WIZARDRY RPG
− OutLaws Edition −
■サンプルシナリオ■
◇シナリオプラン 『禁断の魔筆』◇
<背景>
The Cosmic Forge (コズミックフォージ) n [kosmikos(宇宙)、fabrica(作る)]
1:超自然的な鉄筆の名前。それで書き記されたことが現実に起きるという魔法の力を持つ。
百と二十年ほど昔のこと。この城には、最も邪悪な領主と妃が住んでいた。彼らはその領土の人々全てにとって、長いこと恐怖の源であった。奇怪な儀式の噂がそこここで聞かれ、王が神秘の技を磨いているという話も囁かれた。王は侵略によって領土を広げ、力を増した。しかし、その欲望は尽きることなく、自らに並ぶほど邪悪な魔法使いと手を結び、ともに手を携え、彼ら以外の邪悪なる者たちをひとつひとつ滅ぼす魔法の闘争を繰り広げた。
彼らがコズミックフォージの存在を知ったのは、こうした闘いの最中であった。
異教の神を魔法の力で打ち破った彼らは、その最後の命乞いの言葉に聞き入った。それは魔法のペンとその力、筆先によって言葉が紡ぎ出されると、それが宇宙の中に永遠に織り込まれ、書き記されたことが現実となるという魔法の力について語った。王と魔法使いは、それを聞いた後、その敵を葬り去った。しかし、このコズミックフォージという名の摩訶不思議な代物の在り処を聞き出す事は忘れなかった。彼らはこのペンを盗み出し、誰も想像できないほどの恐怖を宇宙の中に織り込み始めた。しかし、ペンを盗み出すと間もなく、二人はお互いの力を妬み始めた。もはや彼らは、お互いの力を必要としなくなっていたのである。そして、お互いの運命とこの魔法のペンの行く末を定める最後の闘いが繰り広げられた。
それらが知られていることの全てである。城はそれ以来住むものも無く、王、妃、魔法使い、魔法のペンがどうなったのかを知るものもいない。しかし、汝がここにきたことによって、すべてが変わろうとしている……。
<始める前の準備>
同じキャラクターを成長させながら長い物語を続けることをテーブルトークRPGでは、キャンペーンゲームと呼びます。
ここでは、『WIZARDRY6 The Bane of The Cosmic Forge』(以下、『BCF』と略す)の冒険を『WIZARDRY RPG Outlaws Edition』で追体験するキャンペーンのシナリオプランを掲載します。
このシナリオは、1〜20レベルのPC6人用のものです。プレイヤーが6人に満たない場合でも、PCは6人いた方が良いでしょう。5人以下でも探索は可能ですが、相当の困難が予想されます。
また、『BCF』の冒険では、途中で街や寺院に寄るということができないため、巡航性が高いパーティー構成……つまり充分な回復魔法の使い手や、探索に適した盗賊系技能(「指先技」や「早業」などの技能)を習得した者が含まれたパーティー構成を組んだ方が良いでしょう。
本格的な冒険に入る前に、そのパーティーで幾つか小さな冒険を行い、その機能性を確認する、というのもひとつの手です(先に掲載しているシングルシナリオなどが最適です)。
<プレイスケジュール>
では、いよいよ冒険の開始です。
下段から、キャンペーンの一例として全体のスケジュールを用意しました。コンシューマーゲームの冒険を適度にデフォルメしていますが、だいたいの道程は同じです。
このプランはあくまでも指針として使用してみてください。より長くしたり、短くしても構いません。また、冒険に参加するキャラクターの背景に合わせて、適度に独自の物語を組み込むと、よりプレイヤーの没入感が深まることでしょう。例えば、肉親の仇を捜している、という設定のキャラクターが居たならば、シナリオのクライマックスを迎える前に、その仇を登場させておきたいものです。それが廃城に潜む盗賊の中に紛れているのか、邪教“雄羊の寺院”に加わっているのか、それとも死者の殿堂で待ち受けているのか、バランスよくシナリオを盛り上げるように工夫してみてください。
■セッション#1 災厄の旅
冒険者一行は、コズミックフォージ……それを使って書いたことがすべて現実のこととなる宇宙創世のペンを手に入れるべく、この廃墟の地へとやってきました。それを手に入れた者は善であれ悪であれ、いかなることも己の思うままにすることができるのです。
もちろん、この目的があまりにも非現実的だと思うようなキャラクターには、別の目的を準備した方が良いでしょう。これからの苦難に相応する相応しい目的でなくては、途中で冒険を投げ出してしまうかもしれません。
しかし、城門を潜った一行は、すぐ後ろでやかましい音を立てて格子戸が落ち、退路が閉ざされたことを知ります。もう引き返すことはできないのです。少なくても他の入り口(当然どこかに在るはず)を見つける必要があるのです。
