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灼熱!!(1999夏)・前編


知床・熊の湯のキャンプ場
 出発の朝、例によって荷物満載のバイクで出社。
グフフフフ・・・んもぉ仕事にならない!
昼過ぎに一通のメール、はた坊からだ。
『夏は何処かに行くのですか?』
バカめ!行くも行かないも有るか!!
今日から北海道なのだ!!
その旨を返信すると・・・
『そうですか。それじゃ僕と同じ、今日の釧路行きですね』
な・なんですとぉ!!!
 有明のフェリーターミナルで、くぬぎ夫妻と合流。
同じ船であることは事前に判っていたのだけれど、共通の知人であるN姉御が、酒を持って見送りに来る事を聞かされる。
やったぁ!それはラッキー!でもその前にルービ!!
という訳で、乗船前からカンパイ!

 心地好い揺れの中で目覚めると、銚子沖の青空の下だった。
意味も無く笑いが出てくる。
有明の岸壁。係りのアニキの一声、
「はいっ!オートバイの方、乗船となりますっ!」
この場合の「はいっ!」ってのが何を指すかは別にして、その瞬間に、普段の生活とは異なる、もう一つの時計が回り始めたのだ!
 この時計の有り難い所は、分単位なんてどーでもいい時間の流れ。
もちろんタイムレコーダーなんか無いし、オールフレックス!!
自分の好き勝手な時の流れなのだ!!朝からルービなのだ!!
総務の未亡人55才孫2人あたりと
「5分遅いわよぉ!届け出してぇ!と・ど・け!!」
「っせえなぁ!!ったくぅ!テキトーに何とかしといてよ!!」
「あぁらぁ!じゃあ全休にするわよぉ」
「そ・そりはちょっと・・・」
なんて会話も存在しないのだ!
言ってみれば、日時計・腹時計に近い性格ですな!
欠点をあげれば、数日後には確実に止まってしまう時間だけれど、まあ、これだって、勇気次第では、いつまでも続けられちゃえるのだ!
(でも、ポットの電源を入れっぱなしで出て来ちゃったしなぁ・・・)

 そこのオトーサン、楽しんでますかぁ?異常にノリが利いてパリッとした短パンがキマッってるぅ!
黒い皮靴と白い足のコントラストが素敵だぜぇ!!!
 そこで皮ツナギをせっせとお手入れしてるアニキィ!気合が入るねぇ。
口を真一文字に結んだその姿、真剣さが伝わるよぉ!!

 一升ビンを抱えてお見送りのハズだったN姐御は来なかったけど、酒は沸いて出てくるものさ!
ノンプロブレム!
現にはた坊などは、ロビーのソファーでカエル状にくたばっているではないか!!
よぉしっ!まだまだ飲むぞぉ!!!


 釧路港。
フェリーを降りると、そこにA堀氏が。
すでに北海道ツーリングを終え、折り返しのこの船で帰るところなのだ。
アジアの客引き風に、ホクレン旗を手に不安げに立ち尽くしている。
その客引きにつれられて阿部商店に。
けなげに水槽の中でささやかな生活を育んでいるカキ・ホタテを惨殺して食う。
 次に和商市場に乗り込み、北海道の思い出を胸に、海産物を食す夫婦(やはり同じ便で帰る、魔王夫妻)を襲撃!!
ハイエナと化してサシミのオコボレを貰って食う。

 A堀氏・魔王夫妻に別れを告げて釧根台地に。
このあたり、スーパー直線道路が格子状に走りまわっている地域である。
ここを徘徊し、超ロング直線ダートを探すのだ!!
目標は10km以上。
何の為にって?フフフフ。
意味なんて無い!!。
生活道路?なので路面はフラットな砂利ダート。
そんな道が延々と丘の向こうまで、そして丘にたどりつくと更にその先の丘まで・・・・
見渡す限りの草原を進む。
そう!!これは勝手にイメージしているオーストラリアの風景なのだ!!
 中標津町と別海町の境界付近を徘徊する。
意外と10Kmは難しく、これぞと思った道がいきなりT字路で終わってしまったり、舗装路になってしまったり。
徐々に西に移動し、今度こそイケそうなダートを発見!!行くぞぉ!!
 フラットで広々としたダート。
丘を越えて先が見えるとホッとしながら、砂埃をあげて更に突き進む。
8キロ・9キロ・・・・やったぁ10キロ突破ぁ!!
後はどこまで続くのか!。
程なく、道の先が見えなくなる。
そこは根室湾、流石の道も、海には勝てないのであった。

 なんやかんやで羅臼・熊の湯のキャンプ場に。
ここにも現れたはた坊、彼が連れてきたツッチーら4人と、しみじみとした宴会。
入り口近くでは、地元の漁師のおっちゃんが大宴会!!!
むぉお大変!!!
いつのまにか、漁師宴会の輪に、女性ライダー2名が引き込まれている。
「ちぇっ!おねーちゃんはいいなぁ!」
などと、バーボンをおかわり。
翌朝、
「おぎひまさぁん」
と呼ぶ、おねーちゃんの声!だれじゃ??
け・け・け・K本(ケモト)だぁぁぁぁ!!!!
しかも、漁師宴会に参加していたおねーちゃんの一人だったのだ!!!
「すごいのよぉ!!いろいろ御馳走になって、お開きになったらカラオケつれてってもらってぇ!次に二次会だってホステスさんのいる店よぉ!!今度は三次会で、変な外人がエッチな踊りしてる店よぉ!!!!おっぱい丸出し!すごいのよぉ!!」
 く・くっそぉ!!!
ゆうべ、輪の中のおねーちゃんがケモトだって気が付いてれば、便乗できたかもしれないのにィ!
見たかったよぉ!ルーマニア人!サブリナ!24才!!!!


