1223年 (貞応2年 癸未)
 
 

8月3日 癸酉 小雨
  今日の評議、所領に付き訴訟を致すの輩、武士に相語らい寄附する事、また挙利を出
  し多々の利を為し、その沙汰出来する事、武士の口入に能わざるの由、六波羅に仰せ
  らると。
 

8月20日 庚寅 小雨降る
  今日南新御堂の供養、本尊は弥勒像なり。この梵宇は、右大將家の姫君御早世の時、
  御追善の為すでに建立せられんと欲するの処、幕下薨御の間、今彼の御素願を果せら
  ると。当日の奉行は民部大夫行盛・進士判官代隆邦なり。導師は弁僧正定豪。御布施
  三十・物百なり。奥州・式部大夫朝時主・駿河の守重時朝臣以下人々着廊し給う。
 

8月27日 丁酉 霽
  二位家新御所の御持仏堂(廊御堂と号す)造畢の間、本尊(雲慶作)を安置し奉らる。
  これ右大將家御平生の時の御本尊なり。即ち今日供養を遂げらる。導師は内大臣僧都
  親慶。