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日本クモスケ(1999GW・対馬 壱岐)その1
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日本で一番高い建造物は、もちろんスカイツリーですね。我が家のコドモ達だって知ってます。
で、ソレが完成するまでは東京タワー、、、、、これも、長男坊は知っておりますとも。
しかし、そうではない時期があったんです。。
東京タワーが完成する前の話かですって? 違います。
もっと高い建造物があったんですよ! このニホンに!!
ソレの存在を聞いたのは、ずいぶん昔に、どこかのキャンプ場での宴の最中でした。
対馬から戻ってきたばかりだというライダーから、驚愕の事実を知らされたんです。
「対馬には、日本一高いタワーがある」
ワタクシは激しくオドロきました。
コドモの頃から「東京タワーが日本一」と教えられ、何の疑いも無くソレを信じて生きてきたのですから。
ちょっと偏狂的な極一部の関西人が
「ホントは通天閣が日本一」
などと主張しているのとは訳が違いますって。
クドいですけれど、どんな絵本や教科書を見たって、日本一は東京タワーだと書かれていましたもの。
ワタクシは、キャンプ場で出会ったばかりのその男の話を、直ちに受け入れる事は出来ませんでした。
「へぇ、そりゃすごい。全然知らなかった」
などとアイヅチを打ちながらも、、、、
「何らかの高いタワーはあるのかも知れないけれど、コイツはオオゲサに言っているだけなのだ。」
などと信じて疑わなかったんです。
しかし、後にアレコレ調べてみると、ソレはウソやオオゲサではない事が判りました。
その名も『オメガ塔』、455メートルもの高さを誇り、東京タワーよりも122メートルも高いのだとか。
ああ、ならばこの目で確かめたい! そう思うのがニンゲンってモノです。
ソレを実際に見ずして、「東京タワーは一番では無かった」などと心から納得するにはムリがありましたし。
そんな訳で・・・・・
これはそれだけの為に対馬を目指した、若かりし頃のワタクシのお話です。。
激しい風雨の中、博多港を出航したフェリーは大波に揉まれましたっけ。
船首を乗り越えてくる波は窓に叩きつけられ、そのたびに船室からはドヨメキの声があがる程だったんです。
もちろん、そんな波にヘコたれるワタクシではありませんよ。
なにしろ、向かっていたのは対馬なんですから。
とにかくデカい島なので、フェリーごときでヘバって寝込むハメになったら、たとえバイクと言えども島を周り切れなくなってしまいます。
欠航にならなかった事を喜び、そんな揺れだってジックリと楽しみましたですとも。
この年のGWに最初に上陸したのは徳島港で、四国の林道を3日ほど走り、フェリーで九州に渡って阿蘇の坊中キャンプ場へ・・・・
ココまでは予定通りだったんです。
しかし、そのキャンプ場にタムロしていた呑んべえライダー集団『いけいけ団』のエジキになってしまいまして、、、、
「明日は博多に移動する? まぁまぁ、呑め呑め呑め呑め呑め」
「それから対馬に渡る? まぁまぁ、呑め呑め呑め呑め呑め」
そんなアンバイで深夜まで呑んだくれ、一夜明ければ朝から呑んだくれ・・・・
「ああ、このままじゃ対馬も壱岐も行けなくなっちゃうよう」
などと嘆きながらも、そのまま夜になるまで呑んだくれ・・・・・・・・・
とにかくヒドい状態でした。もちろん自分の意思で呑んだんですけどね。。。
脱出に成功したのは、到着してから3日目の早朝でした。
昨夜からの激しい雨が降り続く中、毎晩の宴に呑み疲れた呑んべえどもが爆睡している夜明け前に、
コソコソと荷物を撤収してバイクに積み込んだんです。
本来なら憂鬱なハズの空模様も、コッソリと逃走しようとしているワタクシには、その雨音がアリガタかったですね。
ヘンなタトエではありますが、バイク泥棒が活動するのだって、大半が雨の日なのだそうですから。
無事にキャンプ場を脱出し、しかしソレで安心している場合ではなかったんです。
博多発のフェリーの出航時刻は10時で、当時はソレが1日1便だけでしたから。
この時のワタクシのバイクは、高速道路の走行が許されるバイクの中では最も排気量が少ない、わずか200ccのTWというヤツでして、
高速道路ではトラックやら軽自動車にもズバっと追い抜かれるアリサマなんですよ。
とにかく気合を入れて、雨の九州自動車道を走る! 走る! 走る!
