12月1日 甲午
相模の守惟義奉幣の御使いとして尾張の国熱田社に参向す。神馬(黒栗毛)を献ぜら
る。また別禄を大宮司範経に遣わさる。これ殊に御祈祷有るべき事なり。
12月5日 戊戌
遠江の守義定が所領を収公せらる。当国浅羽庄地頭職は、景廉を以てその替わりに補
せらる。今日御下文を賜る。大蔵の丞頼平これを奉行すと。
12月13日 丙午
前の右衛門の尉知家に仰せ、常陸の国の住人下妻の四郎弘幹を梟首す。これ北條殿に
於いて宿意を挿む事有り。常に咲いの中に刀を鋭ぎ、ただ心端は簧以てす。而るに近
日自然露顕するが故なり。
12月20日 癸丑
佐々木左衛門の尉定綱が本知行の地悉くこれを返し給う。その上七箇国の内各々一所
を加えらる。隠岐の国に於いては他人の沙汰を交えず、一圓に地頭職を拝領す。長門
・石見両国に至っては、守護職を補せらるる所なり。