WIZARDRY RPG

− OutLaws Edition −

■サンプルシナリオ■


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◇シナリオプラン 『八部衆』◇

<背景>

 シャンバラ亜大陸北西部に位置するフダラク王国は、存亡の危機に陥っていた。王国の象徴たる大菩提寺に何者かが侵入し、収められていた至宝“如意宝珠”が奪われたのである。さらに凶事は続き、王国の鎮護のため各地に造られた八部衆の祠も破壊された。
 神仏の加護は失われた。南海の楽土と謳われた豊かで美しかった国土は荒れ、日中でも怪物が闊歩する呪われた国と化してしまった。
 かろうじて王都ディヴァ=ナガラは保っているが、それもいずれ時の問題かと思われた。
 しかしある夜、老いたビンドゥサーラ王の夢枕に観世音菩薩が現れた。観世音菩薩の託宣によれば、失われた“如意宝珠”は国土の北端、鳥も通わぬ秘境「鬼哭谷」に隠されたという。
 直ぐに決死の斥候隊が派遣された。数日後、隊のうちわずか一人だけが息も絶え絶えに生還した。その者が生命と引き換えに持ち帰った報告によれば、「鬼哭谷」は凶悪な怪物どもがひしめいているという。
 国を蹂躙した怪物たちの巣窟にこそ、求める宝が隠されているのかもしれないというのだ。
 もはや、他に頼る術もない老王は、託宣を信じて国中に布令を出すことにした。

 ――国を救わんとする憂国の士を求む。北端の僻地「鬼哭谷」に隠された“如意宝珠”を取り戻せし者には褒賞を与えん――

 王国の内外から多くの者が布令に応じ、王都ディヴァ=ナガラへと向かった。ある者は救国の志を抱いて。またある者は一攫千金を夢見て。またある者は熾烈な戦いを求めて――
 こうして、王国の命運を賭けた探索の旅が始まる……。

<始める前の準備>

 同じキャラクターを成長させながら長い物語を続けることをテーブルトークRPGでは、キャンペーンゲームと呼びます。
 ここでは、いままでの主な舞台であった王国群から遠く離れた異郷、シャンバラ亜大陸での冒険を体験するキャンペーン『八部衆(Valley of Eight Demons)』のシナリオプランを掲載します。
 このシナリオは、1〜20レベルのPC6人用のものです。プレイヤーが6人に満たない場合でも、PCは6人いた方が良いでしょう。5人以下でも探索は可能ですが、相当の困難が予想されます。

<フダラク王国について>

 フダラク王国は数百年に渡ってシャンバラ亜大陸北西部を中心に栄えた王朝です。建国王アソッカが諸仏の加護を受けて、わずか一代でシャンバラ亜大陸全域をほぼ統一しました。しかし、代を重ねるうちに徐々に衰亡しており、いまでは王都ディヴァ=ナガラを中心とした亜大陸の北西部のみを統治しています。
 衰亡しながら今なお一定の勢力を保っているのは、建国王アソッカが御仏から授かったとされる“如意宝珠”の加護によるものが大きいです。王都全体をまさに超常の力ともいえる完璧な防護結界によって包み、王都に害を及ぼすあらゆるものの干渉を退けてきました。またあらゆる魔法を用いても攻撃は通用せず、少しでも都市への害意を秘めた者の侵入を妨げてきました。この混迷期においても、宝珠の加護は健在で、災厄による影響は最小限に抑えられてきました。
 しかしある時、何者かによって王国の大菩提寺から至宝“如意宝珠”が盗み出されたのです。数百年に渡って王都を護ってきた宝珠が失われたことによって、王国の秩序は脆くも失われました。
 天変地異の影響によって作物が育たなくなり、深刻な食糧不足が起きたのです。また今まで見たこともなかった怪物が白昼堂々と出現するようになりました。この混乱に乗じて、各地で野盗が跋扈するようになり、暴動や略奪が頻発するようになりました。
 ビンドゥサーラ王はかなり老耄しており、この国難において的確な施政が行えておらず、民衆の不満は高まるばかりでした。そんなある時、王の夢枕に観世音菩薩が現れ、失われた“如意宝珠”の所在を示したのです。失われた宝珠は国土の北端、鳥も通わぬ秘境「鬼哭谷」に隠されたというのです。
 すぐさま王の後継者である王太子クナーラが軍を率いて「鬼哭谷」へと向かいました。しかし、太平の世に慣れた軍の兵士は怪物の爪牙にかかり、王子を含めて帰還することがなかったのです。
 もはや打つ手がなくなったビンドゥサーラ王は、布令を出し、国内外から探索者を募ることにしたのです。
 PCたちは、この布令に応じてこのディヴァ=ナガラに集まった冒険者なのです。