チンケなカッパは役立たずで、ひたすら濡れる! 濡れる! 濡れる!
そんな苦労の末に、やっとフェリーに乗れたんです。
だからこそ、朝飯代わりにロング缶をプシュッと開けちゃえば、多少の揺れなど具合イイオツマミみたいなものでしょうね。
国境を見下ろすオメガ塔・対馬
遅い午後、快晴の対馬・厳原港にフェリーは着岸しました。
オメガ塔が目的だと言え、実際に来た以上は他のものもアレコレと楽しまなければなりません。
やたらめったら走り応えのありそうなデカさですから、相応に林道も楽しめそうですし、
そしてその名もズバリ、韓国展望台から韓国を眺めなければなりません。
韓国展望台もオメガ塔も島の北部にありましたから明日のオタノシミと言う事にして、まずは寝床を探しました。
マップルのキャンプ場マークを頼りに、港から一番近い海っぺりのキャンプ場を覗くと・・・・
海水浴を前提とした施設らしく、利用者も管理者も人っ子一人いませんでした。
それでは何だかツマラナそうで、島の南部を走り回って幾つかのキャンプ場を眺めてみたのですが、、、
山間の小奇麗なキャンプ場にも人の姿はありません。
どうやらGWの対馬は、ずいぶん寂しい島なのだと思い知りましたですとも。
前日まで続きまくった大宴会キャンプとの激しい対極に戸惑いつつ、、、
ならば、買出しなどが便利そうな、最初の海辺のキャンプ場に落ち着いた次第です。
フリダシに戻って見れば、やはりソコは無人のままで、結局一人っきりのキャンプとなりました。
やがて大きな駐車場を抱えた広いサイトは暗闇に包まれ、満天の星空をサカナに次々とルービを空けるワタクシ。
四国に上陸した時に見上げた満月は、すでに大きく欠け・・・
実際よりも、はるかに長い旅が続いているような錯覚に陥ったのでした。
朝を向かえれば、いよいよ対馬ツーリングの始まりです。
対馬には島を南北に貫く国道が走っていまして、まっすぐソレを走ったとしても、目指す韓国展望台までは120キロもの距離があるんです。
さすがに島のデカさはハンパではありません。
もちろん国道を真っ直ぐ行くだけではオモシロくありませんから、時計回りに西海岸を進んでみれば・・・
ひたすら続く山並み、迫り来る青い海、、、最初はソレが素晴らしく思えたのですが、とにかく延々と同じような風景が続くばかりで、、、、
大いに楽しみにしていたハズの「走り応え」は、早くもオナカイッパイ状態となってしまいました。
期待していた林道はほとんどが舗装されていて、ダート走行も満喫できませんでしたし。。
いかんいかん! ココはまだ下島。万関橋を越えた上島のほうが大きく、もっと走らねばならないのに。。
下島・上島とは、万関橋を挟んで対馬を2分割した場合の呼び名であり、実際に双方は陸続きでは無いんです。
これは、日露戦争に備えて、軍艦が島の東西を行き来できるように陸地を削って運河を作った結果なのだとか。
船はラクチンになっても遮断された陸路は困る事になり・・・・それを繋ぐのが万関橋、、、そういう仕組みなんです。
とにかく下島の西海岸を巡り、やっと東海岸を走る国道に出てみれば・・・
その合流地点あたりで休息しているバイクを発見!!