一行は廃城の中を探索しながら、獰猛なラットやバット、あるいは盗賊たちと戦ううちに、城の地下でクィークェグと名乗る人物と出会います。彼は狂人ル・モンテスから財宝の在処を聞き出すという役目を依頼してきます。
ル・モンテスが無くしたという愛しい“スヌープチェリ”を見つけ出し、ル・モンテスと話をすることが、このセッションの目的となるでしょう。
→入手する重要アイテム : スタッフドビーグル / デッドマンズログ / J.R.デコーダー
<イベントフロー>
城内の探索 | 食糧貯蔵庫でロッテンチーズ、ワインボトルを入手する。鐘楼でヘビーロープを入手する。 | ||
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クィークェグとの遭遇 | (スクリプト)アイテム(Eランクの武器、防具、薬品、巻物など)の売買が可能。またミステリーオイルを購入できる。 | ||
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ル・モンテスとの遭遇 | (スクリプト)アイテム(Eランクの薬品、巻物など)の売買が可能。 | ||
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地下牢の探索 | デッドマンズログおよびJ.R.デコーダーを入手する。(デッドマンズログに暗号で記された船長の財宝の隠し場所をJ.R.デコーダーで解読する) | ||
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城内の探索 | 食糧貯蔵庫で拾ったロッテンチーズを使って壁向こうのファットラットを誘き出し、隠し通路の先に隠された宝箱からスタッフドビーグルを入手する。 | ||
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クィークェグとの交渉 | 船長の財宝の隠し場所の情報と引き替えに“船長のねぐら”の合言葉を教えてくれる。 | ||
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ル・モンテスとの交渉 | スタッフドビーグルと引き替えにシルバーキーを入手する。 |
■セッション#2 船長との出会い
クィークェグの教えてくれた合言葉によって、冒険者一行は安酒場“船長のねぐら”に足を踏み入れることができるようになります。しかし、待ち受けていたのはキャプテン・マティーの挑戦でした。
飲み比べに勝つことによって、酒場の中に入ることを許された一行は、そこに巣くう盗賊たちから断片的な情報を得ることができます。酒場の鉄格子の中で干からびた船長の亡骸をめぐる話は、ジャイアントマウンテンに隠されたという財宝がきわめて高い価値を示しています。
冒険者たちが、この財宝こそがコズミックフォージであると誤解するような情報を与えても良いでしょう。そうでなくても、クィークェグに財宝を渡すまいと追いかけようとするかもしれませんが……。
しかし、そんな冒険者たちにキャプテン・マティーは再び挑戦してきます。
酒を通して和解したことをすっかり忘れた船長は、よそ者である冒険者一行を叩きのめそうと迫ってくるのです。
そんなマティーを斃した一行に、後継者をめぐる争いに巻き込まれないよう、早く立ち去った方が良い、と酒場のバーテンダーは密かに囁きます。
→関連するNPC : キャプテン・マティー
<イベントフロー>
船長のねぐら | クィークェグの合言葉で入室が可能になる。 | ||
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キャプテン・マティーとの遭遇 | (スクリプト)酒の飲み比べに勝てば歓迎される。 | ||
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牢屋の探索 | シルバーキーを使用して、牢に閉じ込められていた船長の亡骸からスチールフックを入手する。 | ||
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キャプテン・マティーとの戦闘 | 部屋を出ようとすると襲ってくる。 |
■セッション#3 王の秘密
廃城からの脱出路を探す冒険者たちは、その過程でいにしえの城主について知るようになります。養女になった少女、そして王妃との不仲、探索は謎めいた歴史の影を伝えてきます。
