目覚めとなりました。

 今、緑の封筒とお便りを頂きました。感謝します。私は無為であなたが見るとおりのリンです。ヒントも答えもありません。なにもかも放棄した面があります。それでも力ネの苦労をしているから、みなさんと大した変わりはありません。欲しいとも言わないのlこ、五月が酒の肴lこチーズをもってきました。酒の昧が悪くなるだけでした。私は肴やおつまみなしの飲酒生活を長く続けていました。横に添えるものは不純物みたいです。夕バコにはおつまみはないでしよう。

 「爽」の人には、ウツも「爽」の風景として見えます。ウツの人には「爽」の風景がウツlこ見えるというより、居たたまれずテレビなどもすぐ切ってしまうわけです。「爽」の風景が[騒]そのものなのです。で、ひとり静かlこ酒を飲んだり、こういう手紙を書きます。手紙の機能[があるとして]を果たして居ないことはよく分かります。10:28。

 とどの詰まり飽きて寝てしまいます。

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 小用起きしていまは11:44。珍しく五月が布団に入って寝ています。風邪がぬけていないのでしよう。飯の催促は当分ないだううから、ゆっくり飲みます。トイレでは急がないと漏らすので大変です。今のところ、これが最大の悩みです。よく歩けないのlこ、這ったり立ったりがひと騒動なのです。ワープロもあまり滑らかlこ打てていません。しかし、この仕事を放り出すと、なlこもすることがないので、どうにか齧り付いているのです。

 五月が起きて食事を勧めましたが、NOです。飲んでいるほうが気楽なのです。今日も無食で夕方までゆくのかな。中村重雅の影響を受けています。その後、酒くしゃみでダウンしていました。発作が収まるまで布団のなかにいて、また起きてきました。飲みます。どうにか頑張れるかな。ソバを勧められたが、まるで“気”が行きません。偏屈なアル中です。ビール好きでビール腹 lこなるのは、ビールと一緒lこ大量の栄養物を食べるからだと聞きました。私には関係ないことです。

 それにしても hungry になるのlこは或るリズムがあって、いくら飲んでいても、急lこ空腹を催すことがあります。だから、お酒の入るお中と食物用のお中と二つあるように思えます。今日はキリナシ日になっています。飲まないで食べる日もあるのです。そういう日がないと、いくら何でも続かないでしよう。今はお粥も入りません。自分でもヘンだと思います。

 若いころは信念の固まりみたいだったが、今はその信念も氷解あるいは雲散霧消しました。信念は人を支えます。あればあるに越したことはありません。信念を一生貫く人もいますが、私みたいに途中で消えてしまう人もあります。お粥を注文しました。事前にパンシロンを服んで食欲を誘発します。いつものやり方です。しかし、お粥は熱い。冷めるのを待つ間、また飲めるでしよう。工リック・オリック事件のときは私何歳だったのだうう。

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 45だったのか。記憶がボケ始めています。それから30年間飲み続けです。愉美子と結婚したときは飲み盛りでした。6人の子はみな酒の子です。王玉は成人式をすでに越えていますから、私と愉美子の妊娠は20年以上前でしょう。私が50代の始めかな。みんなボケてしまいました。ボケたときlこ備えて、記憶のはっきりしていたときlこ、正確に自伝は綴ってあります。

 過去の自分は他人です。あなたがインターネットしてくれている文章の作者は他人としての自分です。過去の作品が評価されても、他人が褒められているようです。この実感はあなたには通じないでしょう。lDENTlTY−−過去の自分と今の私との同一性は薄れているのです。夏目漱石(1867〜1916)もあの世に行って、自分の作品への執着はゼロになっているはずです。自分の顔が紙幣になって全国を飛び回っているということなどには全く無関心でしょう。半分棺桶に足を突っ込んでいる私lこは、そういうことがよく分かります。あなただって自分の十代の作品にはあまり関心がないでしょう。お粥が冷めたかな。明太子が2匹ついています。

 前後矛盾していますが、関心と言えば、私は幼児のころに書いたものから全生涯の作品に関心があります。理由は忘れているからです。幼児期に□づさんだ詩にも今では作れないものが一杯あることを知っています。高校教師だったころ或る雑誌に発表したスペインの哲人[ウナムノ]の小説の翻訳などいいものでした。今はその雑誌の名前も思い出せませんが、国会図書館にあるはずです。ああいうものを掘り出してくれる人がいたら嬉しい。
lDENTlTYは名前にあります。ただ復元ができないということだけです。

 ウナムノは今調べたら Miguel de Unamuno [1864〜1kyu36] とありました。私の訳文、インターネットで出ませんか。くたぴれました。2:46。

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 再起して3:20PM。ヒーターを二九度lこしたら室温が25度になりました。腕が中風みたいで、ワープロが打ちにくいのです。単に指が震えているからかもしれません。あるいは何でもないのかもしれない。指が踊るのは確かです。でも飲んでいます。どうなってもいいと思っているのかもしれない。ここで小用を催すのが恐怖です。酔っているし、歩いてゆけるかなと不安です。しくじると風呂とか洗たくとか大変なのです。予めトイレのそばに行って待つこともありますが寒くてひと苦労。

    




                                                     拝具

                                                      りん
                                                  十菱  麟
                           −4/4−
書簡集リスト
何となく終わりに来ては一安心果てなき手紙いつ果てるかや

読みくるる友あるが故書きすすむその友ひとり我にあるため