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灼熱!!(1999夏)・後編


美深キャンプ場での宴
 美深での滞在が続く。
旅立つ人、残留する人、到着する人・・・・・・
今宵の顔ぶれは、くぬぎ夫妻/ぽっぽや/おたべ小西/かとちゃん。
ここにも現れたぁ!!
はた坊。

 豊田組系では組長/いそび夫妻/K山商会/画伯/としちゃん。
そして・・・
さっそうと登場!! まさよんよん率いるアロハーズの3人!!

 規模が小さな街である美深。
その市街地からも離れ、近くには人家も数えるほどしか無いキャンプ場だけに、さすがに星空は目を見張る物がある。
ちょうどペルセウス流星群の最大日を数日後に控え、流星観測には最適な条件がそろった夜を迎える。
 わざとらしく、空を画像処理でもしたかのような、クッキリとした天の川。
ありふれた言い方ながら、まさに満天の星。
試しに北極星を探してみる。
一般的に言われる
「ひしゃくの先を5倍ほど伸ばして・・・」
「カシオペアをなんちゃらかんちゃらして・・・・」
を試す。
北斗七星・カシオペアは何とかわかるものの、(星座の知識に乏しいからでもあるけど、なんせ星が多すぎ!!)北極星が有るべき位置には、候補者が10数個も有るありさま!!
いったいどいつが北極星だか、ハッキリしやがれ状態!!

 更に好条件な観測ポイントを求め、キャンプ場から徒歩数分の草地までマットを持って流星を見に行く。
勿論、酒も持って行く。
ヘッドライト無しでは、ホンットに漆黒な世界。
次々と流れる流星。
たしか誰かが言ってた「最大で、1時間に60個?」より、確実に多く思えるほど。

 急ごしらえ、寄せ集めの「おぎひまチーム」を結成し、「 まさよんよん率いるアロハーズ」と流星観測対決!!
前年の、北アルプス蓮華温泉の露天風呂での「流星友の会」ルールに従い、二人以上が同時に見て始めて認定される仕組み。
(もっともこの「友の会」、本当はキャンプツーリングで出かけたのだけれど、露天風呂で居合わせた人に、何の集まりか尋ねられた際にデッチあげた「友の会」であって、ルールもその時の思い付きなのであった。)

「あっ!見えた」「他は?」「(無言)・・・・」「却下!!」
「今度はあっちに!!」「うん!流れた!!」「公認!!」
「また流れた!!」「うん!!あっちでしょ?」「えっ???」
二人で全然違う方向を指さしてるぅ!!

長いの・短いの・明るいの・暗いの・ハデなの・地味なの・・・
やたらゆっくりと、いつまでも流れているのは人工衛生。
果たして勝ったチームは?
そんな事はどーでも良くなる、星ぞらの夜でした。



 美深で迎える2回目の朝。
夜の涼しさから一転、ジリジリと暑さが襲いかかる。
今日は一人で道北スーパー林道へ。
フラットながら、ジャリジャリとした道を駆け上がり、峠の様な分岐点から函岳方面に左折。
熊と追いかけっこをしたヤツもいるという道、この道は初めてだ。
道は輪をかけてジャリジャリとなるが、既に樹林帯を抜け出しているので非常に見通しが良く、はるか前方まで延々と道が続いているのが見えて気持ちがいい。
 函岳山頂に到着。
眼下には美深の街、そして東にオホーツク海が見える。
振り返って西を見ると、今度は日本海。
そして利尻島までもが視界の奥に霞む。
何とも雄大な!そしてのどかささえ感じさせる光景。
小奇麗な山小屋があり、ここで過ごす夜も感動的な様な気もするけど、水は無いし熊も恐いよう!!

