書簡集リスト
おけいさん!
                                    平成9年5月16日朝7時29分
                                                  於 錦荘
 連日のお商売、ご苦労さんです。
 昨夜より、友人を三人立て続けに癌で亡くした弟・珠樹を元気づけるための、新著述企画を練っておりました。
 彼はもともと上智大学で演劇部に属していましたが、左翼的な出し物の件で退学処分を受けました。私の引きで翻訳業界に入り、もう40年近いのですが、私同様、翻訳とい
う仕事に嫌気がさしていたので、彼が3歳の時、医者に見放された難病を霊気療法で救ってくださった松居松翁先生の伝記を書くように勧めたところ、大喜びでした。
 あなたのほうにも、触手療法、手のひら療治その他の名前で日本中にひろがっているこの療法について、何か情報が入ったら私にお伝えください。    

 その昔、主婦の友社から私の『98歳で健康のまま他界したランド−ン博士』を、自著のなかで全文を引用紹介した人がおりました(津山の人でしたが、今は故人)。
その人から5万円の謝礼を受け取った記憶があります。三重町時代のことです。
 その原文を最初に発表したのは、自由ケ丘で出していた個人雑誌『AZ』の特別号"聡ちゃん"号においてでした。
 霞が関書房から『手−−その奇跡』を出した故・宮崎五郎氏(歌人)も、私のその論文をまるまる自著の巻末に紹介してくれたので、それが主婦の友社の本にまで飛び火したのでした。この論文の愛好者はいまだに多く、その一人(婦人)が愉美子を促して、ランド−ンの方法に基づくクリニックを作ろうと言い出しております。      

 愉美子も通信販売をそろそろやめて、本来好きな治療の道に入るとよいなと思っております。
 ランド−ンの論文はもうお読みになりましたか。松嶌徹君がコピ−を持っております。その方法はスブドのラティハンに近く、またこのあいだ熊本節子が実演した野口式の活元運動にも似ています。
 ランド−ンはその方法を「無意識に肉体を開放すること」と呼んでいます。私は「無意識解放」と名づけました。あの論文を書いたのは、ちょうど今の皇太子が生まれた年でした。聡ちゃんも同じ年にうまれました。
 霊気療法の伝授も、無意識解放の指導も、私はできますので、来週(22日かな)、お宅で4人が落ち合ったら、おみちびきして差し上げましょうか。私の電話番号が「しなさい」と言いますので。

 朝5時から仕事にかかり、台所のシンクも奇麗にしました。今は「菊正宗」上撰を朝酌中ですが、何だか不味くて仕方がないのです。「虞美人」も太陽鳥REDもジンもみんな不味くなりました。そろそろ酒もおしまいですかな。唯一の例外は、君のお酌で京都の美酒を受けるときだけ。

 今日は早いうちに、新鮮な空気を吸いながら、久米寺境内を突っ切って郵便局にゆきます。DKはとても軽くなりましたから、将来に希望が持てます。そのうち、足の神経痛も消えるでしょう。

 昨夜は面白い料理を作りました。タマネギとニンジンを塩胡椒で炒め、にんにくの粉を振り、辣油で仕上げました。そうそう、炒め段階で、卵を割込み、ロ−スハムのせん切りを入れました。あまり美味しいので、ご飯を食べませんでした。こんど、あなたに作ってあげます。ただし、同じものは二度とできないから、成否の保証はできません。
 それでは、おめもじの日を待っています。
                                   かしく
                                                大和のおりん