WIZARDRY RPG

− OutLaws Edition −

■サンプルシナリオ■


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◇シナリオプラン 『氷霧の結界』◇

<背景>

 北海に面した王国群最果ての地、クールヘンレント王国。ここは“氷霧の結界”と呼ばれる凍てつく吹雪の吹きすさぶ冷たい霧の世界に覆われようとしていた。そして、吹雪の向こうから侵略してくる怪物どもを水際で喰い止める王国群防衛の最前線たる王国でもあった。
 この地においては、王国群では異教として断罪される武神の信徒とすら盟約を結び、外からの侵略者たる怪物どもを討ち滅ぼしてきた。事実、勇猛果敢な武神の信徒の援け無くしては、国土の防衛すら叶わなかったであろう。だが戦況は日々逼迫し、歴戦の多くの勇士たちが怪物どもの爪牙によって命を落としていった。
 そんなある戦の折、前線に赴いたある部隊が吹雪に遭って帰路を見失い、“氷霧の結界”の向こう側に迷い込んだ。数日の彷徨の果て、奇跡的に生還した彼らは、凍てつく深い霧の向こうに聳える巨大な城の姿を見たという。
 この報は直ちに王の下に知らされた。旧い伝承に通じた古老たちの口伝に拠れば、“氷霧の結界”の先にあるその城は、“冥王の城”だと云う。期せずして、結界を侵す怪物どもを統べる“冥王”の所在が判明したのである。
 “冥王”さえ斃せば、あるいは“氷霧の結界”は失われ、この北端の王国にも平穏なる春が訪れるかもしれない。
 一筋の光明を見出した勇士たちは、我こそはと名乗りを挙げ、“冥王”の城への遠征を申し出た。
 幾つかの部隊が編成され“冥王の城”へと向かったが、誰一人として還ってこなかった。その中には、“極光の姉妹”筆頭とも謳われた武神の巫女頭さえも含まれていた……。
 多くの勇士を失った王は慎重にならざるを得なかった。王国の守備を疎かにするわけにはいかない。だが、このままではいずれ王国は結界に侵食されてしまう。
 一計を案じた王は、領内外を問わずに広く布令を出すこととした。

―王国の末を案じる勇士に告ぐ。“氷霧の結界”の果てにある“冥王の城”へと赴き、“冥王”を討ち取りし者には、万金の褒賞を与えん、と。

 正規の兵士を探索に廻すことは出来ない。ならば、冒険者をそれに当てれば良い。
 王の目論んだとおり、数多くの冒険者が布令に応じて王都へと集った。ある者は救国の志を抱いて。またある者は一攫千金を夢見て。またある者は熾烈な戦いを求めて――
 こうして、王国の命運を賭けた探索の旅が始まる……。

<始める前の準備>

 同じキャラクターを成長させながら長い物語を続けることをテーブルトークRPGでは、キャンペーンゲームと呼びます。
 ここでは、いままでの主な舞台であった王国群の中心から外れた北部辺境での冒険を体験するキャンペーン『氷霧の結界(The Front of Snowfield)』のシナリオプランを掲載します。
 このシナリオは、1〜20レベルのPC6人用のものです。プレイヤーが6人に満たない場合でも、PCは6人いた方が良いでしょう。5人以下でも探索は可能ですが、相当の困難が予想されます。

<氷霧の結界について>

 氷霧の結界とは、混迷期になってからこの地を襲った恐るべき現象です。それはある日、突然に北海の彼方からこの地に押し寄せてきました。
 彼方を見通すこともできない白い霧の帯で覆われた空間で、内部は常に極低温の冷気が滞留しており、時折突風とともに吹雪が吹きすさび、稀に落雷が生じるような過酷な環境です。この不思議な現象に覆われた地域を、いつしか氷霧の結界と呼ぶようになりました。
 氷霧の結界は過酷な冷害をもたらし、人々の生活を脅かす現象ですが、さらに恐るべきものを引き連れてきました。それは、今まで目にすることがなかったような怪物たちです。
 なんと氷霧の結界に覆われた地域では、それまでこの地方で目にしたことのない未知の怪物どもが出没するようになったのです。目撃された姿をもとに賢者や学者たちが古書を調べると、かつて神話で語られていた旧い怪物と特徴が一致しました。現在では、氷霧の結界の内部は、どこか異界と繋がっているのではないかと推定されています。
 海岸線から内陸へと、氷霧の結界はその領域を拡大しており、幾つもの村落がその中に呑み込まれ、すでに多くの被害が出ています。氷霧の結界に領内を侵食されているクールヘンレント王国は、領民の保護のため凶悪な怪物との戦いを強いられています。

