1194年 (建久5年 甲寅)
 
 

1月1日 癸亥
  将軍前の右大将家鶴岡八幡宮に御参り。還御の後椀飯有り。上総の介義兼は御征箭・
  弓・馬以下。御劔は里見の冠者義成これを持つと。
 

1月4日 丙寅
  甘縄宮の御霊社御奉幣。知家御使いたり。
 

1月7日 己巳
  御所の心経会なり。導師は法眼行恵、請僧は大法師禅衍・源信・禅寮なり。先ず上台
  所に於いて羞膳、次いで開題す。この間将軍家出御し聴聞有り。事終わって御布施を
  施さる。導師分は被物二重・裹物一つ。請僧は口別に長絹二疋。皇后宮権の大進為宗
  ・安房判官代高重等これを取る。
 

1月8日 庚午
  将軍家籐九郎盛長が甘縄の家に入御す。
 

1月9日 辛未
  御弓始めなり。
  射手
   一番 下河邊の庄司行平     和田左衛門の尉義盛
   二番 結城の七郎朝光      榛谷の四郎重朝
   三番 海野の小太郎幸氏     藤澤の次郎清近
  射終わって各々禄有り。兼ねて御前の簀子に置かるる所なり。
 

1月15日 丁丑
  将軍家三浦の介義澄が家に渡御す。
 

1月18日 庚辰
  永福寺・勝長寿院等に御礼仏と。
 

1月29日 辛卯
  御台所伊豆・箱根の両権現に奉幣の為に、進発せしめ給うと。
 

1月30日 壬辰
  伊豆の国の甘海苔を京都に進せらる。雑色吉野の三郎御使いたりと。