竹林裕記さん!
                                        在橿原971226/1740
 ボランティアの団体の人が来ていて、お手紙に取りかかるのに暇がかかりました。
 車椅子をあちこちにプレゼントするので、協力してくださいということでした。一応三足3000円の高級靴下を置いてゆきました。私は数年前からの古靴下しかありません。時に、右左チグハグのを穿くこともあります。
 ボランティア(滅私奉仕)の婦人に払った3000円は、正月5日ごろ福祉からお金が出るまでの生活費だったのです。そこへ、あなたが友情の喜捨をドンとしてくれました。どんなに嬉しかったことか。月末家賃(3.5万)を払うあてもありません。

 今しがた、読売の集金嬢が11月分を取りに来ました。朝刊のみで3670円です、私は本当に物価知らずなので、ここに記録しておくのです。しかし、どうせすぐまた忘れてしまいます、そういう頭脳構造になっています。自分の家の電話番号や番地もスラスラと出ないことがあります。記憶力不良は若いときからでしたが、最近はそれにボケが加わりました。だから、昔の国鉄の人たちが「右よし左よし」と自己確認を取ったように、今の私は「ここワ−プロの左に眼鏡を置く」と自分自身に云います。(それでも忘れることがあるね。)

 あなたのお手紙に戻って−−私は達者でも何でもなく、今は肉体の不健康に悩むばかりです。下痢、足の麻痺、老人性弱視(眼鏡かけて片一方がやっと0.4です)。全身に力がなく、牛乳パックを開けるのも大ごとです。
 お釈迦さまもシルディ・サイババも、最後はご病死です。老苦を充分に味わってからです。
 三船敏郎は全機能不全という病名で死にました。私より六つ年上です。飛び降り自殺をしたあの映画監督は論外です。

 あなたは鳥屋たよりと書いています。小鹿版や錦のたまづさと入り乱れると、やはり困りますか。私は「だより」という名称に飽きただけなのですがね。
 炭焼きプラス農業とは素晴らしいことですね。第一次産業はトップです。人類はこれで長い世紀を生き延びてきたのですから。私も海岸に住んでいて、身体強壮だったら、イカ船でもカツオ船でも乗り込みます。事実、奄美の喜界島時代には、毎日魚釣りに出て、妻子を養いました。サッチャ・サイから菜食を厳命されても、私は喰うために魚を取ったことでしょう。
 今の私は釣りという業に残酷さを感じて出来ません。野良猫のために始めた川釣りも、二回目に竿が勝手に折れてしまいました。猫との縁も切れました。KKKから贈られたキャットフ−ドを皿に出していたら、元の痩せ猫でなく、まるまる肥えたよその大猫が平らげていました。

 あふれるように風船かづらの種子が取れたので、風船かづらの種子の残りを全部送りますから、来年播種して育ててください。ほずみさんはなぜか引いてしまいました。
 松嶌徹さん一人では大変なので、どこかから発送だけでも手伝ってくれる人が出るように、祈っています。
 
 年末の2万円は凄い大金でした。あなたと神さまに感謝します。
                                                     拝具
                                               ジュ−ビシリン

追伸
 これはお願い。うちのトイレが臭くてたまらず、頂いた竹油をときどきやって消臭していましたが、油が切れてしまいました。今度一瓶送っていただけたら嬉しいです。それから、あなたへの返信は、このニュ−ズレタ−に差し込み、公開文としました。悪しからず。
 この社会構造、来年壊れます。失職した人については、多くの悲劇が起こるでしょう。

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