て深い神秘体験をもった。かれの目には、宗教同士が相争そうさまは、悲しくも愚かに見えた。これはそのままAZの立場、立場なき立場である。
 ラーマクリシュナを識ったことによって、AZの役(えき)者である私も、深い反省をうながされる。私はまだまだ偏狭である。知らぬまに、私は自分のまわりに垣根を作り、人をうとんじ敵を作っているようだ。1960年はまもなく暮れようとし、私もAZの同胞たちとともに新しい年に入る。
 ねがわくは神よ、どうか新しい年から、AZをもっと広やかな浄化と奉仕の場に育ててください。
 
AZの人間革命
25 腺について
 腺は英語で gland と呼んでいる。
 オカルトやサイキックの研究をしていると、腺がいかに重要な人体器官であるかということが分かってくる。E・ケイシーのリーディングにも腺のことはたびたび出てくるし、バイブルの「七つの燈台」というのは七つの腺の象徴であるという見地から、ヨハネ黙示録を研究すると新しい真理が発見されるという説もリーディングに出てくる。
 私は、この腺の問題に深入りするまえに、まず、現代医学の常識では腺はどういうものに考えられているかを調べようと思い、Grolia Encyclopedia (グロリア百科全書)のGの部をさがしてみた。以下はその摘要である。
 過去四半世紀(25年)以上のあいだ、導管を有せぬ腺がどんなものかということについて、科学的研究が熱心に進められ、その臆説のなかには一般の人々のあいだに滲透しているものもある。科学者たちはこの器官の神秘を解こうと懸命になってきたが、一般人も興味をもってその結果を期待し、腺の秘密が明らかになれば不老長寿や回春法も発見されるのではないかと思っている。
 身体のなかには二種類の腺がある。一つは無導管腺で、他は有導管腺である。名前の示すとおり後者は腺と他の臓器とを結びつける小さな導管がついているものである。この部類の腺の機能については、すでにかなりよく解っている。これに属するものは、分泌腺と消化腺である。
 後者は、その名前が示すように、食物の消化を助けるものである。消化腺が分泌し、その導管をとおして注ぎ出す液体のなかには、食物を簡単な物質に還元する酵素が含まれている。このような仕組で、下の下部にある唾液腺は澱粉を糖に変える助けをし、次に消化過程に働くのは胃腺である。この腺は胃液を胃のなかに放出する。この器官のそばに、体内の最大の腺である肝臓がある。胆汁がここから分泌され、腸内に注入されるが、膵臓から出る膵液も同様である。腎臓も一つの腺であると考えられているが、その分泌液は廃物であって対外に排出される。
 分泌腺は涙腺、汗腺、脂腺、乳腺などである。これらの腺の機能は誰にもわかっている。これは消化腺と同じように、血液中から水分その他を取って、それから新しい分泌液を作る。
 神秘的な無導管腺はホルモンと呼ばれる物質を分泌するが、この腺にはホルモンを方々に送る管がついていない。この分泌物は身体に滲みわたって、腺からは遠くにある器官に影響を与える。この腺のなかに入るのは、甲状腺、副腎、副甲状腺、脳下垂体、松果腺である。これらの腺の機能はまだ完全に理解されていない。
 副腎は、腎臓のすぐ上に位置して、外皮部と髄部からなっている。外皮部の分泌物にはいくつかの機能があって、筋肉の刺戟や体温低下の抑制などの作用も含まれている。この機能が傷つけられると、主として疲労しやすくなる結果を生む。副腎髄部からはアドレナリンを分泌するが、この物質の組成は判っていて科学的に合成可能である。アドレナリンは小血管を収縮させるから、出血を止めるのに役立ち、アレルギーにも利く。停止した心臓にこれを直接注射すると、ふたたび鼓動を始めることも時々あった。
 チロキシンは頭部にある甲状腺から分離された物質で、科学的に合成できる。この腺にはたらく物質はチロキシンだけではなく、この腺からの分泌物は新陳代謝に大きな影響をもつことが知られている。
 子供の場合、甲状腺分泌が少ないと成長が抑制され、小人になる。成人に欠乏がおこると、粘液水腫という病気にかかる。逆に分泌が多すぎると、眼球突出を伴う甲状腺腫がおこる。適度の分泌量で正常に甲状腺がはたらくとき、どういう機能がはたらくのか、それは不明である。松果腺についてもほとんど知られていない。解剖学者は、この松果腺が或る種の爬虫類のもつ「第三の目」に対応するということを証明しようとしたが、これによると松果腺は昔の器官が退化した痕跡と見ることもできる。奇妙なことに、古代には、ここを魂の居所とする学説があった。
 脳の下にある脳下垂体から出る物質は、すくなくとも二つのタイプにわけられる。この腺の機能の一部だけが、ぼんやりとわかっている。この腺が病むと、巨人のような畸形が出来たり、全身に脂がうまく分布しなくなったりする。脳下垂体と甲状腺は、おたがいに一種の相関関係があると信じられている。甲状腺が傷つくと、脳下垂体が腫れ上がる。この二つとも、性徴の発達と関係があると考えられている。
 性的成長の他の特徴は、女性の場合子宮に、男性の場合睾丸にある生殖腺に依る。ここから出るホルモンの性質は現在よく判っている。

 以上が、現代の医学常識の摘要と言える。結論として、人体上部にある甲状腺・松果腺・脳下垂体だけは、その機能がまだ解っていないということである。E・ケイシーは胸腺の機能についても述べているが、これらの神秘的な腺のはたらきに関しては、今後もAZの書物にすこしずつ発表されると思われるので、この章はその準備として最小限の医学常識を紹介したのである。
26.ふくれた感じ
 あまり一般向きのテーマではないが、これに似た感じを今後経験するようになる人も、読者に若干出てくると思うので、書いておく。
 そのまえにルカ伝の第八章から引用する。
 「ここに十二年このかた血漏(ちろう)を患いて医者のために己が身代をことごとく費やしたけれども、誰にも癒やされざりし女あり。イエスの後に来たりて、み衣の総(ふさ)にさわりたれば、血の出ずることたちどころに止みたり。イエス言い給う『我に触りしは誰ぞ』。