 スーパー林道を東側に下り、風烈布林道を抜けてオホーツク海に突き当たる。
そこのコンビニでオニギリとかを食べたのだけど・・・・
ゴミ箱が無い。
この年、道内のコンビニのあちこちで見かけた「ゴミはお持ち帰り下さい」の看板。
バイクの場合は特に困ってしまうけど、これには疑問を感じざるを得ない。
「環境保全」や「ゴミ軽減化による省エネ」に絡めて正当化しようとしても、それは明らかに間違いである。
ゴミが発生する物を売っている時点で、すでに省エネもへったくれも無い。
発生したゴミは結局どこかで処理せねばならず、要は各自治体間でのゴミの押し付け合いに過ぎないのだ。
(販売店が、ゴミ処理のコストを消費者に押し付けている部分も有ると思う)
だとすれば、販売した店の有る(税金が入る)自治体が処理するのが当然ではないのだろうか。
この様なやり方が、かえってゴミのポイ捨てにつながってしまうのだ。
これでは環境保全もあったもんじゃない。


 ニョキッと寄り添うように突き出た山、 敏音知岳・松音知岳を目指す。
以前そこを通った時、山に登っていく林道を発見していたのだ。
さぞや眺めがよさそうだし、今回はそこにチャレンジを!!!。
辿り着くと、入口にはゲートが。
簡単に突破出来るゲートだったけど、ここは北海道、ゲートの閉まった林道に一人で入って何かあったら・・
熊もでそうだし・・
断念!


 今宵の顔ぶれは、くぬぎ夫妻/おたべ小西/アニマル/まだ居た!!はた坊。
豊田組系ではいそび夫妻/おぐらん。
そして・・・
今日もお揃いでアロハシャツ!! まさよんよん率いるアロハーズの3人!!

 実は、さぶ山本も前々から来ていたのだ!!
しかもVF1000で登場!!
あまりこちらに顔を出す事も無く、特定の居場所を定めずに浮き草の様にフラフラと過ごすさぶ山本であった。
彼の美深滞在は、これからまだ1月は続く。




 いい加減に美深を出て南下を始める。
南に下るほど、更に暑くなった気がして、ダレて塩狩峠で休憩していると、目の前を通過して行く汗ビッショリのチャリダー・・・
こ・これはイカン!!!
 オホーツク側の方が涼しげなのでは?そんな予感と共に、石北峠を越えて東に向かう。
峠を下りきり、道が平坦になっても、まだ周囲は原生林のままである。
関東だったらとっくに新興住宅街になっていそうなのに。
○○台とか●●が丘とか◎◎野とか言った名前を付けられて。
 ほどなく「キツネ牧場」の看板が、一定の間隔で現れる。
不思議な事に、普通だったら進むほど「この先○Km」といった数値が少なくなっていくハズなのに、増えたり減ったりしているのは何故だろう。
よくよく見ると、「元祖」と「本家」では無いのだろうけど、2件の「キツネ牧場」が有るらしく、それぞれまでの距離を示した看板が交互に立っているのだ。
それならそれで、わざわざ同じ色・同じ書体・同じ内容の看板にしなくても良いのに。
どっちがマネしたか知らないけれど・・・・
 遂に一軒目の「キツネ牧場」に辿り着く。
その目の前に「キツネ牧場入口、この先○Km」と看板を立てるくらいだから、血で血を洗う仲の悪さなのだろうか。
看板も真っ赤な色。

 どちらの「キツネ牧場」にも寄る事無く、留辺蕊に到着。
テントを設営して、温根湯温泉でひとっ風呂。
銭湯風だけど温泉で、ペットボトルに入れたお湯なども売っている。
今晩は一人だし、テキトーに飯を済ませてしまおうと、缶詰と真空パックの牛モツだけを買う。
勿論ルービも買っているのは言うまでもない。
 買い出しを済ませてキャンプ場に戻ると、何やらこちらに手を振る人々が・・・・
おぉっとぉ!!よち隊長夫妻だぁぁ!!
速攻でジンギスカンに発展!!
買出しがてら風呂に向かう隊長夫妻。
なぜか夫はワタクシの入った銭湯風へ、妻はホテルの高級温泉へ。
(決して家庭内地位の問題ではない。妻は洗濯をする為に高級な方へ向かったのだ)

 3人+隣のビッグオン君でジンギスカンを囲んでカンパイ!!
トドメは、ワタクシが買ってきた真空パックも持ち出して「ラム風味・牛モツ入り焼きそば」なる物を開発してしまう、チャレンジャーな面々であった。




 翌朝。
隊長夫妻は早朝から大雪登山に。
ワタクシは大雪周辺の林道巡り。
今日は、旭川の観光案内会社「したっけ社」から、ガイドを雇ったのだ!!
ホントに地元ガイドなのだ!
決して、旭川に帰省中の「したっけ兄さん」を呼び出した訳では無いのだ!!
 待ちあわせの石北峠に現れたガイドは、何故か習志野ナンバーのDFに乗り、
「いやぁ!アフリカ号は入院したっけ!」
などと説明。
とりあえず林道へ。