※これらの知識は「地誌学」技能によって知ることができます。

<クールヘンレント王国について>

 クールヘンレント王国は闘争期の時代からこの地に続く、旧い伝統をもつ王国です。王国群に所属する国家のひとつであり、教会に忠誠を誓った国王とその騎士団によって統治されています。
 しかし、混迷期の時代に入り、王都夜霧の都での諸王会議も開催されることがなくなり、現在は独自の施策によって国を統治するようになっています。そのひとつが、武神教団の認可です。かつて教会を統括する司教府より、排除すべき異教として認定された武神教団ですが、この地ではその存在を黙認されています。
 その大きな理由のひとつが、氷霧の結界の出現です。結界を越えて出没するようになった怪物との戦いは、王国の存亡を賭けたものであり、怪物に対抗できる武力をもった戦士たちを擁する武神教団は無くてはならない強力な味方なのです。
 こうして、王国群の所属国家でありながら、この地では教会と武神の教団が軒を並べて併存する奇妙な共存関係が維持されています。むろん教会としては、都市内に異教の神殿が存在するのは面白くはないですが、城壁の外の過酷な現状は正しく認識しており、嫌々ながらも現実を受け入れているようです。
 怪物たちとの闘争によって、多くの兵士の犠牲を出した今、王国は国の内外から冒険者を募っています。PCたちはこの布令に応じてこの地に訪れた冒険者なのです。

※PCたちは初めてこの地を訪れた王国群の冒険者としてください。王国群北部の状況についてあまり知識がない前提で物語を進めた方が良いでしょう。ただし、街の人々との会話が必要となるため、北方語を習得していることが望ましいです(なお都市内の施設では共通語が通じます)。

<極光の姉妹について>

 クールヘンレント王国の武神教団が設立した戦乙女を中核とした騎士団です。“七姉妹”とも呼ばれる七人の戦乙女の長がそれぞれ率いる七つの軍団から構成されます。
 七姉妹にはそれぞれ数人の戦乙女の従士が付き、実戦を通じて後進の育成を行っています。また軍団の戦士は、各戦乙女の長に認められた武神を信仰する戦士たちが所属します。
 混迷期の時代に入ってから出現した武神崇拝は王国群北部を中心に瞬く間に広がり、いまや王国群各地から武神の教団に属し、戦乙女たちと肩を並べて戦うために、多くの戦士たちがクールヘンレント王国を訪れています。
(一方で、この武神崇拝の流行の予兆に危機感を募らせた教会は、修道女たちに騎士の権利を与え、戦場に立つことを認めました。それが教会の戦乙女“アイアンメイデン”です)

 極光の姉妹に入団するには、原則として最初から戦乙女の職に就いた者しかなることができません。また、入団とともに古代の神話で語られた戦乙女の名を与えられます。
 極光の姉妹となった戦乙女たちは、歳を経て戦うことが難しくなると引退します。引退した戦乙女は、そのまま教団に残り、後進の育成を行う者もいれば、転職する者、配偶者をみつけて家庭に入る者、などその進路は様々です。七姉妹が引退した場合、その従士であった戦乙女の中で最も優れた者がその地位を引き継ぎます。その際に軍団の戦士たちも引き継がれます(中には引退する戦乙女とともに軍団から離れる戦士もいることがあります)。