 熊の湯を後に、知床峠を越えて美深を目指す。
なぜイキナリ美深かって?
それは美深が呼んでいるからなのだ。
ダートを幾つか繋ぎ、幾つかの通行止めを引き返しながら北上。
 知床あたりでは気が付かなかったけど、今までに経験したことが無い異変を感じる。
とにかく暑いのだ!
もちろん夏だから暑いのはアタリマエだけど、北海道でこんなに暑くていいのか!!
気温わずか5℃に凍えてストーブにあたった年も有り、今年もそれなりに準備をして来たと言うのに、この暑さは予想外!!
時間の経過と共に、益々暑くなり、んもぉ汗ダラダラ!!

 金八峠のダートを越え、原生林の中の舗装路を突き進むと・・・
大規模な鉱山痕を発見。
まさに廃虚としか言い様の無いレンガの建物。
その周囲には、「○○町痕入口」といった看板が数キロに渡って点在し、「小学校痕」「墓地痕」なども。
何か寒けがすると思ったら、「金竜町痕」ってのまで有る始末。
 そのいくつかに入ってみると全くの広大な更地。
周囲の風景・現在の町までの距離から、ホントにここに人々が住んでいたの?って感じなのだ。
 北海道って、「牧歌的」なイメージが強いけど、その裏には「斜陽」という影の部分が潜んでいる。
特に「石炭産業」に関わる部分が。
旧国鉄の政治的路線と運命を共にしてしまった街の残骸を通ったりすると、そこに住んでいた人々の運命などに思いが巡り、なんか胸が締め付けられる気もするのだが・・・・・
 しかしっ!!!しかぁしっ!!!
やいっ!!マップル!!!
夕張の商店街の写真を掲載して「朽ち果てた町」とはヒドすぎるぅ!!!
みな、今でも営業している店ぢゃないかぁ!!

 それはそれとして、とにかく暑い!
くどい様だけど暑いのだ。涼しさを求めて、西興部村の『氷のトンネル』を目指す。
トンネルと言っても、山間の谷間の雪渓の残骸なのだが、村おこし(?)の為にその様なネーミングが付けられているのだ。
まあ、この際涼しければ何でもいいよう!!
 クネクネと細い舗装路を進み、待ちに待った到着!!
駐車場から少し歩くらしく、更に汗を流しながら、
「こんなに暑くて、果たしてホントに雪なんか残っているのだろうか・・」
と言った不安を感じる。
やがて・・・・
おおっ!あったぁ!!
たしかにトンネルだぁ!!!
そそくさと中に入る。
確かに涼しい!!!
だが・・・・・・
 さすがの雪渓も暑さに負けて、汗をダラダラ!!いや、溶けたしずくがボタボタ!!!
カッパ無しではズブ濡れだぁぁぁ!!!


 美深アイランドに到着。
いつもの東屋に出向くものの、サブ山本の姿が無い!!!
彼のBAJAも見当たらない。
東屋はすでに、見ず知らずのグループによって占拠されている。
先に到着していたくぬぎ夫妻と共に、仕方が無いので芝生の上に陣地を構える。
次々と集まる面々。

くぬぎ夫妻/ぽっぽや河本/おたべ小西/カトちゃん・・・
豊田組系では、組長/かどJ/TBB/いそび夫妻。

 いそび夫妻は新婚旅行としてのツーリング、テネレとランツァで仲良く現れる。
かどJとTBBは、SBB(スーパーブラックバード)に2ケツで現れるアタマの悪さ!
KDJとTBBがSBBに・・・
嗚呼ややこしい!!!


 毎日毎日、暑いのなんの!!
晴れすぎなのだ!!!
日陰にいても、9時を過ぎれば汗まみれ!
テントの中で寝ているなどもってのほか!!!
じっとしていても暑いなら、いっそ体を動かしちまえ!!
と言う事で、ぽっぽやと共に「仁宇布」を目指す。
 美深から仁宇布まで走っていた「美幸線」というローカル線、今は廃止されてしまったけど、まだ線路が残っている。
それを利用して、地元の有志がトロッコを走らせているのだ。
それならば、新しい美深の売り物である、トロッコに乗ってみるのも悪くない。
 まるで人の気配のしない道道をひた走り、仁宇布に到着。
家が数軒あるだけで、ホントにここまで列車が走っていたとは信じられない程。
旧駅舎を改造した所に、「トロッコ王国」などと書いてあり、どうやらここが受け付けらしい。
しかし・・・・
けっこうあちこちの観光地にある「○○王国」なるパターン、王国と言うなら王様に会わせやがれ!!!
イヤなら別にいいけど・・・・・
でも、「○○共和国」と言うよりはマシですな!
それじゃ共産主義ですぞぉ!!
そんな事はどうでもいいけど・・・・・

