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花冷え(2000GW・九州)・前編

平尾台のカルスト地形
遂にこの日がやって来た!!!
大阪港で、キャンセル待ちに失敗いたしました。

 いよいよGWだぁ!!九州だぁ!!!
などと気ばかり焦るものの、仕事は終わらず。
夜の宮崎行きフェリーには間に合わないよぉ!!
翌日のフェリーを待つ位だったら朝から走るのだ!!
 早朝に東京を出発。
名古屋までは、東名よりも中央道が良いのだ。
距離はあまり変わらないし、景色だって良い。トラックの量だって全然違うし・・・・
ところが大渋滞!!!
スリヌケスリヌケ頑張って、大月からは快適なハズだったのに・・・
強烈な向かい風!!
登り坂、80kmも出ないよう!!!
アクセルは全開なんですけど・・・・・
 小淵沢あたりは葉桜、進むほど、高度を上げるほど桜の花があでやかになり、富士見で満開!!
諏訪でも、十分に花見が出来るほど!!
その代わりに冷えますなぁ・・・
諏訪からは快適な追い風、名古屋からは再び強烈な向かい風!!
結局、過去最悪燃費まで記録しながら・・・・
苦節数時間、何とか関西圏内に。
ヤベエ!!リザーブだぁ!!
リザーブ自己最長走行距離まで更新だぁぁ!!
大阪南港に付いてみれば・・・
余裕で顔を出した、宮崎行きキャンセル窓口では
「お客様、ちょっとムツカシイですよぉ!!」
ヘン!!お決まりのセリフなんかにゃ同じない!!
もらったキャンセル番号は18番!余裕だぜ!!
とは言うものの・・・・
やっぱり不安は隠せない。
もしダメだったら・・・・
すでにリザーブでの走行距離はカタログ値を超えてるし、ガス欠の恐怖も・・・・・

 出港時間をオロオロと待つ。
「1番から5番までどうぞ」
まだまだ!
「6番から9番までどうぞ」
ま・まだまだ・・・
後は小出しに一人づつ・・・
「13番の方、2等寝台になりますが・・」
ちぇえっ。高くなるじゃん!
「14から17の方、1等で良ければ・・」
にゃ・にゃにおう!!一人差でダメかい!!
15番が1等を拒否!!
「じゃ18番の方、どうなさいます?」
やったぁ!!って・・・・
ゲゲゲゲゲゲゲ!!!
全部で2万円以上ではないかぁ!!!
大阪までの高速代を入れたら3万近い出費だぁぁぁぁ!!!
「18番のお客様、どういたします?お客様」
「ふ・ふざけるなぁ!!誰が乗るかぁぁぁ!!!!」

 ガス欠の恐怖と戦いながら、少し離れた別のフェリーターミナルへ。
ここからは新門司行きが出るのだ。
「あ・あのう・・・キャンセル待ちをしたいのですが・・」
「はいっ!!すぐ乗れますよ!!!」
「あ・ありがたやぁ・・・・・」

そして、ベトナム難民並みに積め込まれたタコ部屋の住人となる。

こうして、キャンセル待ち全勝神話(15連勝)にピリオドが打たれたのであった。

平尾台への道

タイヘンな一日でした。
朝から雨!雨!雨!

 新門司に8時に到着した時点では、
「グフフフフ、覚悟は出来てるだろうな!!」
と言った感じの、ドンヨリとした曇り空。
来たくて来た訳では無かった北九州だけど、来たからには走らねばなるまいと、近くの林道密集地域に突入!!
しようとした矢先に、空から例のものが降ってくる。
来るなら来やがれ!!
なにしろ上陸したばかり、気は大きいのだ。

 林道自体は、いかにもフツーの林道状態なのだけど、とにかくやたらと枝道だらけ。
こりは走りごたえがあるぞぉ!!
そしたら・・・・
貫山という山頂に行ってみれば、ゲゲゲゲゲゲゲゲ!!!
無限に広がるカルスト地形!
そこに数限りなく有るアタック系ゲロゲロ!!
大岩ゴロゴロセクション・突発マディセクション・ガレガレセクション・ヌタヌタキャンバーセクション・・・・・
どおりで、途中で地元オフ軍団がウジャウジャ居た訳だ!!!!
ぜしぜし空荷で、晴天時に再度行きたいですな。
ちなみに「平尾台」という観光地でした。