※これらの知識は「紋章学」技能によって知ることができます。

<都市内の施設>

 クールヘンレント王国の王都ネディアに有る施設です。冥王の城の探索者にはこれらの施設の利用が許されます。

1.訓練場

 冒険者たちのトレーニングエリアです。本来は軍属の者のみが利用できる練兵所でしたが、冒険者を募るにあたって広く一般に開放され、誰もが各職業の基礎訓練を受けられるようになりました。
 それまで冒険者として修行をしてきた者はともかくとして、どの職業にも就いておらずに迷宮の探索を志願する者は、まずこの訓練場に登録し、能力判定を受けなくてはいけません。素質を認められた者は、その素質に適応したクラスの基本的な技術、知識のレクチャーを受け、晴れてレベル1の冒険者になれるのです。また、すでに冒険者としての経験を積んできた者も、迷宮探索の前には必ずこの訓練場で冒険者としての登録を受ける必要があります。

2.ギルガメシュ亭

 「冒険の仲間を募るならばギルガメシュへ」と言われるほど、冒険者の溜まり場として名高い酒場です。各地の大都市のほとんどに店があり、24時間休みなしに営業を続けているところが冒険者に好まれているようです。現在では一般市民はほとんど利用していませんが、明日をも知れないためか羽振りのいい冒険者たちのお陰で経営状態は良好です。
 冒険に旅立つ者は、まずこの酒場でメンバーを集めるようです。ただし、ここでは善と悪の者がパーティを組むことはありません。相反する戒律の者と一緒にいると、善にしろ悪にしろ同じ戒律の者たちに評判が悪くなるためです。そういった善悪混合のパーティを組む場合は、ここではなく地下迷宮の入り口で合流するようです。
 また酒場では、同じ目的でこの街にやってきたほかの冒険者たちから話を聞くこともできます。酒を奢ったり、相応の金額を握らせてやることによって迷宮の情報(すでにかなり下層まで潜ったことのある冒険者もいるはずですから)を得ることができるかもしれません。情報の重要度によって、5〜1,000GPぐらいが相場でしょうか(地図がもっとも一般的な情報です。ただし、いくら大金をはたいても完全な地図を手に入れることはできません)。

3.冒険者の宿

 城塞都市内に住居を持たない者がほとんどの冒険者のために作られた市直営の宿泊施設です。一般の旅人には開放されておらず、訓練場で冒険者登録をした者だけが格安で泊まれるようになっています。そもそもこの宿が設立されたのは、最初は多数流れ込んでくる冒険者にえびす顔であった宿屋から、彼らが毎朝装着する武具のたてる騒音で他の宿泊客とのトラブルが絶えないという苦情が大量に寄せられたからです。

4.ボルタック商店

 ボルタックという名のドワーフの経営する、各地に独自の流通ルートとチェーン店をもった武具の専門店です。特に冒険者が発見し持ち込む失われた技術によって製造されたアイテムの売買を一手に扱っており、これによってボルタックは財を成したと言われています。各店には専属契約を結んだ高レベルの錬金術師がおり、アイテムの鑑定や解呪のサービスを行っています。
 売った商品のアフターケアは万全で、冒険中に刃毀れした剣や傷んだ鎧などはほぼ無料で補修してくれます。また各種族や個人差に合わせたサイズの調整も行っており、冒険者は多少高くても保証の効くボルタックを利用するようです。

5.カント寺院

 呪法による治療及び蘇生術に重点を置いた宗派の寺院で、実質的には治療院に近い性質をもっています。こと蘇生に関しては高い技能をもった高僧たちが揃っており、並みの僧侶が呪文を使うよりは遥かに信頼性が高い(「ディ」および「カドルト」の成功率+10%)です。しかし、それだけに寺院への寄付という形で要求される料金は高額であり、万一蘇生に失敗したとしても、納めた寄付金は一切返却されません。
 城に帰ってきた際に麻痺、石化を受けている者、及び死体は城内の衛兵の手によってここに運び込まれ、それ以上の腐敗が進まないように呪法処理が施された上で院内に安置されます。これら運び込まれた者の身に着けている貴重なアイテムを狙った盗人が後を絶たないために入り口の警戒は厳重で、仲間が運び込まれた時でもなければ、通常は中に入ることはできません。
 要求された金額に所持金が満たない場合、カント寺院は絶対に治療を行いません。その場合、カント寺院の周りをたむろしている僧侶に相談するという方法があります。彼らは破戒僧だったり食い詰めた僧侶で、自分の法術(ディやカドルト)を売り物にして生活しているのです。彼らと金額の交渉をして、治療を頼むのです。