※PCたちは初めてこの地を訪れた王国群(ないしは東部教国)の冒険者としてください。シャンバラ亜大陸の文化についてあまり知識がない前提で物語を進めた方が良いでしょう。ただし、街の人々との会話が必要となるため、シャンバラ語を習得していることが望ましいです。

<フダラク王国の身分制度>

 フダラク王国はほぼ人間族からなる王国です。ここでは遥か古代から「ヴァルナ」と呼ばれる厳格な身分制度を敷いています。
 司祭(聖職者)、士族(貴族、武人)、庶民(商人、職人)、隷属民(農奴)、不可触民(賤民)の5つからなります。
 それぞれの「ヴァルナ」に所属するものは互いに親しく交わることは禁じられており、各ヴァルナ間の雑婚などは好ましくないとされています。
 「ヴァルナ」はシャンバラ亜大陸特有の宗教観と強く結びついており、生まれたヴァルナは輪廻転生による前世の結果であり、それを肯定して受け入れ人生を送るのが望ましいとされます。
 一方で、最下層である不可触民は、「触れると穢れる人間」とされ、触れてはいけないだけでなく、見ることも、近づくことも、声を聞くことさえいけないとされています。同じ神を信仰しているにも関わらず、寺院への立ち入りすら禁じられていました。
 なお、(PCたちを含む)外国人や異教徒は隷属民として扱われます(ただし、宝珠の探索者として認定を受けると、庶民として扱われるようです)。

※これらの知識は「地誌学」技能によって知ることができます。

<都市内の施設>

 王都ディヴァ=ナガラに有る施設です。宝珠の探索者にはこれらの施設の利用が許されます。

1.訓練場

 冒険者たちのトレーニングエリアです。本来は軍属の者のみが利用できる練兵所でしたが、冒険者を募るにあたって広く一般に開放され、誰もが各職業の基礎訓練を受けられるようになりました。
 それまで冒険者として修行をしてきた者はともかくとして、どの職業にも就いておらずに迷宮の探索を志願する者は、まずこの訓練場に登録し、能力判定を受けなくてはいけません。素質を認められた者は、その素質に適応したクラスの基本的な技術、知識のレクチャーを受け、晴れてレベル1の冒険者になれるのです。また、すでに冒険者としての経験を積んできた者も、迷宮探索の前には必ずこの訓練場で冒険者としての登録を受ける必要があります。

2.ギルガメシュ亭

 「冒険の仲間を募るならばギルガメシュへ」と言われるほど、冒険者の溜まり場として名高い酒場です。各地の大都市のほとんどに店があり、24時間休みなしに営業を続けているところが冒険者に好まれているようです。現在では一般市民はほとんど利用していませんが、明日をも知れないためか羽振りのいい冒険者たちのお陰で経営状態は良好です。
 冒険に旅立つ者は、まずこの酒場でメンバーを集めるようです。ただし、ここでは善と悪の者がパーティを組むことはありません。相反する戒律の者と一緒にいると、善にしろ悪にしろ同じ戒律の者たちに評判が悪くなるためです。そういった善悪混合のパーティを組む場合は、ここではなく地下迷宮の入り口で合流するようです。
 また酒場では、同じ目的でこの街にやってきたほかの冒険者たちから話を聞くこともできます。酒を奢ったり、相応の金額を握らせてやることによって迷宮の情報(すでにかなり下層まで潜ったことのある冒険者もいるはずですから)を得ることができるかもしれません。情報の重要度によって、5〜1,000GPぐらいが相場でしょうか(地図がもっとも一般的な情報です。ただし、いくら大金をはたいても完全な地図を手に入れることはできません)。

3.冒険者の宿

 城塞都市内に住居を持たない者がほとんどの冒険者のために作られた市直営の宿泊施設です。一般の旅人には開放されておらず、訓練場で冒険者登録をした者だけが格安で泊まれるようになっています。そもそもこの宿が設立されたのは、最初は多数流れ込んでくる冒険者にえびす顔であった宿屋から、彼らが毎朝装着する武具のたてる騒音で他の宿泊客とのトラブルが絶えないという苦情が大量に寄せられたからです。

