***** 《ボランティアの窓》 *****

【ボランティア 仲間が集い 長続き】

《ボランティア・ノウハウ:第05条》

 日常の暮らしの場における個人的なボランティア活動であると,その方の都合次第となり,継続的な活動ができません。そこで,何人かの仲間が集い,調整する役割を備えると,都合をつけあって組織としての効率的な社会活動が可能になります。時間があるときにやるというボランティア活動だけでは,組織としての活動にならず,少なくとも続けていくのが難しくなるという現実があります。組織の継続的な活動を実現させるためには当然事務局が必要になり,かなり中心として活動できるスタッフが求められます。ところで,ボランティア団体という組織になると,NGO,NPOという類別が現れます。ここでは,この区別について簡単に触れておきましょう。

 「NGO」とは,Non Governmental Organization の略であり,非政府組織(機関)という意味です。当然のこととして,民間団体も含むことになります。そこで,「市民団体は政府ができる前からあったじゃないか,"政府ではない"と否定形でいわなくてもいいじゃないか」という意見もあって,「CSO」,つまり Civil Society Organization という言い方をすることもあります。
 「NPO」とは,Non Profit Organization の略であり,非営利団体・非営利組織という意味です。この言葉はアメリカに由来するもので,英国では,Voluntary Organization と言っています。社団法人,財団法人,医療・学校・宗教法人などの公益法人すべてを指し,もう一つの公共を創造する社会セクターと位置づけられています。平成10年3月に「特定非営利活動促進法」が制定され,ボランティアをはじめ,市民活動を目的に10人以上の会員で構成すれば法人格を持つことができるようになりました。

 日本の場合は,市民活動があって,その中の一部,届け出をして認証を受けたものがNPO法人と呼ばれていることが多く,届け出て認証されているわけではないグループをNGOというふうに区別をしているようです。また,一般的な使われ方として,「国際貢献のような分野で活動する非営利団体をNGO,環境や町づくり,福祉の分野で活動する非営利団体をNPOと呼んでいるようです。このように,日本では区別がありますが,アメリカやヨーロッパではこの区別はありません。

 NPOについて,Non-Profitが非営利であるということから,多くの人たちは,「NPOというのは非営利団体だから儲けちゃいけない」と思っているところがあります。また,NGOやNPOの側にも「自分たちは,非営利なんだから,儲けちゃいけない」と非常に切り詰めて小さく活動しているところがあります。Non-Profitの意味は,NPO法の解説にも書いてありますけど,「利益が上がったときにそれを仲間内で分けない」ということです。自分たちの次の事業に使うということを明確に約束していれば,いくら利益を上げてもいいのです。利益が上がったときに,自分たちで分けるのではなくて,次に使うことにしている,というだけの意味にすぎません。
 実際的に考えても,NPOだってNGOだって,儲けないでは活動を続けられるはずもありません。ボランティア活動が持続するためには,ちゃんと収益を上げつつ,それを次のプロジェクトに投資をしていくのでなければ,プロジェクトも活動も大きくなりません。誰か特定の人に頼っているとか,みんなの善意におんぶしていると,そこから絶対大きくなりません。Non-Profitの意味を誤解しないようにして活動しなければなりません。

 今,法律ができたこともあり,NPOが増えています。その理由の一つとして,自分たちの地域や自分の生活は,自分たちでコントロールしたいという気運の高まりがあります。また,政府にできることや政府に期待できることには,マンパワーや予算の面で限界があることがわかってきました。それだったら自分たちでやるしかありません。もう一つは,時代の流れが急速に動いているときには,政府組織だと大きすぎて動きが遅くついていけません。そこで,自分たちで,小回りのきく小さな動きでいいから始めようというNGOやNPOがたくさん出てきています。
 ところで,ここに新たな問題が浮上しています。行政はいまお金がないですから,これまで行政でやってきた役割を果たす手足としてNPOが使われることです。日本ではNPOの歴史もなく,地域の活動を地域の人がお金を出して支えあうということも常識にはなっていないないので,NPOはだいたいお金がなく,財政的に苦しいところが多いのです。NPOとして法人化されているといろいろな委託を受けることができ,行政から委託ということで仕事が入ると,財政的に助かりますから,喜んで受けます。でもそうすると,その行政が頼んでくることばかりに時間と人が割かれて,自分たちがその活動を立ち上げようと思った本当の理由に手が回らなくなります。特に,福祉などの分野では,気をつけないと,行政の手足として使われてしまうことがあるようです。もちろん,うまく手足として使われながら,自分達たちの考え方を広めていくという「トロイの木馬」的活動もありますが,リーダーの力量が問われます。
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