<プレイスケジュール>

 では、いよいよ冒険の開始です。下段から、キャンペーンの一例として全体のスケジュールを用意しました。
 このプランはあくまでも指針として使用してみてください。より長くしたり、短くしても構いません。また、冒険に参加するキャラクターの背景に合わせて、適度に独自の物語を組み込むと、よりプレイヤーの没入感が深まることでしょう。例えば、肉親の仇を捜している、という設定のキャラクターが居たならば、シナリオのクライマックスを迎える前に、その仇を登場させておきたいものです。それが雪原に潜む盗賊の中に紛れているのか、それとも冥王の城の深部で待ち受けているのか、バランスよくシナリオを盛り上げるように工夫してみてください。

■セッション#1 雪原の最前線

 雪の降りしきるクールヘンレント王国領内に入ってまもなく冒険者一行は、王国の若き騎士エセルレッドと出会います。彼は麾下の兵士たちとともに怪物の襲撃を受けた集落の救援に向かうところでした。
 冒険者たちが冥王の城探索に志願してこの地に来たことを知ったエセルレッドは、冒険者一行に集落の防衛への協力を要請します。その要請を快諾すると、エセルレッドは謝礼を約束し、その道行で王国の現状を語ります。王都へと迫りつつある氷霧の結界の脅威と、その結界から出没するようになった凶暴な怪物たち……王国はいま存亡の危機に立たされている事実を知ります。
 やがて到着した集落はすでに怪物どもの襲撃を受けており、大きな被害が出ています。冒険者一行はエセルレッドと手分けして生き残った村民たちの救助と怪物たちの掃討を行います。
 何とか怪物たちの掃討に成功し、生き残った村民たちを保護することに成功しますが、集落をこのまま維持することは困難だと痛感します。冒険者一行はエセルレッドとともに、わずかに残った家財と家畜を連れて避難する村民たちを護衛しながら、王都ネディアへと向かいます……。

<イベントフロー>

  王国の騎士エセルレッドとの遭遇   (スクリプト)怪物たちの襲撃を受けた集落の救援を依頼される。
     
  集落への道中   (スクリプト)王国を襲った災いと現状について知る。
     
  集落での戦闘   (スクリプト)コボルドチーフテンに率いられたコボルドの群れとの戦闘。
     
  王城での報告   (スクリプト)冥王の城の探索者として認定される。以後、酒場や商店、宿屋、寺院など街の施設が利用できるようになる。

■セッション#2 武神の戦乙女

 領民保護の功績を認められ、冒険者一行は冥王の城探索者として認定を受けます。王都である城塞都市ネディア内でさっそく探索に向けた準備を始めます。
 かつて北海で採れた海の幸や森林から切り出した木材、動物の毛皮などを王国群へと輸出して栄えていた都の栄華は昔、今や近隣の集落から逃れてきた難民たちが身を寄せ合い、活気がなく陰鬱な雰囲気が漂っていました。
 街の中でひと際目立つのがネディア大聖堂と並び立つ武神オーディンに捧げられた神殿です。王国群の他の都市ではまず目にすることのない光景に驚きを隠せません。この都市では武神教団が公に認められて活動を行っているのです。
 その神殿で騒ぎが起きます。ひとりの年若い戦乙女が神官たちの制止を振り切って出陣しようとしているところに出くわします。その戦乙女ロスヴァイセは初陣も行っていない駆け出しで、無謀にも単身で氷霧の結界に挑もうとしていたのです。冒険者一行は武神の神官から、ロスヴァイセとともに楯の乙女の古墳に挑み、武勲を上げる助力を依頼されます。

