ブラウン・ランドーンの方法
魂はわれわれ一人一人が持っている貴重な宝である。魂は何でも知っている。肉体の故障を治すだけではない。人生上のあらゆるつまずきと行きづまりを解決する「智慧」を持っている。
 魂にすべてをやらせなさい。かれは、もっとも熟練した人生の舵手である。最も有能な人生の設計技師である。
 魂は「奇蹟」をおこなう。魂をよびさます技術―――これは他のいかなる技術とも異なっている。それは体操のようにみえるが、実は体操ではない。
 すべては内部から出てくる。出てきたあとで、あなたの表面意識がそれに気づく。その逆はできない。意識を呼び水に使うことはできない!


肉体は重い

 それは、気づいた時にはもうはじまっている。
 真の自由がどういうものか、あなたは体験でそれを初めて知ることができる。内側からひらけてくる新しい解放の世界―――人間はここで初めて真の人間となる。
 最初、あなたは肉体が重いことを意識するであろう。本当にくつろぎがやってくると、肉体はそれ自体の重みで下降し休息しようとする。
 初めの数日間は、妙なことだが、いつもより大きな疲労感をもつかもしれない。この疲労は喜ぶべきである。内的筋肉が緊張を解き出したよい証拠だからだ。
 この疲れは消耗からくるのではなく、「休息」の疲れである。心配はいらぬ。むしろ喜ぶべきだ!
 まず休息が来る。それから、身体はいきいきと衝動に反応するようになる。
 もはや、知識としてではなく鮮やかな体験として、あなたの魂が無限であることがわかる。そしてあなたの魂が、無限の「愛」のなかに包まれていることも・・・・・。
 あなたの内的筋肉が生き返ってくるとき、おのずから出てくる運動の一つ一つに、神の愛がはたらき、神の智慧があらわれている。うたがわず、神の力にすべてを任せよ。


肉体の真の意味

 実をいうと、あなたの無限の魂が活動する場の焦点が、肉体である。ちょうど、ストーブが熱の焦点で、その一点から熱が放射され、部屋中があたたかくなるように、あなたの肉体から、あなたの魂の光が八方に射し出ていることを悟らねばならぬ。
 放送局の例をとってもよい。放送される音楽や講演は、局という小さな建物のなかに閉じこめられているわけではない。あなたの魂はNHKやBBCよりも遥かにすばらしい放送局である。
 毎朝毎晩、2分間でよい、あなたの肉体から霊の力が遠く放射されてゆく図を思い浮かべよ、とランドーンは勧めている。
 さらに2分間、毎朝毎晩、あなたの「魂」が霊的放射線であって、あなたの肉体を包み、細胞の一つ一つを貫通し、限りなく遠方に伸びていることを確認せよ、とかれは説く。
 これは意識の心、思念を使う方法とは違っている。むしろ心を肉体から離して、内的筋肉をゆるやかにする準備である。
 肉体を牢獄と思ってはならない。肉体は魂の焦点である。


今夜からあなたの部屋で

 ランドーン博士は「灰色の部屋」を必要としない方法を、万人に示している。具体的に紹介しよう。

(1)自分の部屋にひとりでいられる時間をつくる。
夜がいいが、早朝でもよい。

(2)身体をしめつけるような服を脱ぐ。
自由に動けるようにする。寝巻きは理想的である。

(3)静かに横たわり、両眼をとじる。
自分の魂が太陽の光のように身体を包み貫いているさまを、心の目でみる。
(思念を固定させてはいけない)

(4)あなたの魂から発する光線が、二つの大きな山のあいだの谷に凍りついた雪と氷をとか
して、春の水がとうとうと流れ出した光景を心の目で見る。

(5)ただ待つ。

(6)もし何か衝動が来れば、それに応じて動作する。こうすべきだとか、こうしてはならない
とか、考えないこと。
むりに伸びをしたり、あくびをすることは要らない。動きたければ動くだけである。烈しい
運動が始まっても、それを止めるな。

(7)全然動く衝動がおこらなければ、それに満足して、ただ神を讃えよ。なぜなら、あなたの
知らないあいだに、魂は内的筋肉を休ませているからだ。

 上のように、毎日2週間のあいだ続けよ、とランドーンは勧めている。
 なにか運動をしてやろうとも、なにも動かすまいとも、全然考えず、ただ無心におこなうのである。やめたくなればやめて、祈ってから寝につくがいい。全然静かなときは、そのときのあなたの状態では、静止がいちばん善いからである。
 2週間たったら、今度は部屋の家具を動かして、もっとひろびろとした場所を作るようにする。10分か15分で眠くなったら床に就くがいい。
 なにか或る問題に対して、こうしたらいいというアイディア(霊感)を得ることがある。そのときはそれを意識で追求しないで、そのまま眠ってしまう.寝ているあいだに、なんの努力もなしに、すべての計画が出来上がっているだろう。
 また、エネルギーが流入して、ある仕事を猛然やりたくなることがある。家内の他の人に迷惑にならなければ、それをやればいい。
 身体が疲れていて眠るつもりで横になっても、内的解放が始まって数分もたつと、力がみちてきて仕事をやりたくなることもある。たいていの疲労は睡眠不足ではなく、内的筋肉の緊張から起こるからである。
 とにかく、内的筋肉が解放されたあとで、自然にやりたくなったことは、みなあなたのために一番よいことなのだ。