そして、そこから導き出された結論はひとつ。かつて英雄王として讃えられたかの王は、悪魔崇拝に傾倒していたという事実です。王の書斎に隠されていた本棚から見つかった魔道書、宝箱の中に収められていた儀式に使われたであろう雄羊の意匠を施された仮面や短剣……まさにこの王こそが、最近あたりを悩ませている邪教“雄羊の寺院”の創成に携わっていたであろうことが、容易に読み取れる事実でした。
そして、遂にたどり着いた祭壇。
血に彩られた祭壇を調べていた一行は、生贄を捧げていた穴に落下してしまいます。それが誰か不注意な者ひとりでも良いですが、迫りくる大蛇から助けるためには、一行すべてがそこに身を投じる必要があるでしょう。
→入手する重要アイテム : キングス・ダイアリー / ラムダガー / ゴートマスク / ラムブック
<イベントフロー>
城内の探索 | 王の書斎でキングス・ダイアリーを入手する。隠し部屋の宝箱から、ラムダガー、ゴートマスク、ラムブックを入手する。 | ||
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祭壇の間 | 入口の鉄格子はラムダガーを鍵にして開くことができる。 | ||
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邪教の祭壇 | ラムブックに記された手順で操作すると祭壇が沈んで、地下室に通じる開口が開く。 | ||
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大蛇との遭遇 | 祭壇から下に飛び込むと門が開いて大蛇が襲ってくる。 | ||
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危険地帯へ | 大蛇が出てきた門から危険地帯へ行けるようになる。 |
■セッション#4 地下迷宮へ
かろうじて大蛇を斃した一行は、そこが城の地下へと通じる道であることを知ります。広大な地下道は、どこか他の地へと繋がっているようです。
怪物たちとの遭遇に悩まされながら迷宮を彷徨い、崩れた岩を掘り進みながらも、なんとか一行は脱出路を見出すこととなります。
激しい戦いと宝物の獲得。地味ながらもシビアな戦いの連続は、冒険者たちのレベル調整にも丁度よいかもしれません。
この冒険の中で、一行は後に出会うこととなる死者の川の渡し守、カロンを呼び出すのに必要な“魂の角笛”と遺灰の壺を手に入れます。まずはその力によって冥府へと旅立つことができたのは、城主の養女となるレベッカの育ての親となった罪を犯した牧師でした。
→入手する重要アイテム : ソウルホルン / アッシュシリンダー
<イベントフロー>
危険地帯の探索 | 大蛇の住処からマイナーズピックを入手する。 | ||
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落石で埋まった通路 | マイナーズピックを使用して落石を掘り崩して通過することができる。 | ||
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深い渓谷 | 鐘楼で手に入れたヘビーロープと船長の義手だったスチールフックを組み合わせたロープ&フックで渡ることができる。 | ||
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採掘場へ | スパイアキーを入手する。 | ||
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城の尖塔 | (スクリプト)スパイアキーを使用して幽閉されていた牧師の亡霊からソウルホルンを入手する。 |
■セッション#5 封印の魔法使い
廃城の地下から採掘場へと迷い込んだ一行は、そこで長きに渡って幽閉されていた大蛇ミスタファファスに出会います。彼はかつて魔法使いゾーフィタスの弟子であり、その手でコズミックフォージを触れたことがあったのです。
彼の話から、必ずしも伝説のペンが理想の存在ではないことを知ることができました。そのペンがもたらすのは、常に皮肉に満ちた結果なのです。であるのならば、自分はどのような願いをペンに込めるのでしょうか? 冒険者たちはそれに頭を悩ますことになるでしょう。
そしてついに、採掘場の奥で封じられた魔法使いゾーフィタスの魂と出会うことになります。これはコズミックフォージの力で引き裂かれた、かの魔法使いの良き半身でした。彼は制御できない力を弄ぶことの危険を語り、さらにはすべての宿命をあるべき姿に正すことが冒険者たちに託された宿命だと語ります。
冒険の目的はここに至って明確となります。死者の川と魔法の森を越え、いまや邪教の教祖となっている悪しきゾーフィタスを斃し、その手からコズミックフォージを奪い取るのです!