<イベントフロー>

  戦乙女ロスヴァイセとの遭遇   (スクリプト)武神の神官から戦乙女ロスヴァイセの初陣の介添えを依頼される。
     
  楯の乙女の古墳の探索   古代の戦乙女“楯の乙女”が埋葬された古墳を探索する。
     
  玄室での戦闘   (スクリプト)ネクロマンサーに率いられた不死属の怪物たちとの戦闘。楯の乙女の霊から彼女の武具ウルフバートを入手する。
     
  神殿での報告   (スクリプト)謝礼として、ライフアミュレットを入手する。

■セッション#3 冥王の城へ

 幾つかの武勲を挙げた冒険者一行は、城塞都市ネディアでも名が知られるようになりました。いよいよ氷霧の結界に在るという冥王の城に挑むことになります。
 氷霧の結界は文字通り極低温の霧に包まれ、吹雪の吹きすさぶ、この地に現界した異界のような場所でした。そして吹雪の中にそびえたつ黒い石造りの巨大な城を見つけます。城内は複雑な回廊によって幾つもの玄室が連なり、複数の階層からなる巨大な迷宮でした。
 敵の本拠地だけに手強い怪物が多数徘徊しており、シビアな戦いが続きます。その苦労と引き換えに多くの戦利品と経験を得ることになるでしょう。
 探索の最中、影の中から音もなく出現した漆黒の甲冑を身に着けた軍勢と遭遇します。率いる将は驚くべきことにかつて“極光の姉妹”筆頭と謳われた戦乙女レギンレイヴだったのです。彼女は冷たい美貌で冒険者たちを一瞥すると警告を残して立ち去っていきます。

<イベントフロー>

  城内の探索    
     
  ウルクハイとの遭遇   (スクリプト)ウルクハイに率いられたゴブリンの軍勢との戦闘。
     
  戦乙女レギンレイヴとの遭遇   (スクリプト)レギンレイヴは警告を発して消える。

■セッション#4 巨人狩り/乙女の決意

 冥王の城から帰還した冒険者一行を街で待ち受けていたのは王国騎士エセルレッドでした。またもや氷霧の結界を越えて出現した怪物どもが集落を襲撃したとの急報が入ったのです。エセルレッドは顔見知りである冒険者たちに助力を要請します。
 一方、冒険者たちが冥王の城で戦乙女レギンレイヴと遭遇したことを知り、ロスヴァイセは居ても立っても居られず、事の真偽を確かめるため冥王の城に向かおうとします。すでに冥王の城で怪物どもと一戦交えた冒険者たちはその手強さを知っていますので、ロスヴァイセを止めますが、彼女は聞き入れようとしません。
 事態は急を要します。怪物どもに蹂躙されようとしている領民たちを護るべきか、実の姉とも慕う同僚の変心を案じる仲間の切なる願いを聞き届けるか……。冒険者たちは決断を迫られます。

