9月2日 己丑
東大寺供養の御布施用途を京都に進せらる。仲業・行政等奉行たり。送文を御使い雑
色時澤清常に下すと。
9月3日 庚寅
営中に於いて毘沙門講演を始行せらると。
9月6日 癸巳
将軍家三浦三崎の別業に渡御す。若宮の垂髪等を召され、廻雪の袖を翻す。その後小
笠懸の勝負と。
9月11日 戊戌
永福寺内新造の御堂宿直人の事、今日これを結番せらると。結城の七郎・畠山の次郎
・和田左衛門の尉等その人数に有りと。
9月22日 己酉
歯の御労再発すと。
[愚管抄]
興福寺供養なり。甚雨なりけり。
9月23日 庚戌
但馬の国多々良岐庄は、源宰相の領所なり。而るに熊野の鳥居禅尼(故左典厩姉公)
日者強いて彼の辺を所望する事他に異なるの間、地頭補任の御下文を遣わさる。但し
有限の領家の乃貢・課役等に於いては、懈怠有るべからざるの由、今日御消息を遣わ
さると。
9月25日 壬子
岡の冠者頼基大和の国を所領す。相違有るべからざるの間、重ねて仰せ下さると。
9月26日 癸丑
歯御労の事、療治を京都の医師に尋ねられんが為、態と飛脚を立てらるる所なりと。
9月28日 乙卯
大神宮並びに熱田社に、神馬・御劔等をこれを献じ奉らる。廣元朝臣奉行たり。各々
使者を立つと。
9月29日 丙辰
三浦矢部郷の内に、一堂を建立すべきの由思し食し立つ。故介の義明が没後を訪われ
んが為なり。今日仲業に仰せその地を巡検すと。