→関連するNPC : ミスタファファス
→入手する重要アイテム : ウィザードリング / ウィザードレコード
<イベントフロー>
採掘場の探索 | 宝箱からマイナーズチズルを入手する。 | ||
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ダイヤモンドの壁 | マイナーズチズルを使用して壁を破壊する。 | ||
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ゾーフィタスの魂との遭遇 | (スクリプト)ゾーフィタスの亡骸からウィザードリングとウィザードケイブキーを入手する。 | ||
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魔法使いの洞窟 | ウィザードケイブキーを使用して入室する。 | ||
↓ | |||
ミスタファファスとの遭遇 | (スクリプト)食糧を与えると過去の話をしてくれる。 | ||
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城の地下の魔法使いの住処 | ウィザードリングを使用して入室する。ウィザードレコードを入手する。 |
■セッション#6 ジャイアントマウンテン
ジャイアントマウンテンに登った一行は、すでにクィークェグが船長の財宝を掘り出してしまった事実を知ります。
しかしもはや、それは冒険者たちにとっては些細なことに過ぎません。良きゾーフィタスはまずは二体の魔神を斃し、その魂の宝玉を手に入れて死者の川への扉を開くことを指し示しました。
採掘場の一角で鍛冶屋を営むスミッティーの元で装備を新たに整え、さらに深い谷を渡るための仕掛け橋の部品を修理を済ませ、遂にジャイアントマウンテンの頂きに棲む守護者ロックガーディアンに挑みます。
この守護者を斃し、“ルビーの目玉”を手に入れたところで、ようやく冒険者たちはただの迷宮探索者ではなく、運命の糸を断ち切る英雄への道を歩みだすこととなるのです。
→関連するNPC : トールトロール / フリッツ・グリン / クラウス・グリン / ロックガーディアン
→入手する重要アイテム : ボウブル&トリンケッツ / ブロークンスプロケット / ルビー・アイボール
<イベントフロー>
スミッティーとの遭遇 | (スクリプト)アイテム(Dランクの武器、防具、食品など)の売買が可能。ブロークンスプロケットを1,000GPで修理してくれる。 | ||
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ジャイアントマウンテンの探索 | 採掘場からジャイアントマウンテンの登山口を見つける。 | ||
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料金所 | トールトロールと遭遇。通行料5,000GPをせびられる。戦闘して斃すと自由に往来できるようになる。 | ||
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吊り上げ橋 | 操作パネルの蓋が錆びて開かない(ミステリーオイルを使用すると開く)。(スクリプト)操作パネルを正しく操作すると橋が掛かる。 | ||
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船長の財宝の隠し場所 | クィークェグが既に発掘済み。空き箱には置き手紙とボウブル&トリンケッツが残されている。 | ||
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仕掛け橋 | 歯車が壊れている(ブロークンスプロケットを入手)。スミッティーに修理してもらい(スプロケットを入手)、交換してから操作すると橋が掛かる。 | ||
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双子の巨人の住処 | フリッツ・グリンおよびクラウス・グリンと戦闘。 | ||
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ロックガーディアンとの遭遇 | (スクリプト)ロックガーディアンと戦闘し、ルビー・アイボールを入手する。 |
■セッション#7 女戦士の国
ジャイアントマウンテンを降りたところは、謎めいたピラミッドでした。その地下でマミーたちと戦っていた冒険者たちは、肌も露わな女戦士の部族……アマズール族と遭遇します。彼女たちは閉鎖的な部族で、非常に警戒されます。なぜなら、この地に足を踏み入れるような物好きな旅行者は数少ないのですから……。
アマズールの女王は異文化の品物を献上されると喜びますが、その機嫌を損ねるようなマネをすると、一行を魔神マウ・ムームーの生贄にしようとします。しかし、宰相にして司祭でもあるクワリ・クボナは、冒険者たちこそがこの炎の魔神を滅ぼして、アマズールの新たな時代を切り拓いてくれるのではないかと期待しています。
彼女が提供してくれたのは、溶岩の熱から身体を護ることができる魔法の粉薬でした。この力を借りて、マウ・ムームーと死闘を繰り広げることとなります。
炎の魔神マウ・ムームーこそが、もうひとつの“ルビーの目玉”の持ち主でした。これで一行はようやく新たな冒険の舞台へ、そして物語の真相へと近づくことになるのです。
→入手する重要アイテム : マウ・ムームー・イドール / フットパウダー / ルビー・アイボール
<イベントフロー>
ピラミッド入口 | ロックガーディアンの玄室の奥にあるシュートからジャイアントマウンテンの裾野に移動する。 | ||
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ピラミッドの探索 | エンプティーサックを入手する。砂を詰めてサンドバッグを作っておく。 | ||
