第213回四天句会
平成19年3月15日

   
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兼題 啓蟄 麦青む 壺焼
席題 馬酔木


  正
木簡の埋もれし野辺や花馬酔木
虫出しの雷の響きや坊泊り
六郷の畔に麦の青みけり
ジャズ流しマンハッタンの焼栄螺
啓蟄や玉のちちろの動くかも

  恵一
壷焼の炭にしたたる忘れ潮
馬酔木咲く唐招提寺風騒ぐ
啓蟄や子犬買はれて犬檻を出づ
通り雨沈丁の香のたちのぼる
きらきらと風渡りきて麦青む

  直人
啓蟄の土もつたりと鋤にのる
青麦や緩みし風に利根筑波
壷焼きや犬吠崎は風の中
藪椿隠せし奥を訪ねをり
菜の花をかき分けて見る九十九里

  白美
山裾の離宮の畑麦青む
お披露目の舞妓顔見せ雛の夜
壺焼や自殺止めよと立看板
裏山の馬酔木咲き満つ花頭窓
啓蟄や幾多郎の家見過ごして

  耕平
取込みしシャツのやはらか麦青む
長閑なり杖に身あづけ大欠伸
啓蟄や外せし菰に火をかけて
壷焼きや刺を網目に座らせて
花馬酔木品数増えし無人点

  武甲
父母ともに校歌斉唱麦青む
幼なき字でつづりし願ひ流し雛
啓蟄や揺れる木の葉に目を凝らす
壺焼きの苦みの舌をつつみけり 
花馬酔木ボタンで開ける客車ドア

  美子
税務署に人の行列花馬酔木
壷焼の腸尾螺旋に垂れ下げて
啓蟄や気丈の義母に手を貸して
春の陽に包まれてゐて救急車
夜間救急病棟を出て麦青む

  比呂四
沸々として壷焼の殻爆ぜる
庭影に陽を注ぎ込み白木蓮
花馬酔木ペンキ新たな木のベンチ
流れ来し風を弾きて麦青む
啓蟄や穴のまはりの土白む

  利孟
寄合の議事に異議なし麦青む
だみ声の軍手火鋏壷焼屋
啓蟄や起きぬ子を抱き出る電車
朧月カクテルグラスに飾り塩
花馬酔木菊一文殊の青鋼