8月26日 己丑
後藤左衛門の尉基綱使節として上洛す。一院去る十三日より御悩の由、その告げ有る
に依ってなり。
[愚管抄]
又院は八月のころをい御悩はづらいをはしまししに、よくよく静に物を案ずるに、此
忠綱と云男をこれらなどに殿上人内蔵頭までなしたるひが事こそ。いかに案ずるも取
所もなきひが事なりけりと、さとり思ふ也とて、やがて解官停止して、御領国さなが
らめしてすてられにけり。其御悩無為無事に御平癒ありけり。此関東の御使の間にも、
やうやうのひが事奇謀ども聞へき。