できる組織作りが実現するはずです。
組織の運営は難しくはありませんが,必要なポイントがあります。それさえきちんとおさえておけば,大丈夫です。ボランティア活動に参加することで,組織活動の仕方を学ぶこともできます。ただし,その気になってよく見なければなりません。自分だったらどうするか? そういう視点を持ち続けていただければ,きっと素晴らしい運営者になれることでしょう。
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