<イベントフロー>

  王国騎士エセルレッドとの遭遇   (スクリプト)怪物たちの襲撃を受けた集落の救援を依頼される。
     
  依頼を受ける   【巨人狩り】ルートに分岐する。
  依頼を受けない   セッション#5 戦友の救出 【エセルレッドの救出】ルートに分岐する。
       
  戦乙女ロスヴァイセとの遭遇   (スクリプト)冥王の城で遭遇した戦乙女レギンレイヴを連れ戻すことを依頼される。
     
  依頼を受ける   【乙女の決意】ルートに分岐する。
  依頼を受けない   セッション#5 戦友の救出 【ロスヴァイセの救出】ルートに分岐する。
       
  【巨人狩り】    
  集落への道中   (スクリプト)領内の集落に対する怪物たちの襲撃が組織的なものに変化していることを知る。
     
  集落での戦闘   (スクリプト)ウルクハイに率いられたオーガの群れとの戦闘。
     
  怪物に攫われた領民の救出   (スクリプト)ウルクハイが怪物の食糧として人間を狩っていることを知る。
       
  【乙女の決意】    
  冥王の城への道中   (スクリプト)レギンレイヴ失踪時の状況を知る。
     
  城内での戦闘   (スクリプト)ウルクハイに率いられたオーガの群れとの戦闘。
     
  城内の探索   (スクリプト)城内の工房でウルクハイが産み出され、その武具も量産されていることを知る。
     
  戦乙女レギンレイヴとの遭遇   (スクリプト)レギンレイヴは警告を発して消える。

■セッション#5 戦友の救出

 取り急ぎ、危急の事態は去りました。城塞都市へと帰還した冒険者一行は、援けることのできなかったもう一方の仲間の安否を確認します。しかし、自らの信念に従って戦場に臨んだ仲間は、残念ながら未帰還となっている事実を知ります。
 止むを得ない事情とはいえ、仲間の危機を援けられなかった冒険者たちは直ぐに救出に向かうことを決意します。例え戦死していたとしても、救出する時間が短ければ、それだけ蘇生する可能性は高まるからです。
 掛けがえのない戦友を取り戻すため、冒険者一行は再び戦場へと向かいます。

<イベントフロー>

  【エセルレッドの救出】    
  エセルレッドの部下との遭遇   (スクリプト)避難民を守るためにエセルレッドが戦死したことを知る。
     
  集落への道中   (スクリプト)領内の集落に対する怪物たちの襲撃が組織的なものに変化していることを知る。
     
  野営しているウルクハイとの戦闘   (スクリプト)ウルクハイに率いられたオーガの群れとの戦闘。
     
  怪物に攫われた領民の救出   (スクリプト)ウルクハイが怪物の食糧として人間を狩っていることを知る。
     
  エセルレッドの遺体の回収   (スクリプト)戦場跡でエセルレッドの遺体を発見する。
     
  王都への帰還   (スクリプト)寺院にエセルレッドの遺体を担ぎ込み、蘇生させる。
       
  【ロスヴァイセの救出】    
  武神の神官との遭遇   (スクリプト)ロスヴァイセが率いる探索隊が全滅したことを知る。
     
  城内での戦闘   (スクリプト)ウルクハイに率いられたオーガの群れとの戦闘。
     
  城内の探索   (スクリプト)城内の工房でウルクハイが産み出され、その武具も量産されていることを知る。
     
  戦乙女レギンレイヴとの遭遇   (スクリプト)レギンレイヴはロスヴァイセの遺体を冒険者たちに託す。
     
  王都への帰還   (スクリプト)神殿にロスヴァイセの遺体を担ぎ込み、蘇生させる。

■セッション#6 悪意の壺

 実の姉のように慕っていたレギンレイヴに突き放されたロスヴァイセは酷く傷心していました。しかし、冥王の城に挑んだ勇士たちが誰一人として還ることがなかった理由が判明したのです。戦死したと思われていた勇士たちは、冥王の魔力に操られ、冥王に忠実に仕える戦士と化していたのです。
 それでもロスヴァイセはレギンレイヴを呪いから解放する方法があるのではないかと一縷の望みを抱いていました。武神の神殿の神官が古書から読み解いた情報によれば、この世のあらゆる知識を備えた魔法の壺が冥王の城には潜んでいるらしいのです。
 藁をもすがる気持ちで、古代からの知識を蓄えているという魔法の壺の探索が始まります。

<イベントフロー>

  戦乙女ロスヴァイセ   (スクリプト)冥王の僕となったレギンレイヴを救う方法を探したいと依頼される。
     
  城内の探索    
     
  魔法の壺との遭遇   (スクリプト)キャヴィルポットとの戦闘。割れた壺の中からブラックゲートキーを入手する。
     
  ウルクハイの工房   (スクリプト)トーメンターとの戦闘。ウルクハイを産み出していた工房を破壊する。

■セッション#7 人魚の誘惑

 魔法の壺から手に入れた黒い鍵は城の地下にあった漆黒の門の鍵でした。門扉を開くと、より昏く冷気に満ちたさらなる地下へと通じる階段が延びていました。階段を下ると遥か彼方まで続き、霧の中に消え去る水路が視界に入ります。
 氷のように冷たい水が流れる地下水路の探索は困難を極めましたが、やがて水源の奥地へと辿り着きます。そこには広大な地下湖が広がっていました。その昏く透き通った水面のいずこから、誰かを憐れむ哀歌が聞こえます。
 地下湖の岩礁には可憐な美貌の人魚メロウが居ました。周囲にはメロウの魔性に囚われ水死した亡者たちの魂が漂っています。冒険者一行はメロウの魅惑に惑わされることなく、地下湖の先へと進んでいきます。