 ゲロ遊びをしているうちは気にならなかったのだけれど・・・
ジワジワとジャブのように利いてくる、ボロカッパの水もれ攻撃!!!
なにしろ、15分の通勤にも耐えられないカッパなのだ。
「おい!見ろよ。あいつ、雨なのにカッパ着てないぜ!!」
と、人から言われない為に着ているようなカッパなのだ。
いくつかの峠を越えるうちに、んもうビショビショのヒエヒエ!!
寒いよう!冷たいよう!
ミジメだよう!
楽しく無いよう!

早々と4時には、阿蘇の坊中に逃げ込む。
雨の中でテント設営。
さすがに人気の坊中と言えども、この天気でテントを張るライダーは4〜5名といったありさま。
さみしいよう!!
とりあえずルービでもいっときますか・・・・
 次々と入ってくる、豊田組系の皆様からの電話によると・・・
にゃ・にゃにおう!!!
みな、あちこちのYHに泊まっていやがる!!
屋根付き・壁付き・布団付きですとぉ!!!!

あ〜あ。
白岳飲んで寝よっと。

南側外輪山からの阿蘇

 肥後の国・人吉に、あやしいキャンプ場があるらしい。
それを聞いたのは去年のGW、そこに泊まった朱蘭からなのだ。
「すごく手入れされたキャンプ場なのに、たった一人っきり。まったく人の気配がしないのよぉ!!得体の知れない邪悪な雰囲気に、なぜか眠れなかった・・・」
朱蘭なる者はけっして初心者などでは無く、一人キャンプはしょっちゅうで、単独ゲリラなど日常茶飯事なスーパーねえちゃんなのに・・・・
いったいそこには何があると言うのだ!!
これは調査せねば!!!

 とりあえず人吉を目指す。
時刻は午後4時過ぎ、あと30km程で人吉まで迫ったあたりである。
狭いつづら折れの国道を下り、妙にトロいSRVを抜き去ってコンビニで休憩。
ほどなく追い付いてきて、やはりコンビニに入ってくるSRV。
奈良ナンバー。
「こんにちは」「まいど!!」
(中略)
「今日はどちらまで?」
「ホントは、えびのまで行きたかったんですわ。でも、時間が遅くなりますねん」
カ・カ・カモだぁぁぁ!!!!
やっぱり、怪しいキャンプ場に一人で行くのは恐かったのだ。
「ひ・人吉にしようよ!!!いいとこ知ってまっしぇえ!!」
「そないでっか?そこでもよろしですわ。」
ラッキー!!!
しかし騙し討ちはヒキョウである。
もし、何か恐ろしい事があったら!!
「じ・じつは・・・・」
「なんでっか?」
(中略)
「それはオモシロそうですねん!ほな、そこへ行きまひょか!!」
さらに、後から現れたビラーゴ250も加え・・・・・
こうして、「YAMAHA弱小ゴーストバスターズ」が結成されたのであった。

「ここでっしゃろか?」
それらしいキャンプ場に到着。
なんか想像と違う。
石垣に囲まれた、巨大な城のような雰囲気!広大な敷地!
たしかに、別の意味ではタダナラヌ気配ではあるけど。
そんな大庭園の中を迷路の様に走り、サイトに到着。
情報通りに、かなり手入れされている。
しかし、すでに10人くらいの先客が、広いサイトに点々とテントを張っている。
「どこが幽霊キャンプ場ですねん。サワヤカでんがな!!」
「そ・そうかなあ・・なんかタダナラヌ雰囲気が・・・」
「まだ明るいからだっぺ!勝負は暗くなってからっぺよう!!」