4.ボルタック商店

 ボルタックという名のドワーフの経営する、各地に独自の流通ルートとチェーン店をもった武具の専門店です。特に冒険者が発見し持ち込む失われた技術によって製造されたアイテムの売買を一手に扱っており、これによってボルタックは財を成したと言われています。各店には専属契約を結んだ高レベルの錬金術師がおり、アイテムの鑑定や解呪のサービスを行っています。
 売った商品のアフターケアは万全で、冒険中に刃毀れした剣や傷んだ鎧などはほぼ無料で補修してくれます。また各種族や個人差に合わせたサイズの調整も行っており、冒険者は多少高くても保証の効くボルタックを利用するようです。

5.カント寺院

 呪法による治療及び蘇生術に重点を置いた宗派の寺院で、実質的には治療院に近い性質をもっています。こと蘇生に関しては高い技能をもった高僧たちが揃っており、並みの僧侶が呪文を使うよりは遥かに信頼性が高い(「ディ」および「カドルト」の成功率+10%)です。しかし、それだけに寺院への寄付という形で要求される料金は高額であり、万一蘇生に失敗したとしても、納めた寄付金は一切返却されません。
 城に帰ってきた際に麻痺、石化を受けている者、及び死体は城内の衛兵の手によってここに運び込まれ、それ以上の腐敗が進まないように呪法処理が施された上で院内に安置されます。これら運び込まれた者の身に着けている貴重なアイテムを狙った盗人が後を絶たないために入り口の警戒は厳重で、仲間が運び込まれた時でもなければ、通常は中に入ることはできません。
 要求された金額に所持金が満たない場合、カント寺院は絶対に治療を行いません。その場合、カント寺院の周りをたむろしている僧侶に相談するという方法があります。彼らは破戒僧だったり食い詰めた僧侶で、自分の法術(ディやカドルト)を売り物にして生活しているのです。彼らと金額の交渉をして、治療を頼むのです。

<プレイスケジュール>

 では、いよいよ冒険の開始です。下段から、キャンペーンの一例として全体のスケジュールを用意しました。
 このプランはあくまでも指針として使用してみてください。より長くしたり、短くしても構いません。また、冒険に参加するキャラクターの背景に合わせて、適度に独自の物語を組み込むと、よりプレイヤーの没入感が深まることでしょう。例えば、肉親の仇を捜している、という設定のキャラクターが居たならば、シナリオのクライマックスを迎える前に、その仇を登場させておきたいものです。それが鬼哭谷に潜む盗賊の中に紛れているのか、第二王子の側近に加わっているのか、それとも石窟寺院の深部で待ち受けているのか、バランスよくシナリオを盛り上げるように工夫してみてください。

■セッション#1 南海の失楽園

 荒廃したフダラク王国に入ってまもなく冒険者一行は不可触民の少年と出会います。公然と差別と迫害を受けている不可触民の少年を見て、この王国が厳然とした階級社会であることを知ります。
 王都ディヴァ=ナガラに入城し、知り合った隠者モガリプッタから王国の現状を教えてもらいます。鬼哭谷の探索者となるには、王の試練を受けてその実力を証明する必要があることを……。
 王宮に向かうと、一行を出迎えた官吏から鬼哭谷の探索についての説明を受けます。鬼哭谷へと挑む宝珠の探索者には、街での衣食住が保証されますが、その探索に足りる実力を備えているか、試練を受ける必要があるとのことです。試練とは、街外れにある廃墟の深部に隠されたメダルを見つけ持ち帰ることでした。
 鬼哭谷の探索者となるため、一行は王の試練に挑みます。

<イベントフロー>

  不可触民の少年アイシュとの遭遇   (スクリプト)王都ディヴァ=ナガラに到着する。
     
  隠者モガリプッタとの遭遇   (スクリプト)王国を襲った災いと現状について知る。
     
  王宮での冒険者登録   (スクリプト)鬼哭谷探索のために冒険者登録が必要だと説明を受け、その試験として迷宮探索を指定される。
     
  試練の迷宮の探索   宝箱からゴールドメダリオンを入手する。
     
  王宮での報告   (スクリプト)鬼哭谷の探索者として認定される。以後、酒場や商店、宿屋、寺院など街の施設が利用できるようになる。

■セッション#2 禽獣の棲む街

 王の試練に合格した冒険者一行は、晴れて鬼哭谷の探索が許されます。
 隠者モガリプッタはこの王国の起源について語り、加護を与えてきた八部衆の功徳について語ります。そして冒険者たちに鬼哭谷に向かう前に八部衆の祠に参拝することを勧めます。
 その助言に従い、かつて王国を守護していた八部衆の祠を参拝すると、損壊した祠にて八部衆の一柱、五部浄の幻影が出現し、八部衆が今や敵に転じたことを警告されます。
 祠からの帰路、不可触民の集落を蹂躙する第二王子スシーマの乱行を目にします。一行はこの国ではもはや人間扱いすらされていない最下層の不可触民の窮状を知ることとなります。