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ピラミッドの玄室 | 祭壇にマウ・ムームー・イドールが安置されているが取り上げると毒ガスが噴出される罠がある。エンプティーサックに砂を詰めたサンドバッグと「早業」技能ですり替えると入手できる。 | ||
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アマズール宮殿 | 宮殿の門はマウ・ムームー・イドールを提示すると入室できる。 | ||
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女王との謁見 | (スクリプト)女王に貢物を要求される。ボウブル&トリンケッツを渡すと怒り出すが、3,000GPを差し出すと機嫌が直る。 | ||
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クワリ・クボナとの遭遇 | (スクリプト)マウ・ムームーの討伐を依頼される。承諾するとフットパウダーを渡される。 | ||
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溶岩池の参道 | 熱せられた石炭の参道はフットパウダーを使用しないと通過できない。 | ||
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マウ・ムームーとの遭遇 | (スクリプト)マウ・ムームーと戦闘し、ルビー・アイボールを入手する。 |
■セッション#8 死神の誘い
廃城の地下室にあった骸骨の扉に“ルビーの目玉”をふたつ収めると扉が開き、そこには地下へと通ずる階段が延びていました。階段を下ると、遥か彼方まで続き、霧の中に消え去る川が視界に入ります。
川岸に立ち、角笛を吹き鳴らした一行の前に、死者の川の渡し守カロンが姿を表します。彼は一行の宿命を理解し、その船に乗せてサイレンの哀歌が聞こえる死者の川をさかのぼって行きます。
ミノ島の魔物を斃し、さらに亡者の塚で様々な亡霊たちと戦うことになる一行。このふたつの戦いは、これからの戦いがより過酷なものとなる予兆でもありました。
この島に近い岩場でサイレンから水上を渡れる魔法の靴を手に入れることができます。カロンと同じく、彼女たちもまたすべてが正される日を待っているのかもしれません。
預りの島を訪れるならば、南国風の謎めいた美女マイ・ライに出会います。彼女は預け屋を営む一方で、持ち主の引き取りに来ない品物を売ってもくれます。装備を整える最後のチャンスとなるでしょう。またここではキャタピラーの無くし物の一件に巻き込まれた後に身体を小さくする効果をもった赤いキノコを手に入れることができます。
→関連するNPC : カロン / マイ・ライ / キャタピラー
→入手する重要アイテム : サイレンブック / ウォーターウィング / フッカーパイプ / レッドマッシュルーム
<イベントフロー>
城の地下の骸骨の扉 | ルビーアイボールふたつを眼窩に嵌め込むと扉が開く。 | ||
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死者の川の渡し場 | 尖塔で入手したソウルホルンを使用するとカロンが出現する。 | ||
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カロンとの遭遇 | (スクリプト)渡し賃は500GPで亡者の島まで船に乗せてくれる。アッシュシリンダーを渡すと500GPの報酬とデッドキーを入手する。 | ||
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亡者の島の探索 | サイレンブックを入手する。 | ||
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サイレンの入り江 | (スクリプト)サイレンからウォーターウィングを入手する。 | ||
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預りの島でマイ・ライとの遭遇 | (スクリプト)アイテム(B〜Cランクの武器、防具、薬品、巻物など)売買が可能。 | ||
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沼地でキャタピラーとの遭遇 | (スクリプト)キャタピラーからメモを受け取り、城の貯蔵庫で拾ったワインボトルに入れる。またキャタピラーからはインセンスを購入できる。 | ||
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ビンの神託所 | キャタピラーのメモをワインボトルに入れて流すと、失った引き換え番号が判明する。 | ||
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預りの島でマイ・ライとの交渉 | マイ・ライに引き換え番号を伝えてフッカーパイプを入手する。 | ||
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沼地でキャタピラーとの交渉 | フッカーパイプを渡すとレッドマッシュルームを入手する。 |
■セッション#9 死者の殿堂
死者の殿堂こそが、その戦いの過酷さからいえば一、二を争う場となるでしょう。古代の戦士のスケルトンたちに護られたこの地は呪われた生を生きる英雄たちの墓所です。
アベンジャー、鬼丸国綱、ミーナッドランス、エルブンボウなどなど……これら最強の武器は、いずれも侮りがたい実力を備えた達人たちの手の中にあります。これらの品々は宝箱の中ではなく、まさに敵の得物として握られているのです!
