付加価値について考える

付加価値は常に正の値か        

1.付加価値の定義

木工メーカーが木材を価格30単位で仕入れ、机を作ります。机を価格50単位で販売します。このとき机の価格から仕入れの価格を差し引いたものがこの木工メーカーの創出した「付加価値」です。

経済学のテキストによる「付加価値」の定義は「企業などの生産主体が生産活動によって作り出す生産物の産出総額から、その生産主体が国内企業や外国の企業など他の生産主体から購入した原材料、燃料、中間生産物などの全ての中間投入額を差し引いたもの」とされています。

付加価値は労働者や企業などに賃金や利潤などの形で分配されます。
 

2.付加価値の本質

付加価値の本質を考えるため少し極端な例で考えてみます。
 

(1)低価格販売の場合

上記の例で作成した机が仕入れ価格を下回る価格でしか販売できなかった。

        机が価格20単位で販売された場合、付加価値は

        販売価格20−仕入れ価格30=−10

        付加価値はマイナスになります

(2)販売できなかった場合

他社メーカーの製品に比べ見劣りがするなどの理由でこのメーカーの製造した机が一つも販売されなかった場合(不良在庫としてほぼ0円にて投売りあるいは廃棄処分するしかなかった)

        机の製造販売によって得た収入が0なので

        販売価格を0と仮想すればこのメーカーが産出した付加価値は

        販売価格0−仕入れ価格30=−30

        となります

3.以上から確認できること

(1)

付加価値とは販売(購入)されて初めて実現されるもので、販売価格によってはマイナス数値もあり得る。
 

(2)

また、付加価値(GDP等もそうですが)を所得分配上の概念と位置付けるのならば、在庫投資分はGDPから除外する考え方のほうがより適切と思います。(販売されてはじめて所得が実現する。)
 

4.付加価値の性質

前述の3.(1)は次のようにも言い換えられます。

「付加価値は需要があって(購入されて)はじめて(所得として)実現する。」

付加価値とは我々の労働を含む生産活動によって生まれる(付加される)。それは文字通り、消費者にとって「使用価値」が付加されるからこそ、対価を支払って購入するのである。つまり我々は生産活動によって「使用価値」や「効用」を生み出し、(付加し、)自らの生産した「使用価値」同士をお互いの間で交換し合っていることになる。

私はすでに以前の章で「経済学の目的」について述べました。ここで補足的に加えるならば次のように言えると思います。

我々の生産する「使用価値」同士が効率よく適切に交換されるべく研究する学問。

 

また、すでに述べたように「需要」が有限であれば、実現される「付加価値」も有限。したがってそこから分配される「所得」も有限、その蓄積である「富の大きさ」も有限と言うことになります

 


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