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【ボランティア 気配り上手で 喜ばれ】
《ボランティア・ノウハウ:第06条》
ボランティア活動は,人間関係を基本としています。その上,手助けをする人,される人という立場上の難しさがあります。つまり,ボランティアが気配りを欠くと,対等な人間関係にならなくなります。助けてもらう側の人が律儀な生き方の人であれば,負い目が芽生えるということです。ボランティアは大したことではないと思うことでも,関係をこじらせてしまう要因になります。そのようなケースをボランティア活動を行う上で気をつけたいこととしてまとめておきましょう。
(1)しぶしぶ型
いろんな場面で,愚痴が多いボランティアです。ボランティア活動は人がやりたがらないことが多いので,どうしても作業などは面倒なものです。その面倒さについ負けて,愚痴っぽい物言いが出やすくなります。ボランティアはそのつもりはなくても,してもらっている方はその愚痴が自分に向けられているように感じられます。
愚痴などこぼさず,黙々と用件を済ませればいいのでしょうか? そのような態度は人を寄せ付けません。なぜなら,ボランティアの心が閉じているからです。ボランティア活動の目的はただ単に用件を済ませることではなくて,人間関係を結ぶことにあることを忘れていることになります。
最初に明るいあいさつを交わしておくと,このすれ違いは減殺されます。人間関係では,あいさつが基本です。気持ちの良いあいさつを交わせば,お互いの距離が縮まり信頼感もアップします。極端な場合として,もしも挨拶を返されなかったら無視されたことになります。あいさつは簡単なことですが,人のつながりを認め合う大事な証なのです。
(2)自己中心型
相手が何を求めているかより,自分が何をしたいかを中心に行動するボランティアです。ボランティア活動は遊びではありませし,仲間だけの仲良し集団ではありません。ボランティア活動先の人たちとの交流や関係者の立場を尊重するために,誠心誠意,謙虚な気持ちを持って取り組まなければなりません。
たとえば,相手の前で仲間同士ヒソヒソ話をしないことです。たとえ単なる打合せなどであっても,急に声を潜められるととても気になるものです。関係のない余計なことを聞かせないという気配りをしてのことかもしれませんが,それなら自然に座を外したところでする方がよいでしょう。
また逆に,ボランティア同士で作業をしながら全く関係のないおしゃべりをするのも,相手を無視することになるので止めるべきです。一緒に興じることができるような内容について話すようにしてください。
(3)わがまま型
ボランティアだからと自分の都合を最優先するようなボランティアです。ボランティア活動をするかどうかは,あくまでも自主的な判断に委ねられています。強制されるものではないからです。しかし,その判断をその都度持ち出されるとボランティア活動は成り立ちません。すなわち,すると決めたら,その時点からやり遂げるという約束責任が発生するのです。
活動には当然のことながら相手があります。そこには一種の契約が結ばれます。したがって,一方的な中止は契約不履行となるのです。ボランティア活動は勝手気ままにするものではありません。「できるときに」というキーワードがボランティアの誘い文句になっていますが,それは「約束ができるときに」という意味であると考えられるべきです。むらがあったり,不定期な参画は相手にも仲間にも迷惑を掛けることになります。ましてや連絡もなしに遅刻したり,休んだりするのは,ボランティア以前の,人としての失態になります。
もちろん,ボランティア活動を最優先にして,仕事や家庭に無理を押し付けることが求められているわけではありません。そんなことをしたら,相手も喜べないからです。自分の生活リズムを壊さないように配慮した上で,行き当たりばったりではなく計画的に時間を作り出せばいいのです。思いつきのボランティア活動ではなく,計画した活動だから継続という責任が果たせるのです。予定が狂う場合もありますが,それは事前に相談すれば仲間同士でかばい合うこともできます。そのためのボランティア仲間です。
(4)無神経型
無償でやっているという顔をして,相手のプライドを傷つけるボランティアです。意識的にする悪意の人はいないでしょうが,自分の至らなさが波及するという洞察が未熟であれば,そのつもりがなくても結果としては望ましいことではありません。特に相手は立場として守りに入っています。自分のことで精一杯であり,唯一プライドだけを拠り所にしていることが多いのです。
プライドを打ち壊すには秘密を暴露しさえすればいいでしょう。ということは,相手のプライドを守るためには,プライバシーの秘密を守ればいいということです。そこで,ボランティアには守秘義務が求められています。それが最も大事な信頼を支える必要条件だからです。ボランティアが活動の中で知り得た相手のプライバシーは,信頼されているから得られたものです。その信頼に応える義務があります。
たとえば,複数の人を相手にするような活動で,「前の人は・・・」といった他の人を話題にすることは望ましくありません。たとえ,お互いに見知らぬ間柄であったにしても,自分のことをよそでも話しているのではと思わせてしまいます。ボランティアにすれば軽い噂話のつもりであったり,親しさのつもりかもしれませんが,そこに比較されているという見えない意図を感じられてしまいます。相手がそのような面での感受性が鋭くなっていることを,分かってあげてください。
(5)硬直型
自分の活動の範囲を勝手に決めて,新しいニーズに対応しないボランティアです。確かにボランティア活動には専門的な知識や技量を必要とする領域があります。その資格を持っていないボランティアがおいそれと関わるわけにはいきません。そのことは充分に弁えなければなりませんが,それが過敏なブレーキになってはいけません。バランスのとれた対応が求められます。
最もしてはいけないことは,勝手な解釈や自己判断です。経験の豊かな先輩や指導者に遠慮しないで尋ねることが大事です。ボランティア活動にはケースバイケースによる多様な形があるからです。一律にこうと割り切れないところもあります。ボランティアになり始めの頃には,分からないことばかりなのは当たり前です。それを自分なりに考える前に,しっかりと確かめることが先です。
そのためにボランティアの仲間がいます。組織で活動をする目的の一つでもあります。仲間を作り,一人で抱え込まないようにすれば,活動は楽になりスムーズに進むでしょう。さらに,専門機関等との連携や,地域組織活動への発展を進めることも,今後の活動目標になります。
もう一つのタイプは,言われないと動いてくれないボランティアです。何をしていいか分からないからという理由も分かりますが,ボランティア活動は自主的なものですから,待っていてはいけません。何をしたらいいかと尋ねる積極性,気付いたことは提案する前向きな姿勢が求められます。
ボランティアは数の上で余るほどたくさんいるというわけではなく,どちらかといえば手が足りないというのが現状です。一人一人が見よう見まねであっても,やってくれないと困ります。自分にはできないなどと尻込みすることなどがあれば,その分は他のボランティアの負担になっていきます。やってみて早く慣れるようになろうという姿勢が待たれているのです。
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