 料金を払うと、案の定「パスポート」などと書いてあるチケットを渡される。
当初、トロッコは足こぎ式であるとの認識があったため、熱射病対策としてウーロン茶なども大量に買い求める。
どうやら、我々が本日の最初の客だったらしく、係りのオッチャン(もしかしたら王様?)がトロッコを出してきて、運転方法のレクチャーを始める。
おおっ!足こぎ式じゃ無くて耕運機のエンジンが取り付けてある。
(自転車風のペダルも付いているところを見ると、以前は足こぎ式だったのを色々工夫したのかも知れない)
 前進しか出来ないので、終点に着いたらジャッキ(自動車の物と全く同じ)で持ちあげて方向転換も自分でやれとの事。
このアバウトさが良い良いですなぁ!

 とにかく出発!!
普通の電車に乗っている時には、さほど気にならないポイント通過のゴトゴト感にコーフンし、いよいよ原生林の中の線路を突き進む。
それにしても、耕運機エンジンの、レッドゾーンバリバリ風な強烈うなり声!
ホントに壊れちゃわないの?などと心配になるほど。
そして線路と車輪の摩擦音!
ギィギィと、こちらもすさまじい。
線路脇の畑で作業しているオッチャンが、唖然としてこちらを見つめているのが妙にコッパズカシイ!
早くその場を立ち去りたいけど、なにせ速度はたかだか2〜30km/h、なかなか前には進まない。
それでも、とっくに廃止になった線なので線路はグニャグニャしてるし、スピード感は抜群!
鉄橋通過は迫力満点ですぞぉ!!
 踏み切りは車優先だとぉ?しょうがねぇなぁ・・・
などとブレーキをかけてもなかなか止まらない!!
タイヤに比べて、車輪と線路って摩擦が少ないのね・・・・
 ぽっぽや河本が運転すると・・・・
なんか全然面白くないのだ。
なぜって?運転がうますぎちゃって、迫力が無いのだ。
何たってプロ。
「電車でGO!」のプロという訳では無い。
まあ、とにかくプロなのだ!!

 このトロッコ、客が集中した場合の木造トロッコ(エンジンは無く、牽引される)を新たに作るなど、まだまだ発展途上らしい。
これからも頑張って続けて欲しいけど、何となく、事故が起こって中止になりそうな気がしないでもない。


 思った以上に満足できたトロッコを降り、今度は羽幌を目指す。
吉里吉里で涼みながらメシでも食おうと言う作戦なのだ。
先ほどのトロッコと平行した道を走ると、あっという間にトロッコの終点ポイントを通過。
ああ、バイクって、速くて静かで快適な乗り物だったのね・・・
 朱鞠内湖沿いのダートを走り、霧立峠を越えて吉里吉里に到着。
嗚呼!涼しいクーラーが待っているぅ・・・・・・・・
な・無いっ!!クーラーなど無いっ!!
そう。今年が異常な暑さなだけで、本来の北海道には不要な物だったのだ!!
結局、ここでも汗をダラダラ流す結果に。
 とりあえず、ライダー写真館を見る。
今年、すでに来ている連中をチェックするのだ。
おっ、「へなとれ・みほ」がシッカリと写っている!
「まり隊長」もだぁ!!
二人共、これ以上楽しい事はないってような、幸せそうな笑顔で写っておりました。
(KDJ・TBBも来ていたのだけれど、二日前だったので写真は間に会わず。)
すると、ぽっぽやが
「あれ?何でまりちゃん知ってるの?」
狭い世間だねェ・・・・

 北回り(中川経由)で美深に戻る事にし、オロロンラインを北上。
ダートの道道「遠別中川線」を右折、進路を東に。
な・なにぃ?「崖崩れ通行止め」ですとぉ!!!
突破しようか迂回しようか相談の結果、
「行ってみてダメだったら、戻るのがタイヘンだ!時間的にヤバイ」
との結論。
なにせここは北海道、距離の感覚が違うのだ。
これから迂回しようとしている道でさえ、40Kmも大回りなのだ。
(後日、いそび夫妻は強行突破したとの事。1mの段差があったそうだ。しかし、そこをスーパーテネレで突破するとは・・・)
 迂回の舗装道道「豊富遠別線」を北上する。
このままではツマラナイので、川の反対側を走る道に入ってみると、これがダート!!
ラッキー!!
いかにも「北海道!しかも道北!」といった感じの、一切の人工物の無い空間。
高速ダートを延々と砂埃をあげて走りながら・・・・・・・
早くも「ああ、東京なんかに帰りたくないよう」などと考え始めたりする。
でも、入れっぱなしの電気ポットがぁぁぁ!!!
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