<イベントフロー>

  隠者モガリプッタとの遭遇   (スクリプト)鬼哭谷探索に入る前に八部衆の祠への参拝を勧められる。
     
  八部衆の祠   (スクリプト)五部浄と遭遇し、警告を受ける。
     
  不可触民の集落   (スクリプト)スシーマ王子による人狩りの現場に遭遇する。
     
  隠者モガリプッタとの遭遇   (スクリプト)王族たちの現状について知る。

■セッション#3 鬼哭谷へ

 冒険者一行はいよいよ失われた“如意宝珠”を求めて鬼哭谷の探索に入ります。鬼哭谷とは遥か古代に築かれた石窟寺院の遺跡で、岩盤をくり貫いて縦横に通路が掘られ、その先には幾つもの玄室が設けられており、階段や傾斜した通路によって複数の階層からなる広大な迷宮でした。随所の壁や天井には、神話や仏典の情景を描いた彫像や壁画が刻まれていました。かつて仏や諸天を敬虔に信仰していたであろう古代の信者たちの熱情が偲ばれます。
 参道を進み玄室に到達すると、八部衆の一柱である夜叉と遭遇します。夜叉はあくまで静かな物腰で冒険者に警告を発します。
 一行は気を引き締めて石窟の探索を続けます。忘れ去られた玄室の一角に祀られた仏像を、かつて大勢の僧侶が居たであろう僧房や道場の跡などを発見しながら、一行はさらに石窟の深部へと向かいます。

<イベントフロー>

  夜叉との遭遇   (スクリプト)夜叉は警告を発して消える。
     
  観音堂の跡   (スクリプト)玄室の壁に掘られた観世音菩薩像を発見する。祈祷するとHPが全快し、状態異常も回復する。
     
  経蔵の跡   宝箱から『現観荘厳論』の写本を発見する。

■セッション#4 夜叉の城塞

 怪物たちとの遭遇に悩まされながら石窟の地下道を彷徨い、探索を進めます。広大な地下道は、幾つもの寺院と連結しているようです。
 激しい闘いと宝物の獲得。地味ながらもシビアな闘いの連続によって、冒険者たちは多くの経験を積むことでしょう。また探索の過程で、僧院の書庫で見つけた経典の論書に記されていた法具を幾つか発見することができました。
 そして武神の像が立ち並ぶ参道へと入ります。そこで遂に八部衆の一柱、夜叉と対峙します。夜叉との死闘の末に、かつて建国王アソッカの身に着けていた“天将の鎧”を手に入れます。

<イベントフロー>

  石窟の探索   宝箱から銅盆、大銅輪、中銅輪を入手する。
     
  夜叉との遭遇   (スクリプト)夜叉と戦闘し、天将の鎧を入手する。

■セッション#5 天女の誘惑

 次なる区画は官能的な天女たちの像が施された天界の舞姫、緊那羅の守護する領域でした。官能的な幻影に惑わされ、幾度となく正気を失い、道を踏み外しかけますが、かろうじて正気を保って探索を続ける一行。
 その探索の最中、失われた法具を集め、壇上に曼荼羅を再現することによって、壇上に隠されていた“如意宝珠”を手に入れることに成功します。
 そして幻影を見破り緊那羅を追い詰め、これを斃します。そして、建国王アソッカの武具“天将の楯”を手に入れます

