記事No | : 1580 |
タイトル | : Re^5: 冥土までの距離は? |
投稿日 | : 2012/07/23(Mon) 11:47:27 |
投稿者 | : 桃青 |
明快さん
> 現代科学の宇宙論のビッグバン理論によると、ゴマ粒のような爆発から発した光が四方八方に広がって、現在のわれわれの住む宇宙ができたらしい。
> この宇宙を取り巻く天球の層があって、ここに神や天使や悪魔が住んでいると、ユダヤ教の密教に相当するカバラで唱えている。
カバラは3世紀ないし6世紀に始まり、16世紀にはほぼ現在の形になったとされています。
16世紀には知られていなかったビッグバン理論とカバラの宇宙観を結びつける根拠とはどのようなものでしょうか?
>中世のキリスト教でも惑星に付随する天球があって、それぞれ大天使が治めているそうな。
西洋でいう中世とは、おおよそ5世紀から15世紀を指すようです。
惑星そのものの存在は、有史以前から西洋でも東洋でも知られていましたが惑星という名を与えたのは、古代ギリシアの天文学者だそうです。
惑星に附属する天球すなわち衛星の存在の可能性を示したのは、地動説を唱えたコペルニクス(1473〜1543)です。
1610年ガリレオが木星に4つの衛星を発見するとコペルニクスの地球以外の他の惑星も地球に対する月のような衛星を持ち得るという説がにわかに説得力をもつようになりました。
>中世のキリスト教でも惑星に付随する天球があって、それぞれ大天使が治めているそうな。
中世のキリスト教会はコペルニクスの地動説は否定したのに、地動説から導かれた惑星の衛星の存在の可能性は、ちゃっかり受け入れたのかな?
19世紀になっても「月には白い服を来た人々が住んでいる。月へ伝道に行かねばならない。」という妄想を真実だと思った人々がいたくらいですから、中世ならまだまだ宇宙の彼方にはなんでもありだったのでしょうね。
> ダンテの神曲という小説に、地獄の入口に地獄門があり、その門には「この門より入るもの、すべての望みを捨てよ」と書かれているという。
> いやはや、恐ろしい。三途の川の入口と似てるのだろう。 地獄門については次の解説を参考にしてください。
> ダンテ・アリギエーリの「神曲」地獄篇・・・。http://blogs.yahoo.co.jp/kaku19512000/51573964.html
ダンテの神曲(1304〜1308)がどんなに恐ろしい地獄絵図を描きだしても、本当のテーマは「道徳と神の恩寵によって人間は救われる」です。
日本では985年に源信が「浄土教」の観点から『往生要集』で地獄の様相と念仏を説きましたが、日本人の地獄観はこの往生要集から始まったとされています。
こちらも、源信の描き出した地獄がどんなに恐ろしい様相であっても、本当に伝えたいテーマは「念仏によって人間は地獄の業苦から救われる。」です。
さて、人間は恐怖を与えられると、そこから逃れたいという思いが先に立ち、思考力が働かなくなりがちです。
現代の科学は、それは脳の扁桃体の働きが活発になるからだと説明していますが、扁桃体は刺激をうけると心拍数を一気に上昇させる。
扁桃体に刺激を与えるものが「恐怖」です。
何の武器も持たなかった人間の祖先たちは、取りあえず心拍数を一気に上昇させて恐怖の対象から走って逃げることが、危険への基本的対処法だったのでしょう。
人間は恐怖にかられると思考力が衰え、容易に相手の言うことを受け入れるようになる。
源信僧都は人間観察を通してこの事実をよく御存じだったのかもしれませんね。
キリスト教では黙示録を使って終末の恐怖を与えますが、
キリスト教の指導者達も人間が恐怖に思考力を低下させることを知っていたのかもしれませんね。
オウムは想像力に訴えるというまどろこしいことではなく、手っ取り早くお化け屋敷のように映像と音響で信者に恐怖を与える手法をとったようです。
オレオレ詐欺から保険屋。政治から教育現場、また商品を販売する場合でも、たとえまともな商品の販売でも最初に恐怖を与えることによって相手の思考力を停止させ、相手を意のままに動かそうとする手法が見て取れることはよくあります。
お化け屋敷は作り物だと解っていても、巧妙に計算された仕掛けに出会うと思わず恐怖してしまうように扁桃体への刺激は生理的現象なので、それが恐怖を煽って思考力を低下させる手法だと解っていてもつい思考力が低下してしまう。ということはあるのでしょうね。