この強敵たちとの戦いは、まさに自分たちの強さを確認するための戦いとなるでしょう。戦いに勝利してはじめて、ゾーフィタスを斃すための力を手に入れたことになります。
この段階では、たとえその力をもってしても及ばない敵が居ることは、未だ知らせる必要はないでしょう……。
→関連するNPC : ブラックナイト / ハイヤト・ダイクタ / ブリガルド・ウォルタン / ロビン・ウィンドマーン
<イベントフロー>
死者の殿堂の入口 | デッドキーを使用して入室する。 | ||
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死者の祭壇 | キャタピラーから購入したインセンスを焚くとアンデッドモンスターに遭遇しない。 | ||
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守護者の墓所 | それぞれの墓所でロビン・ウィンドマーン、ブリガルド・ウォルタン、ブラックナイト、ハイヤト・ダイクタらと戦闘し、その装備を入手する。 |
■セッション#10 運命の出会い
殿堂の中の一角に、一行はついに王の墓所を見つけます。それはさながら最後の戦いの場と感じさせるような緊張感にあふれています。そこに現れたのは、物憂げな表情を浮かべた災厄の王そのひとでした。そう、墓所には未だ彼の没年は彫り込まれていないのです。
手に入れたばかりの最強の武器ですら、彼には効果がありません。災厄の王はあくまでもの静かに、自分たちをそのままにしておいて欲しい、立ち去るようにと告げて消えます。
もうひとつの墓所は王妃の墓です。
ここには嫉妬と憎悪に狂う悪霊となった王妃が現れ、王とレベッカを殺すように命じ、銀の十字架を渡します。
さらに奥まった墓所に刻まれた墓碑銘“アラムの娘 暗黒のプリンセス”の文字を目にします。
ここでついに一行はすべての物語の鍵を握る美しい魔性の少女、ライラックの香りとともに現れるレベッカと出会います。
静かな会話の後、レベッカは一行をより奥へ、王の元へと誘います。冒険者たちが王妃にレベッカ殺害を命じられたことを知った王は怒り、一行を捕らえます。
→関連するNPC : クィーンズ・ゴースト
→入手する重要アイテム : シルバークロス
<イベントフロー>
王の墓所 | (スクリプト)ベインキングに遭遇する。立ち去るように警告される。 | ||
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王妃の墓所 | (スクリプト)クィーンズ・ゴーストに遭遇する。“悪魔の娘”レベッカを殺害するように依頼され、シルバークロスを入手する。 | ||
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子の墓所 | (スクリプト)レベッカに遭遇する。催眠術に掛けられ、ベインキングの元へ連行される。 | ||
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王の墓所 | (スクリプト)ベインキングに捕まり、意識を失う。 |
■セッション#11 森の迷い子
意識が戻った一行は、そこはもう死者の島ではなく魔法の森の一角に設けられた牢獄であることを知ります。赤いキノコがあれば身体を小さくして、あるいはその場の知恵で牢獄を脱出することができます。
魔法の森は奇妙な世界です。いたずらな妖精が行き交うかと思えば、最強の恐竜が我が物顔で闊歩する恐ろしい場所でもあるのです。
そこを彷徨う一行は、フェアリーの女王と出会い、デルファイなる聖域においてアドバイスが受けられると教えられます。デルファイこそは、この地が呪いによって歪められる前の聖域、ここがアラムの地と呼ばれていた時代の真の玉座であったのです。
黒い霧の地域を彷徨いながら越え、ついに一行はデルファイを捜し当てます。有り金を捧げることで得られる神託は、無限の生命を得た者を斃すための方法でした。この地を浄化するべく、一行は“アラムの王錫”を託されます。
→入手する重要アイテム : ティンカーベル / アラムスタッフ / ホーリーウォーター / リフレクションロック / ホーリーステイク
<イベントフロー>
魔法の森の牢獄 | レッドマッシュルームを持っていれば、身体を縮ませて脱出できる。無くてもラムダガーを看守に見せると取り返すために牢を開けて入ってくるので戦って脱出できる。 | ||
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魔法の森の探索 | 宝箱からティンカーベルを入手する。 | ||
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妖精の輪 | ティンカーベルを使用するとフェアリークィーンに遭遇する。(スクリプト)アイテム(A〜Cランクの薬品、巻物、食品など)の売買が可能。デルファイの合言葉を教えてくれる。 | ||
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デルファイの聖域 | デルファイに遭遇する。(スクリプト)ベインキングの斃し方を水鏡に写しだしてくれる。アラムスタッフを入手する。しかし、その代償としてすべての所持金を没収される。 | ||
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魔法の森の探索 | ホーリーウォーター、リフレクションロック、ホーリーステイクを入手する。 |
■セッション#12 寺院へ!