<イベントフロー>

  石窟の探索   宝箱から小銅輪、勝幡を入手する。
     
  タントラの玄室   (スクリプト)歓喜天との戦闘。
     
  緊那羅との遭遇   (スクリプト)緊那羅と戦闘し、天将の楯を入手する。
     
  曼荼羅の玄室   『現観荘厳論』を元に、銅盆、大銅輪、中銅輪、小銅輪、勝幡を使用して供養曼荼羅の儀式を行う。曼荼羅檀に隠されていた如意宝珠を入手する。

■セッション#6 生命の泉

 天将の武具と如意宝珠を手に入れた冒険者は休息と如意宝珠の鑑定のため、一旦王都ディヴァ=ナガラに帰還することにしました。
 街の前では不可触民の少年アイシュが待っていました。スシーマ王子の人狩りに遭って少年の姉が瀕死の重傷を負ってしまい、冒険者に助けを求めに来たのです。彼女は酷い拷問によって身体の一部を欠損しており、通常の手段で癒すことができません。
 隠者モガリプッタに助けを求めると、古代の寺院遺跡に隠された生命の泉の伝承を教えてくれました。一行は少年の姉を助けるため、古代の寺院遺跡へと向かいます。
 遺跡の深部へと向かうと確かに泉を見つけますが、すでに枯れていました……。そこで遭った泉の管理者を名乗る鬼神、中陰童子によれば、如意宝珠を使えば泉を再び湧かすことができるといいます。
 中陰童子に宝珠を預け、泉を湧かすことには成功しましたが、そのまま中陰童子に宝珠を奪われてしまいます。しかし、泉の効能で少年の姉の深く傷ついた心身を癒すことはできました。

<イベントフロー>

  不可触民のアイシュとの遭遇   (スクリプト)少年の姉が重傷を負っていて助けを求めてくる。
     
  隠者モガリプッタとの遭遇   (スクリプト)古代の階段井戸に在る“生命の泉”と呼ばれる神秘の泉の伝承を教えてくれる。
     
  階段井戸の探索   (スクリプト)如意宝珠を使うことによって泉が沸く。デイティティアーと同等の効果によって少女の心身が再生する。
     
  中陰童子の逃走   中陰童子に如意宝珠を奪われる。

■セッション#7 楽士の独白

 如意宝珠を失った冒険者一行は再び鬼哭谷へと向かいます。向かう先はどこからともなく妙なる琵琶の音色の聞こえる天界の楽士、乾闥婆の領域でした。
 探索を進めるうちにある玄室で出会った乾闥婆は、冒険者たちに対して友好的で、重要な情報を得ることができました。大菩提寺から如意宝珠を奪ったのは王の庶子ジャラウカ。彼は生母の出自が低い故に王位の継承ができないことに絶望し、密かに東部教会に改宗し、召喚術を学んで鬼神を操っていたのです。そして如意宝珠を奪い、建国王の築いた八部衆の祠を破壊し、王国の滅亡を願っているというのです。
 一刻も早くジャラウカ王子から如意宝珠を取り戻して、神仏の加護を取り戻さなくてはなりません。

<イベントフロー>

  石窟の探索    
     
  乾闥婆城の門   (スクリプト)門を守護する死魔童子と戦闘。
     
  乾闥婆との遭遇   (スクリプト)乾闥婆は過去の真相を語る。
     
  中陰童子との遭遇   (スクリプト)中陰童子は命乞いをしてくるが、油断すると騙し打ちをしてくる。

■セッション#8 龍王の宮殿

 冒険者一行はさらに石窟寺院の探索を進めます。階段を下っていくと、そこは水の匂いが満ちた水路からなる区画でした。ここは沙羯羅、すなわち龍王の領域です。
 豊かな水が流れる地下水路の探索は困難を極めましたが、弁財天の社で水上を渡れる魔法の靴を手に入れることによって、水上を自由に移動することが可能になります。
 水源の奥地で、遂に八部衆の一柱である龍王、沙羯羅と遭遇します。死闘の末にこれを斃し、建国王アソッカの武具“天将の剣”を入手します。

<イベントフロー>

  地下水路の探索    
     
  宮毘羅の店   (スクリプト)アイテムの売買が可能。またインセンスを購入できる。
     
  弁財天の社   (スクリプト)インセンスを使用する弁財天が現れ、ウォーターウィングを入手する。
     
  沙羯羅との遭遇   (スクリプト)沙羯羅と戦闘し、天将の剣を入手する。

■セッション#9 暗渠の蛇神

 水源の奥地に次の区画の扉が隠されていました。闇に閉ざされた暗渠。そこは蛇神、摩睺羅伽の領域です。
 そこは死と腐敗の匂いに満ちた、黄泉に限りなく近い暗渠です。死にきれない亡者たちが凍えた手を伸ばし、一行を死へと誘います。黄泉へと続く暗渠の探索中、一行は鬼神に敗れて戦死したクナーラ王子の亡霊に出会います。彼は王国の行く末を案じており、冒険者たちに王国の未来を託します。
 その深部にて暗渠の支配者でもある八部衆の一柱、摩睺羅伽と対峙します。そして、戦いに勝つことによって、建国王アソッカの武具“天将の兜”を入手します