<イベントフロー>

  黒門   ブラックゲートキーで門扉が開く。
     
  地下水路の探索   (スクリプト)スキュラとの戦闘。
     
  メロウとの遭遇   (スクリプト)メロウとの戦闘。ボトルシップを入手する。

■セッション#8 死者の軍勢

 地下湖の対岸には黒御影石で造られた立派な館がありました。この地は氷霧の魔界ニヴルヘイムの深奥、冥王の領域ヘルヘイムなのです。
 ヘルヘイムを探索する冒険者一行の前には、冥王を守護する死者の兵士たちが次々と立ちふさがります。やがて、影の中から音もなく漆黒の甲冑に身を包んだ軍勢が出現します。戦乙女レギンレイヴに率いられた黒騎士の兵団でした。
 巫女の聖なる槍を構えた告死の天使。かつて“極光の姉妹”筆頭とも称された戦乙女の長レギンレイヴと、ついに剣を交えることになります……。

<イベントフロー>

  地下湖   ボトルシップを使用して対岸に渡る。
     
  ヘルヘイムの探索   アンデッドロード率いるアンデッドウォーリアの軍勢と頻繁に遭遇する。
     
  戦乙女レギンレイヴとの遭遇   (スクリプト)レギンレイヴと戦闘し、その装備を入手する。

■セッション#9 運命の女神

 冥王によって偽りの命を与えられていた戦乙女レギンレイヴの魂は、冒険者の手によってその不浄の生を終え、天上へと向かいました。彼女の遺志を継いで、この地に平穏を取り戻さなくてはなりません。
 冒険者一行は、より冷たい瘴気に覆われた魔界の深奥へと向かっていきます。ヘルヘイムは、地上とは比べ物にならないほど凶悪な怪物どもが我が物顔で闊歩する危険な場所でした。
 過酷な戦いを繰り返しながら、徐々にその中心へと辿り着きます。その場所は、世界の中心となる世界樹イグドラシルのそびえたつ根元でした。
 そこには三人の魔女の亡霊が待ち受けていました。その先へと進むには、不吉な呪いの言葉を告げるこの魔女たちを斃さねばなりません。

<イベントフロー>

  ヘルヘイムの探索    
     
  ルーン石碑   (スクリプト)石碑に突き立った魔剣グラムを引き抜いて入手する。
     
  世界樹の根元   (スクリプト)ウィードシスターとの戦闘。

■セッション#10 解き放たれた獣たち

 世界樹の管理者であったウィードシスターたちが居なくなったことによって、世界樹に繋ぎ留められていた怪物たちが解き放たれてしまいました。特に危険な存在が、毒竜ニーズホッガーと飛竜レスバーグ、魔犬ガームと魔狼フェンリアーです。
 幾つもの戦い経て消耗した状態で、この怪物どもをこの場で斃すことは困難です。冒険者一行は一度王都ネディアへと戻り、対策を講じることにします。王国騎士のエセルレッドや武神教団のロスヴァイセと連携し、まもなく地上へ出現するであろう怪物どもとどのように当たるか相談を行います。何度となくともに戦ってきた戦友に、難敵の一部を引き受けてもらうのです。
 彼らを信じて、冒険者一行は再び冥王の城へと向かいます。この事態を引き起こした、すべての元凶である冥王を斃すために……。

<イベントフロー>

  王城の兵舎   (スクリプト)エセルレッドと相談する。
     
  武神の神殿   (スクリプト)ロスヴァイセと相談する。
     
  ヘルヘイム   (スクリプト)フェンリアーとの戦闘。
     
  世界樹の根元   (スクリプト)ニーズホッガーとの戦闘。
     
  地上   (スクリプト)エセルレッドにグラムを渡していた場合、レスバーグを斃している。渡していない場合、エセルレッドは戦死している。
      (スクリプト)ロスヴァイセにミーナッドランスを渡していた場合、ガームを斃している。渡していない場合、ロスヴァイセは戦死している。

