***** 暮らしの雑学 *****


●「内緒の蓄えをへそくりという理由は?」

 ママの財布はあっちこっちにあります。いつもの財布は買い物用ですが,違う財布もあります。パパに内緒の財布があるのを見てしまいました。だって,いつだったか「ママ,何してるの」と聞いたら,ママはあわてて「パパには内緒よ」って口止めしたからです。「どうして?」,「へそくりだから」。

 江戸中期の西鶴作「日本永代蔵」の中に,臍くり金と出てくるので,そこそこ年季の入った言葉です。臍くりと字面を見ると,ちょっぴり色っぽいニュアンスがあるような無いような。もちろん,当て字であって,本来は「綜麻」と書き「へそ」と読みます。余計分かりづらくなりますね。

 この綜麻とは,紡いだ麻糸を意味する「綜(へ)たる麻」が約されて「綜麻」と言われていました。それを「かせ」(木偏に上下の字を縦並びに書いた文字)という木具に巻き取ることを繰るというので,へそくりという言葉ができました。

 近世の庶民の家では,女房が「綜麻を繰る」内職をしてお金を貯めていたそうです。形は違っても,ママのすることはずっと昔から全然変わっていないようですね。私がお小遣いを貯めているのも,もしかしたら「へそくり?」。弟には内緒にしなくっちゃ!