 オロオロとテントを張る、我らがゴーストバスターズ。
そこへ、妙に髪の毛をペッタリさせた、タク系ライダーが
「こんにちは。もう受付しました?」
「ドキッ!」「ドキッ!」「ドキドキッ!!」
「あのお城みたいな所ですよ、早く行ってきなよ。420円。安いよね」
な・なんだコイツ!!
安いか高いかキサマにゃ関係無いだろう!!
情報では、無人で無料のハズだったのに・・・・
 タダナラヌ男の出現に圧倒され、しかたなく受付に向かう、ゴーストバスターズの二人。
(と言うことは、一人は行っていない。誰でせう)

 夜。
確かにタダナラヌ雰囲気となる。
ただし、邪悪な雰囲気とは違う意味でだけど。
集まる事無く、ポツリポツリと飯を食っていたライダー達、夜8時には次々と寝てしまう。
なんかキミタチ、おかしくないかい??
楽しもうぜぇ!飲もうぜぇ!!!
「邪悪どころか、健全すぎますねん!!」
「確かに。フツー、こんなに静かな訳がないよねぇ・・・」
ところが!!!!
「おらも寝るっぺよう・・・」
おおっ!ゴーストバスター3号!!
キミもあちら側の人間だったか!!!

 まったく何事も無く一夜が過ぎ、7時に起きれば、残っているバイクはTWとSRVだけ。
「何も起こらなかったですねん」
「カ・カエルが一晩中うるさかったねぇ!情報元のシトは、これで一睡も出来なかったのかなあ・・・」
「んなアホなぁ!!ムチャクチャ良く眠れましたがな!!」

 こうして、我らがゴーストバスターズは、何の活躍の場のカケラも無いまま解散の時を迎えたのであった。

(情報者の朱蘭に確認したところ、そのキャンプ場はここでは無かった事が判明)

白髪林道での遭遇

 人吉を出発して白髪山の近くの林道に。
峠を越えてしばらく走ったあたりで前方から来た、豊田組びわみわと遭遇!!!!
いままで誰とも会わなかったので、何気に感激してしばし立ち話。
記念写真などを撮ってから別れて、更に前進していると・・・・
ほんの2〜3分後、前方から走ってきたのはK山&ねり!!!
「やあ、ヘンな所であったねぇ!!」
「ほんの少し前を、びわみわが走ってますよ」
「ホント?じゃあ追っかけよう!!一緒に行こうよ!!!」
そう言い残して、走り去るK山&ねり。
このまま別れちゃうのも惜しくなり、今来たばかりの道を戻る。
そして合流。
「なんで戻ってきたの?バカじゃない??」
びわみわカミソリトークにシュパシュパと切り裂かれていると・・・・・
組長&たまちゃんがやってくるではないか!!!!
な・なんかすごい事になってきた。

「せっかくだから、みんなで峠まで行こうよ!!」
そ・そりはキケンな匂いが!!
たしかに展望の良い峠だったけど、戻ったら峠で開放される訳が無い!!!
ひとまず逃げろぉ!!!


 鹿児島市内のバイク屋に立ちよってオイル交換。
1900円也。
作業を見ていると、店の常連らしい、峠コゾー系のアタマワルそうな男が
「東京からっすか!!大変ですね。何日かかったんすか?」
よくあるパターンで、みな陸走だと思っているらしい。
「東京にも、走り屋は居るっすか?」
「あちこちの峠にいるよ」
「やっぱり東京のレベルは高いっすか?」
典型的な地方コンプレックスが漂う質問である。
でも、キミの走りなど見ていないから判る訳が無い。
「ピンからキリまでじゃないの」
すると、それには答えずに
「バイクで長旅っていいっすね!僕にはそんな勇気は無いっす」
「走るだけじゃなく、いろいろあって楽しいよ」
ここで、店のオヤジが乱入。
「オマエみたいに、峠でバカやってる勇気こそ、フツーのシトには無いね!」
「そ・そうっすか??」
なぜかウレシそうな顔を浮かべる峠兄ちゃん。

 金髪に染めたアタマの中から、一生懸命に一つ一つ言葉を選ぶような標準語で、まだ見ぬ都会へのあこがれをみなぎらせているのであった。

彼のバイク人生に幸あれ!!!

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