ついに冒険者たちは“雄羊の寺院”の総本山、アラム寺院へと至ります。
もちろん、ここで出現するモンスターたちは幸運だけでは斃すことができない強敵ぞろいです。冒険者たちの実力がまだ成長しきっていない場合は、何らか他のエピソードを挟んで成長を調整した方が良いでしょう。
寺院はいわば最後のダンジョンです。単にテレポートの繰り返しなどではなく、複雑な構造、そして邪教の謎や悪事にかかわる情報などを加えて、クライマックスに相応しい華やかなシナリオに組み上げると良いでしょう。
そして最後の敵として登場するのは、狂乱の魔法使いゾーフィタスです。もてるすべての力を使って、この最強の魔法使いを斃しましょう。
→関連するNPC : ゾーフィタス
<イベントフロー>
アラム寺院の入口 | ゴートマスクを着用して入室する。 | ||
↓ | |||
アラム寺院の探索 | 見えざる参道を渡るためにはアラムスタッフが必要となる。(アラムスタッフがないと転落して死亡する) | ||
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ゾーフィタスとの遭遇 | (スクリプト)ゾーフィタスと戦闘。 |
■セッション#13 運命を斬り離つ
追い詰められた悪のゾーフィタスは、混乱と狂気に自己崩壊を起こしそうになりながら、なぜ自分を殺そうとするのだ、と一行に問いかけます。コズミックフォージという存在の強大さすら、現在の彼には意味はないのです。狂気の渦と戦いながら、この悪の魔法使いもコズミックフォージを憎んでいたのでしょうか……?
そしてアラム寺院の最奥、人が立ち入ることのない静かな場所には、もはや世間への関心を失った災厄の王が、レベッカと共に暮らすための一室がありました。すべてを統べる権力を求め、手に入れた王が最後まで手放そうとしなかったのは、ひとりの娘、血は繋がっていないながらも愛する子供との心休まるひとときのみでした。
しかし、その時ももはや終わろうとしていることは、彼にも理解できています。それは子を為すことができなかった男の悲しみなのでしょうか。
最後の戦いが始まります。そして……。
→関連するNPC : ベインキング / レベッカ / ベラ / アルセイデス
→入手する重要アイテム : スターリング
<イベントフロー>
アラム寺院の最深部 | 不可視の扉を抜けて王の居室へと向かう。 | ||
↓ | |||
ベインキングとの遭遇 | (スクリプト)王妃の依頼(レベッカの殺害)を受ける/受けない、によって後の展開が変わる。 | ||
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依頼を受けた | ベインキングおよびレベッカと戦闘し、スターリングを入手する。 | ||
依頼を受けない | ベインキングは自決し、レベッカが過去の真相を語る。語り終えたレベッカはいずこかに去る。スターリングを入手する。 | ||
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コズミックフォージの間 | 扉はキングス・ダイアリーに記された暗号をスターリングで解読して入力すると開く。 | ||
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コズミックフォージの祭壇 | コズミックフォージが安置されている。(スクリプト)コズミックフォージを手にしようとするとアルセイデスが出現し、回収されてしまう。 | ||
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ベラの居室 | (スクリプト)レベッカを殺害していた場合、ベラと戦闘となる。レベッカを殺害していない場合、友好的でかつてベインキングとゾーフィタスが使っていた宇宙船で共に旅することを提案してくる。 |
<エンディング>
『BCF』には幾つかのエンディングが用意されています。その選択は王と王妃とどちらの側に付くのか、そしてコズミックフォージを前にしてどうするかによって決定されます。
どのエンディングが真のエンディングであるか、ということは、プレイヤーたちの間で意見が別れるかもしれません。いずれも何か物悲しく、かつ心に触れるなにかがある結末です。
テーブルトークRPGのシナリオとして再編するにあたって、どのようなエンディングを用意するかは、GMの好みとプレイヤーたちの選択次第となるでしょう。
いずれにせよ、コズミックフォージの呪いがこの地から去ったとき、混迷期の世に常に垂れこめていた暗雲が去っていきます! まだこの地には不公正と危険が満ちていますが、廃城を出た一行は、おそらく生まれて初めて、青く冴えわたる美しい空を見ることになるのです。