第336回  令和7年3月22日19時 Zoom
兼題 雛祭り 桜餅 晩春 チューリップ 春風


  利孟
 日時計の影の反転春行けり
 しやがみ込む子の顔を寄せチューリップ
 牡丹の芽紅き産毛をほどきつつ
 防虫の空の小袋雛飾る
 菱餅の真空パックに賞味期限
 青竹の笊に盛られて桜餅
 彼岸会の大戸を開き入れる風

  ともこ
☆ゆらゆらと横向く癖の貝雛
○北限の茶畑芽吹きはじめ春
○指先で伸ばすパステル春の風
○ビル窓に砕けるひかり春疾風
○石段の先に石段桜東風
・東西の餅に違ひの桜餅
 春ともし両掌に納め文庫本

  ミヨ
○真榊を手折り束ねて彼岸寺
○花咲くと言ふも俯きシクラメン
○彼岸西風我知らず出る独り言
・古網戸の破れを捲り来る子猫
・三輪車どうどう巡り福寿草
・幹割れの梅の古木の咲き初めて
・仏壇の溜まる蝋涙彼岸入り
・小流れの澱みに休み花いかだ
・大ぶりにぼた餅丸め彼岸入り

  比呂
○陽春の台場大砲口開けて
○頬紅の薄れ傾く享保雛
・風光る鶏草を啄ばんで
・チユーリップ回転木馬の動き出す
・春風や雲の上にも雲流れ
 雪の果木倒す音の遠谺
 まんさくや山中腹のなぞへ畑

  信子
○サハリンの風哭く宿の雛飾り
○海朧シーラカンスの潜む闇
・雛の家帰りを急ぐ道灯し
・夕桜病後の汁の寄せ豆腐
 子も吾も此処に生まれて桜餅
 ひと雨に潤ふ木々や桜餅
 赤は赤黄は黄を誇りチューリップ

  美恵子
○窓に風入れてドライブ花菜畑
・包装紙までも香りの桜餅
・晩春や咲き終えて葉の美しき
・出産の思ひ出を娘と雛飾る
・園庭の風に揺られてチューリップ
 石段の雛それぞれにある思ひ
 次の葉の出て伸び出してチューリップ

次回第337回予告
令和7年4月19日19時から
 蛙 花衣 新茶 夏近し 土筆