日常生活で私から開魂的な接触を受けていたから、オ−プンという初回ラティハンをすんなり通ったようである。


15.私の履歴書
                      在天神940116/2345
次の次のペ−ジに、番外として私の履歴書を挟んでおこうと思っている。失業しているのであるから、これでも使ってそろそろ求職運動をしようかとも考えている。もちろん自宅勤務である。ファックスは高価だから、まだこの家には入れていないが、今はどんな田舎にいても、ファックス一つあれば都会の仕事を受けられるようになっている。翻訳者も例外ではない。設計技術者も写真家も、今はオフィスに通う必要はない。富士山の上ででも仕事ができるはずである。
この本を書くことから、いまはちょっと興味が離れている。なにか別のことをしよう。どうせ眠らないですむ一晩であるから、何をするか。アシュケナ−ジでショパンのピアノ曲を聴くか。オ−ディオ・テ−プで誰かに声の便りを送るか。東京の有名出版社に私の翻訳技能を売りこむキャンペ−ン・レタ−を書くか。どうもよく分からない。こういうとき、私はスブド式に魂の世界に戻って、内側からの囁きと指示を聴くことにしている。11:56PM。

940117/0544となっている。あれから、泰冠に90分テ−プ3本に言葉を入れた。それを封筒に入れてからこの原稿に戻っている。私の生活は夜昼逆転であるから、AMがPMに相当する。夕方6時前というと、普通のサラリ−マンは会社の帰りだろう。これから家に帰ってビ−ルを抜いてJリ−グでも見ようかというところである。眠るまでには4〜5時間はあるだろう。そのタイミングでいうと、私の今度の睡眠は午前10〜11時になるのかもしれない。朝の来信で切手かお金が舞い込んでくれば、泰冠あての封筒その他を出しに、村の郵便局に行くだろう。
それまで、何となく一如君に手紙を書きたくなった。この『ウツと失業』の最後の3枚を同封しよう。履歴書は番外だから要るまい。
泰冠あてのテ−プで、昭和30年代の地球遊星政府運動のころ、私が愛神さんにどんなに泣かされ、ハラハラしたかを物語った。来たる2月2日に、愛神さんが多摩市の病院から大阪に来たら、みな多少の差こそあれまごつくと思ったので、そのための予備的オリエンテ−ションとして語ったのである。
270分のテ−プだから、聴くほうも骨が折れると思ったので、泰冠君には「一週間もかけてゆっくり聴いてください」と申し入れた。一如が聴いたら、恩納に渡すといい。その次は十蟻かな。
私がもし万が一、大阪に行けるような財運に恵まれたら、私は愛神さんとホテルで同室かな。すこし気骨が折れる。シングル別室がいい。彼と一緒だと煙草も酒も憚られてのびのびできないからだ。しかし、今のところは、新大阪で私も皆と一緒に愛神さんを出迎えるようなことにはなりそうもない。なにしろ、手紙一通を出す金もないと、愉美子は言うのだから。今日からの食料を彼女はどうするつもりだろう。サラ金しかないだろうと思うが、彼女はこれ以上借金を増やしたくないみたいである。10時半の郵便で、「風がもてくる落ち葉」が来るのだろうか。棚ボタ精神はよろしくない。私は働いている。カネにはならなくても、夜も寝ないで働いている。無償のはたらきが、宇宙のどこかに響いて、宇宙銀行頭取から出納係に出金命令が出れば、話はまた別になる。6時のチャイムが鳴り出した。ベ−ト−ヴェンの「エリ−ゼのために」である。
さあ、そろそろ「番外」に移って、この章を締めくくろう。
夜起きていることに対する罪悪感(これは奇妙な思い込みだ)がほとんどなくなった。世間の最大多数に反する生活をして平気な人間は、「みんなで渡れば怖くない」の反対だ。

  十 菱  麟 ・ 略 歴 

出身 大正15年(1926年)7月15日東京市阿佐谷村に出生
父は小説家・劇作家 十菱愛彦(占星学者としてはト−ビス星図)
母は歌人・随筆家 十菱敏子
次弟は十菱珠樹(会社経営) 末弟は十菱駿武(考古学教授)

学歴 大正15年7月15日 東京市杉並区阿佐谷にて出生
昭和19年3月 都立第一中学校卒業
同年 4月   武蔵高等学校理科甲類入学
昭和22年3月 同校文科甲類卒業
同年 4月 東京大学文学部入学
昭和26年3月 同校文学部英文科卒業
昭和27年7月 オハイオ州立大学大学院にガリオア・フルブ
〜28年5月   ライト留学生として在籍勉学

職歴 昭和26年4月 東京都立足立高等学校英語教諭に就任
    その後約10年間、武蔵中学校、都立南多摩高校、
                       日本大学理工学部にて英語教授
昭和30年代後半、日本橋室町にて翻訳エ−ジェント・株式会社英瑞カンパニ−を
     経営しつつ、日本石油化学、明治ゴムなどの諸会社の嘱託となる
昭和40年代前半は新日鉄本社の技術書類を翻訳(和英)
以後は独立にて著述・翻訳を行なう

訳書 ホ−ムズ: こころの発見(日本教文社)
ニ−チェ: 妹と私(四季社)
マハリシ: 超越瞑想入門(読売新聞社)
サ−ミナラ: 超能力の秘密(たま出版)
B・J・パ−マ−:芸術・哲学・科学(日本カイロプラクティック協会)

著書 アメノミナカヌシの秘密(霞が関書房)
AZシリ−ズ6冊(霞が関書房)
6と9(インフォ−メ−ション出版社)
Z革命の秘密(百花苑)
ほか十数冊
十 菱  麟 
879−69大分県大野郡清川村天神
電話0974−35−2140

付記 昭和46年より16年間、多くの弟子と全国を乞食托鉢した。そのあいだは、執筆はほとんどしなかった。結婚は3回。その相手は旧姓で前田鶴枝(昭和元年生)、渡辺敏子(昭和17年生)、下田愉美子(昭和26年生)。1994年1月17日現在、独身。子供は内縁3名からの子も含め、12男10女。孫の数は不明。
ウツと失業