対馬に上陸してから、初めて見かけるツーリングライダーぢゃないですか!
思わずバイクを止めて話しかけてみました。
すると、彼は意外な事を口にしたんです。今朝早く、厳原港に上陸したばかりなのだと。
なるほど、それで荷物が満載なのは判りますけれど、、、、
現在は昼夜の2便が運行されていますが、当時のフェリーはワタクシが前日に乗ってきた、朝10時の便だけだったんです。
「ボクも朝のフェリーに乗ろうとして、前の日の夜に博多港についたんです」
「ふむふむ」
「そしたら、、、、バイクの兄さん、乗ってきな! って言われて・・・・」
どうやら貨物専用フェリーの会社があって、その深夜発の便に客引きされたらしいんです。
ワタクシの乗ったフェリーは九州郵船の便で、これはメジャーな船便だったのですが、
兄さんがナンパされたのは大川海運(今は、壱岐・対馬フェリーに社名変更)、当時は存在すら知りませんでした。
そ、そのようなフェリーがあったのならば、ワタクシも有効活用できたのに。。。
昼間のうちにソソっと阿蘇のキャンプ場を抜け出して、寝ている間に移動できたぢゃないですか。
「でも、ドライバー用の船でしたから、船内にはビールの一本も売っていませんでしたよ」
そ、それはそれで寂しいですね。。。乗らなくて良かったのかもしれません。。
兄さんと別れ、進路を北へ。
対馬を2分する運河を超えるには、国道の万関橋をオトナシく渡るしかありません。
現在の橋は3代目との事で、当時は完成してから僅か3年。やたら新しくて違和感がアリアリながら・・
海面からの高さがあるので、なかなか絶妙なビューポイントとして具合イイんです。
それにしても、、、、重機の無い明治の世に、ずいぶん頑張って掘削したものだと感心したものです。
だって、運河だと言われなければ判らないほどの深い谷間なんですから。
上島に上陸後は寄り道をせず、、、飽きちゃった訳ですね、、国道をイッキに北上して韓国展望台へ。
いよいよ異国が、、、、韓国が、、、釜山の街が見えるのだ!!
などと意味不明にコーフンしながら、中華風と言うか、韓国風と言うか、、、とにかく妙な形をした展望台の建物に入ってみると・・・
み・見えない。。。ど、どこに韓国があると言うのだ!!!
目を凝らしても望遠鏡で覗いてみても、、、、ただただ無残に広がる海が見えるばかりでした。。。
天気はキッチリと晴れていたものの、ココから僅か50キロあまり先にあるハズの韓国は、
海面の霧だかカスミだかに遮られてしまっているのでしょう。
掲げられた写真パネルには、まさにココから眺められるハズの釜山の街並みやバックの山々の姿・・・
パネルのソレは目の前に差し迫ったような迫力だと言うのに、、、、、見えないモノは見えないんです。
おそらくは・・・・
たまたまこの日がダメだった訳ではなく、空気の澄んだ真冬などでなければ、たぶん見える事のほうが珍しいのでしょう。
ガイドブックなどの与那国島のページでは「運が良ければ台湾が見える!」などと謳いつつ、
実際に見えるのは年間に数日しかないと言うのと同様に違いありません。
で、でも、見たい!! どうにかならんのか!!
水平線を執念で見つめれば、、、一瞬だけ陸地が見えたような見えないような。。。
かなりの確率でソレは目の錯覚でしょう。。。後は自分で「見えた!」と思い込むかどうかのモンダイですよ。。
ま、まあイイさ。。次に行こう! 次!!
その時のワタクシは、思いのほかアッサリと未練は断ち切れました。
だって、、キッチリと見える事はマチガイ無い、オメガ塔が待っていたのですから。
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【注意】
この文章は、かなり記憶が曖昧な部分が含まれております。
年月も経過しておりますので現状と異なる部分も多く、旅情報としては不適切です。
マヌケな読み物として捉えて頂ければ幸いです。
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