公共事業のあるべき姿

これまでケインズの考え方を検証してきましたが、いくつかの小結論を下表にまとめます。

公共事業についてのいくつかの小結論

1.消費性向は人や企業によってその値が異なる。したがって政府支出などの経済的波及効果は乗数の理論どおりにはならない。

2.経済的効果はその波及過程の初期段階で消費性向値の大きな企業などが存在するとより大きくなる。逆に初期段階の企業の消費性向値が小さいと経済的波及効果はより小さくなる。

3.(数学的な計算を可能にするため、「消費性向値を全ての経済主体で一定」と仮定したシュミレーションから得られる結論としては)
   財政支出の財源を税金(増税)でまかなった場合の経済効果は差し引き0である。

4.したがって、公共投資の支出先(=公共事業の内容)は、消費・投資性向の高い企業や産業部門に対して行うべき。現在のようなゼネコンを延命するだけの公共事業は国の借金を増加させるばかりであり、日本経済の体力を奪うものである。

※消費性向の高い業種、企業とは?

@成長業種や需要の今後高まると予想される業種では当然消費・投資係数が高いものとおもわれます。

A逆に衰退産業、債務過剰な企業や業種では、(債務の返済を優先させるためもあって)消費・投資係数は低い

 


このHPでは、「お金」の定義の一つを「財やサービス」を交換し合うための道具、経済学の目的を、お互いが生産した「財やサービス」を効率的に交換し合うことと考えています。我々の最終目標は「お金」ではなく、「財やサービス」が持つ効用なのです。このような考え方を元にすれば更に5番目として下記のように言えるのではないでしょうか?


 

5.国民にとって効用(使用価値)の高い事業を選定する

 

(1)

公共事業の財源は税金です。国民が生活するのに必要であったり、需要度合いの高い「財やサービス」を公共事業で提供すれば、国民が「税引き後所得」により購入しなければならない「財やサービス」の量がその分軽減される。したがって税負担を実質的に軽減する効果が出てくる。また、そのような需要度合いの高い、または今後高まっていくだろう分野の「財やサービス」を効率的に供給できるようにするインフラ整備を公共事業で行うことは有効。

あるいは「財やサービス」の価値を高めるようなインフラ整備も有効

(2)

将来の社会の姿、あるべき姿を検討して、それに対応したインフラの整備などの事業を行う
@高齢化社会への備えとして介護・福祉部門におけるインフラ整備
A少子化を避けるため、夫婦が安心して共働きできるような環境整備
B建設・流通業界などの余剰人員を成長産業で吸収できるように再教育する環境の整備
 

上記を補足説明します。

1.(公共事業は国民の現在または将来の「効用」(使用価値)を作り出すためのものでなくてはならない。)

高度成長期の頃、道路網がまだ整備されていない状況でなされた道路建設などは、道路自体がその後提供した使用価値、道路網が整備されることにより「自動車」の使用価値が高まったこと等を考慮すると、将来への投資であったと言えます。このような将来の「効用」を生み出すような投資を「将来への投資」と私は呼んでいます。(現在の日本はすでに道路網は整備されており、状況は全く違います。)

2.日本経済の将来を考えたときに一番問題になるのが「少子高齢化」=人口の減少と国の借金(国債残高)です。将来不安が強すぎることと、現在の社会環境では共働きしながらの子育てが難しいことなどから、若い夫婦が子供を産むのをためらっているのです。

実際の共働き夫婦などをメンバーに加えた中で、どうすれば少子化を食い止められるのか検討するプロジェクトチームを発足させ、立案されたものをすぐに実行に移すべきです。少子化を食い止めるような投資は「現在および将来への投資」と言えるでしょう。

 3.将来の「少子高齢化社会に対応する産業」に対して公共投資を行う。そのような産業では投資・消費性向も高くなっていると思われます。


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