 一本目の林道から橋決壊で引き返し。
不安を残しながら2本目の「旭林道」に。
峠近くで、どちらとも言い難い分岐で停止。
片やゆっくりと下る道、そして一気に登っていく道。
登るべきか下るべきか・・・・
はたしてガイドは
「あっ!!『上  旭林道』って書いてある看板を発見したっけ!!上に行こう!」
そして登り始める。
 ほどなく進むと、ガレガレ!というよりも、岩ゴロゴロ道に。
それでもガイドは前進する。
「ホラッ!!マップルにも『峠付近は荒れている』って書いてあるっけ!」
広い伐採場みたいな所で道は無くなるが、崩れた土手の様な所を進むガイド。
「大丈夫!!タイヤ跡を発見したっけ!!」
 ガイドのDF号は、なぜかリアがオンタイヤ。
あえぎながら土手を登る。
荷物満載のTWは、リア荷重が利いて?割とあっさり登る。
するとガイドは、
「キサマが先に行け!!オイラは辛いっす!!」
などと、半ば職務放棄!
急な赤土の斜面に、落ちた太い枝をちりばめたようなゲロ道を進む二人。
いくらなんでもおかしいと、なかなか気付かない二人・・・・

ここは、「旭林道」などでは無く、「上旭林道」というブルトーザー道なのであった。


 何とか朝日林道に復帰し、終点のダート3差路に辿り着くと、何とXJR1200が止まっている。
エンジンの調子が悪いらしく、そのオーナーはあちこちいじっている。
我々が近づくと、あわてて地図をとりだして何事もない素振り。
ほっとけばいいのだけど、熊出没注意の山の中。
「どこか調子が悪いの?」
「全然吹けないんです。でも大丈夫!!走る事は走れます。ほっといて下さい。」
「ほっとけって、完全に動かなくなったらどうするつもり?」
「・・・・・・・・」
「国道まで一緒に走ろう。」
「スミマセン・・・」
 このバイクでロングダートに入って来るのも無謀だけど、彼の衣装・・
タンクトップに短パンなのだ!!
いくらフラットダートとはいえ・・・・
 3台でノロノロ進むと、ガケ崩れで道が塞がっている。
乗り越えられそうか、歩いてチェックをしていると、短パン君も見に来る。
い・いくらなんでもキミには無理だぁ!!
前言をひるがえし、短パン君を見捨てて勝北峠を越えると雨!!!
たたりじゃぁ!!
熊の巣のような所でカッパを着るのもイヤなので、そのまま国道まで強行突破!そこでカッパを着る。
十勝三俣廃駅痕の喫茶店を目指して南下すると、わずか300mで雨が止む!
と言うより、降った形跡すら無い!
カッパ着用最短距離達成!やっぱりたたりじゃぁ!!
 糠平湖畔で、したっけ兄さんと・・
いやっ!ガイドと別れる。
別れの挨拶はやっぱり
「したっけぇぇぇ!!!」




 上士幌町のキャンプ場に到着。
ここで王様と遭遇!
トロッコ王国の王様では無く、そう言う呼び名のZZR1100乗りなのだ。
語源はとても言えまい。
とにかく、一年ぶりだぁ!!!
たまたま近くを通過中だったいそび夫妻も合流し、町の規模からは信じられない程立派な公共温泉施設であたたまってからカンパイ!!

 翌朝、雨。
天気もいまいちだし、何かカッタルくなって(風邪?)王様を見送っただけでダラダラと過ごす。
いそび夫妻もダラダラ。
夕方になって、したっけ兄さんが旭川からやって来る。
昨日ワタクシと分かれた直後にいそび夫妻と遭遇し、呼び寄せられたらしい。
 そのしたっけ兄さんによれば、雨が降っているのは上士幌周辺だけだとの事!!
にゃ・にゃにぃ???それなら出発しとけば良かったぁ!!!
と言いながらカンパイ!!

