第427回四天句会
令和7年4月8日 Zoom句会
   
兼題 行く春(暮春) 春光 蜆

  利孟  
春光の影を紅くし野点傘  
行く春の電飾競ひラブホテル  
花屑と入るコンビニの自動ドア  
霾天に紅旗掲げて大使館  
忙しなく音立てせせり蜆汁  

  義春  
行く春の薄墨に暮れ甲斐の富士    
花屑の揉み合ひ流れ疎水へと  
受け継ぎし粗目の鋤簾蜆採る  
春光の中に山鳩輪舞かな  
霾天や守る手立ては無かりけり  

  恵一  
野遊びや模型飛行機飛ばし合ひ  
かたくりの花連山の幾重にも  
春の暮れ読みさして置く「赤と黒」  
春光にムスカリの藍深くして  
蜆汁舌でこそげて身を食す  

  虚承  
霾天や為す術持たぬ露店市  
行く春の田螺売らるる道の駅  
暮の春茶を点て癒やす花粉症  
春光や大寝仏を写生の子  
蜆採る鋤簾の音に耳澄まし

  あやの  
イースターエッグのネイル飛花落花  
かしやかしやと滋味の音たて蜆汁  
ランドマークタワーの空部屋春行けり  
春光に母の植ゑたる鬱金香  

  雨竜  
霾天を遠く奄美の青き空