<イベントフロー>

  暗渠の探索    
     
  葬頭河の畔   (スクリプト)クナーラ王子の亡霊と遭遇する。
     
  煩悩魔入道との遭遇   (スクリプト)煩悩魔入道と戦闘。
     
  摩睺羅伽との遭遇   (スクリプト)摩睺羅伽と戦闘し、天将の兜を入手する。

■セッション#10 天空の庭園

 昏い暗渠を抜けるとそこは渓谷に面した緑に包まれた天空庭園でした。渓谷はカルスト地形によって柱状の奇岩が並ぶ絶景です。飛び石のように林立する石柱の参道を飛び越えながら、次なる区画を目指します。
 この天空の庭園に君臨する八部衆は金翅鳥とも呼ばれる鬼神、迦楼羅です。開けた大空を自由に飛翔する迦楼羅との戦いには苦戦を強いられます。
 迦楼羅を斃すと、建国王アソッカの最後の武具“天将の小手”を入手します。

<イベントフロー>

  天空庭園の探索   宝箱から篳篥を入手する。
     
  石舞台   (スクリプト)篳篥を使用すると迦陵頻伽に遭遇する。ウィングブーツを入手する。
     
  迦楼羅との遭遇   (スクリプト)迦楼羅と戦闘し、天将の小手を入手する。

■セッション#11 修羅の道

 遂に建国王アソッカの武具をすべて入手した一行。その最強の装備をもって挑むべき最強の敵がこの先に居るのです。一行は鬼哭谷の最深部、かつてこの石窟寺院の教主が住んでいた宮殿、水天宮へと到達します。
 ここで遭遇する怪物はいずれも強敵揃いです。これから挑む最強の敵たちと互角に戦うためにも、成長や装備の充実を調整した方が良いでしょう。
 この水天宮の最深部で待ち受けているのは、八部衆随一の強敵、阿修羅でした。

<イベントフロー>

  水天宮の探索    
     
  阿修羅との遭遇   (スクリプト)阿修羅との戦闘。

■セッション#12 復讐者の貌

 阿修羅との激戦を制した冒険者一行。水天宮の最深部にある玉座にて宝珠を手にしていたのは、王宮を出奔した第三王子ジャラウカでした。
 乾闥婆が語ったように、菩提寺から如意宝珠を持ち出し、フダラク王国に災厄をもたらしたのはジャラウカ王子でした。彼は己の低い出自ゆえに王位継承権を得ることができず、自分より資質に劣る兄が王位を継ぐことが許せずこの国の破滅を願い出奔したのです。フダラク王国滅亡を願うジャラウカ王子は、如意宝珠の力を解放し、世界の破滅を願います。
 突如、天空から審判の刻を告げるラッパの音とともに、二体の天使が出現します。ジャラウカ王子は天使と共に冒険者一行の前に立ちはだかります!

<イベントフロー>

  水天宮の最深部の探索    
     
  ジャラウカ王子との遭遇   (スクリプト)ジャラウカ王子との戦闘。

■セッション#13 審判の刻

 フダラク王国の滅亡を願い、八部衆の加護を失わせた張本人、ジャラウカ王子は斃れました。
 事切れる直前、ジャラウカ王子は建国王アソッカの血を引く自らを犠牲として、八部衆最後の一柱に改めて王国の滅亡を願ったのです。終末を司る最後の鬼神が出現します。それは、始まりにして最後の鬼神――五部浄です。
 建国王アソッカとの盟約によって出現した鬼神は、その最後の血筋の継承者の願いを聞き届けて顕れたのです!
 最後の戦いが始まります。そして……。

<イベントフロー>

  ジャラウカ王子の最期   (スクリプト)戦いに敗れたジャラウカ王子が最期に五部浄を召喚する。
     
  五部浄との遭遇   五部浄と戦闘し、如意宝珠を入手する。如意宝珠を王都に持ち帰る/返還するで、後の展開が変わる。

<エンディング>

 『八部衆』には幾つかのエンディングが考えられます。その選択は、“如意宝珠”を王都に持ち帰るか、御仏に返還するかによって決定されます。
 “如意宝珠”がこの国にもたらしたのは恩恵だけではないことを知った今、どのようなエンディングを用意するかは、GMの好みとプレイヤーたちの選択次第となるでしょう。
 いずれにせよ、呪いがこの地から去ったとき、混迷期の世に常に垂れこめていた暗雲が去っていきます! まだこの地には不公正と危険が満ちていますが、鬼哭谷を出た一行は、おそらく生まれて初めて、青く冴えわたる美しい空を見ることになるのです。