その翌朝、今ひとつの天気だったけど上士幌から南下。
帯広あたりから晴れ始め、今日は体調も良い良い!!。
豊頃から一気に海岸線に出る。
やっぱり海はいいですなぁ!!
しかも青空の下の海。
北海道の海って、伊豆や南国の海と違い、抜けるようなマリンブルーでは無い。
かといって、東京湾や房総あたりのくすんだ海とも違うし。
なんとなくドッシリとした、重厚さを感じさせる。
砂浜に走り入れば、なかなか締まっていて走りやすい。
がっ!!!
鹿の半分白骨・半分毛付きの死体を発見し、気持ち悪くなって逃げる。

 そんな海岸添いのダートが、豊頃〜白糠あたりまで断続的に続く。
マップルに出ている道以外に、探せば探すほど怪しい道がつながっている。
一つ一つに入ってみたり、時々砂浜を走ってみたりする。
千葉の白子あたりの九十九浜は、かなりの距離をサンドラン出来るけど、ここはそれを遥かに上回る!!
それだけ開発されてないって事なのだろう。
 波打ち際の砂利ダートを進む。
海とそれに迫る山との隙間にへばりつくような道。
いつのまにか寄り添っていた線路は道との間に柵も何もなく、開拓当時から変わらないであろう風景に、何気に西部劇を思わせる。
最も西部劇には海は出ては来ないだろうけど。
ん〜!異国情緒ですなぁ!!
そこにリゾート列車?みたいなのがやってきて追い抜いていく。
今度は一両編成のセコいディーゼルカーとすれ違う。
ムム!やっぱり日本だったぁ!

 いつのまにか快晴となり、はるか前方に釧路の街が見える。
川崎あたりにはウジャウジャあるコンビナートでさえも、ここでは風景に溶け込んでしまっている。
 北海道No.3の都市である釧路。
我々にとっては上陸の拠点・旅の始まり・そして旅の終わりの都市でもあったけど、東京からのフェリーが廃止されてしまうこの夏を最後に、遠い遠い辺境の都市になってしまうのだろうか。
広々とした空間が大好きな街・釧路。
まあ、来年からは到達した時の感慨を、いっそう味わう事にしよう。




 霧多布のキャンプ場、北海道最後の朝を迎える。
北海道の地名ってアイヌ語への当て字が多いという事だけど、ホントに巧くつけられたこの地名!!
朝霧が海面に立ち込め、まるで雲海を見下ろしている様な、まさに「霧多布」と言うべき光景を眺めながらの目覚め。
 夕べ作って、いまいちだったホッケのチャンチャン焼きのまずさを記憶に残したまま、朝飯も食わずに釧路を目指す。
なんたって朝飯は「和商市場!!」「阿部商店!!」
おぉっとお!!意見が別れたぁ!!!

 多数派のワタクシ・ここにも現れたはた坊(というより、層雲峡あたりから呼びつけられた)が和商を目指す。
少数派のおぐらんも、しかたなく続く。
イクラ丼攻撃!!サーモンもホッキも乗せちゃうのだ!
ん〜!!よかよか!!
阿部で食べると言い張って、ただただ見守っていたおぐらん、挙動がだんだん怪しくなり、気が付くと・・・・
結局食べる。
しかたないので阿部にも寄ると、ここでもしっかりと食いまくるおぐらん。
「ここで食べるのが夢だったぁ!!ここが最大の目的だぁ!!」
そこまで言うなら和商で食べずに我慢すれば良いものを・・・・
彼は、欲望を押さえる事が出来ない男らしい。


 食いすぎて、ゲロを吐かん勢いの一名と共に迎えた出港。
あ〜あ。また来年かぁ。
思い出を胸に、ロビーでカンパイ!!って・・・・・
で・で・で・出たぁぁ!!!!
朱蘭さまが登場だぁぁぁ!!!!
なんてこったい!!!!
今年の北海道での出来事・最後の釧路航路の感慨・・・・
を味わうハズが・・・・
彼女の登場と共に、そのような感傷に浸る事は一切許されない、悪魔のサバイバル&エンドレス宴会の幕が切って落とされたのであった。
(この様な書き方をしたものの、実はワタクシ、ホントは感激していたのです。勿論、現在は我が妻である、朱蘭さまとの再会が嬉しかったのです。)


 なんやかんやで木更津を通過、いよいよファイナルカウントダウン。
北海道の帰りには二度と見ることの無い東京湾の夜景。
そんな光景を目に焼きつけながら・・・・・・

ひっそりと、そしてヨレヨレの旅は終わる。

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