■セッション#11 黄昏の乙女

 多くの犠牲と共に4頭の怪物を斃すことに成功します。いよいよ冒険者一行はヘルヘイムの深奥、死者の宮殿エリューズニルに向かいます。そこには地上に氷霧の結界を出現させ、怪物どもを解き放ったすべての元凶である冥王が居るのです。
 ここで遭遇する怪物はいずれも強敵揃いです。これから挑む最強の敵たちと互角に戦うためにも、成長や装備の充実を調整した方が良いでしょう。
 この宮殿の最深部で待ち受けているのは、この冥界ヘルヘイムを支配する冥王ダスクメイデンでした。

<イベントフロー>

  死者の宮殿の探索    
     
  冥王との遭遇   (スクリプト)ダスクメイデンとの戦闘。エンシェントウィンターカスケットを入手する。
     
  ムスペルヘイムの次元門   死者の宮殿の玉座の間にムスペルヘイムの次元門が開口する。

■セッション#12 神話の終焉

 激戦の末に冥王を斃した冒険者一行。しかし、彼女が自らの魔力によって力を増していた灼熱の魔界ムスペルヘイムを抑え込んでいた事実を知ります。この氷霧の魔界ニヴルヘイムから地上に溢れ出すほどの氷の魔力によってすら抑え込むのが困難なほど、ムスペルヘイムの熱量は膨れ上がっていたのです。
 ダスクメイデン亡き後、その膨張を遮る魔力を無くした灼熱の魔界ムスペルヘイムは、まもなく我々の世界と繋がってしまいます。もう猶予はありません。
 冒険者たちは灼熱の魔界ムスペルヘイムへと渡り、世界を灼きつくすであろう終末の炎を鎮めなくてはなりません。

<イベントフロー>

  ムスペルヘイムの次元門    
     
  ムスペルヘイムの探索   ブラックフレアーやエルダーファイアージャイアントと頻繁に遭遇する。
     
  ファイアージャイアントロードとの遭遇   (スクリプト)ファイアージャイアントロードとの戦闘。レーヴァテインを入手する。

■セッション#13 陽はまた昇る

 灼熱の魔王ファイアージャイアントロードを斃すことができました。しかし、ムスペルヘイムを覆う熱気は鎮まる気配もなく、むしろ盛んに燃え上がっています。
 かつて神話の時代、この世界に熱をもたらし生命を育むことに寄与した大いなる祖霊。それがこの灼熱の熱気をもたらしている根源でした。しかし、このまま放置しておけばあらゆる世界を灼き尽くしても止まないことでしょう。
 大いなる精霊と対峙する冒険者一行。新たな時代を斬り拓くため、神話の時代を終焉させるのです!

<イベントフロー>

  ワールドサーペントとの遭遇   (スクリプト)ワールドサーペントとの戦闘。
     
  ムスペルヘイム   崩壊するムスペルヘイムからエンシェントウィンターカスケットを使用して帰還する。

<エンディング>

 『氷霧の結界』には幾つかのエンディングが考えられます。氷霧の結界をもたらしていた冥王や巨人王を斃し、世界蛇を封じることはできました。しかし、共通の敵を前に共闘していた教会と武神教団は、それまでと同じように共存することができるでしょうか? また氷霧の結界や怪物たちの跳梁によって荒れ果てた国土をどのように復興させるのか……。
 多くの課題がまだ残る中、どのようなエンディングを用意するかは、GMの好みとプレイヤーたちの選択次第となるでしょう。
 いずれにせよ、呪いがこの地から去ったとき、混迷期の世に常に垂れこめていた暗雲が去っていきます! まだこの地には不公正と危険が満ちていますが、冥王の城を出た一行は、おそらく生まれて初めて、青く冴えわたる美しい空を見ることになるのです。