第10話 君の中の君 Ⅱ
壁に背中を押し付けるジニョン。その頬に手を触れ、上体をかがめるドンヒョク。が、すんでのところでジニョンは顔を伏せてしまう。
ジニョン「ごめんなさい。まだ……だめなんです」
ドンヒョク「影のせい?」
ジニョン「はい……いいえ。よくわかりません」
ドンヒョク「待ちますよ」
ドンヒョクはジニョンにもう一度誕生日のお祝いを言うと、おやすみの挨拶をして帰って行く。
壁にもたれて溜息をつくジニョン。
「灯りを。映画は終わった」
料理長の言葉に我に返り、灯りをつけるイ・ガプス主任。突然部屋が明るくなり、驚いて中に入って来たジニョンは、そこに職場の皆が揃っているのを見て息を呑む。
気まずい雰囲気があたりを包む――――
と、料理長の手にしたタバコが風船に触れて割れ、その音で皆目が醒めたようになる。ぎこちなく口々にお祝いを言うホテリアーたち。
テジュンもその場の空気を何とかしようと明るい顔を作って立ち上がり、懐に入れたプレゼントを渡そうとするが、ジニョンの襟元に輝く高価そうなネックレスを見て渡しそびれてしまう。
アパートを出て行くテジュンの後を追うジニョン。怒ってない? と何度も念を押す。
怒ってなんていないさ。おまえが幸せそうで俺も嬉しいよと無理して笑うテジュン。高そうなネックレスだな。プレゼントなのか? と尋ねずにはいられない。仕方なしにうなずくジニョン。
「テジュンさんはほんとにいい友達よね。いつまでも友達として私のそばにいてね」
友達! Σ( ̄ロ ̄lll) ガビーン
友達っ Σ(ノ°▽°)ノハウッ!
もひとつ友達!! (゜ロ゜) ヒョオォォ!
傷口に塩を塗りたくるようなジニョンの「私たち友達よね」攻撃。テジュンの悲鳴が聞こえるようだわ(^^;) さらに瀕死の重傷で横たわるテジュンにトドメの一撃。
「約束して。友達のしるしに握手しましょ」
拒絶して去ってゆくテジュンを見送るジニョン。
ここまで鈍感なのもどうかと思うが(^^;)
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テジュンのプレゼント |
消沈して部屋に戻ると、ジェニーがふてくされて掃除機をかけている。テジュンとジニョンにうまくいってほしい彼女としては、今夜のことは到底許せないのだった。
テジュンだけが先に帰ったのかと思ったら、他の皆もいない。パーティーはやらずにプレゼントだけ渡して帰っちゃったのかな?
遅いから近所迷惑だしやめなさいというジニョンに、ジェニーは怒ったままテジュンのプレゼントを押し付けて自分の部屋に入ってしまう。
食器庫でナプキンをたたんでいるユンヒ。流れてきたジャズに手を止め、音の出所へと行ってみると、営業を終えたカクテルバーで音楽を聴きながらウィスキーのオンザロックを飲んでいるテジュンを見つける。
「お客様、申し訳ありません。営業時間は終わっておりますが」と、いたずらっぽく声をかけるユンヒ。まだいたのかと驚くテジュンに、昼間食器を割った罰として、ユ・チーム長にナプキンを200枚たたむよう命じられたと言って笑う。
話の流れから、カクテルの作り方をまだ知らないユンヒに教えてやることになるテジュン。テキーラサンライズ、ロングアイランド・アイスティー、ブルーマルガリータ、シンガポール・スリング、マンハッタンと、色とりどりのカクテルを前に薀蓄を垂れ、カクテルの名の由来として、いくつかある説のひとつを語る。
時は19世紀の半ば。アメリカとメキシコの戦争が終わって、アメリカの将軍が休戦協定をしにメキシコの王に会いに行くと、王女がいろいろなものを混ぜ合わせたお酒でもてなした。
将軍は驚いた。酒のおいしさはもちろんだが、あまりに王女が美しいので。その王女の名前がカクテルといった――――
名前の由来よりも、王女と将軍が恋に落ちたかどうかが気になるユンヒ。もし総支配人がその将軍だったら?
父親が黙ってはいないだろうと答えるテジュン。
ユンヒ「自信がないの?」
いつの間にかユンヒが自分たちのことに重ね合わせて話をしていることに気づき、口ごもるテジュン。
テジュン「そんな恋は許されない」
ユンヒ「人を愛するのに許しなんていりません」
テジュン「それは違いますよ、ユンヒさん」
ユンヒ「違いませんよ、テジュンさん」
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ジャズにカクテルに夜景――――
ホテリアーの世界って粋でしゃれてますね。 |
断言するユンヒの若さに一瞬言葉を失い、苦笑するテジュン。
ソ支配人がテジュンさんにとってどんな人間かは知っている。だが、それは自分には関係ないことだ。いつも自分から訪ねて行ってばかりだが、いつかはあなたから訪ねて来てほしい。それは欲張りですか? と、まっすぐにテジュンを見つめて訊くユンヒ。
静かにかぶりを振るテジュンに笑顔を見せると、一人の時間を邪魔しないようにと去ってゆく。
自分の気持ちをストレートに出せずにジニョンがじたばたしてる間に、ユンヒは素直な分、着実にテジュンの心のうちに分け入って行っているという感じがします。まっすぐに想いをぶつけながら決して押しつけがましくはない。テジュンが一人になりたがっていることを察すると、自分の気持ちを押さえて退く潔さも持っています。ユンヒ優勢か?
翌朝、ダイアモンドヴィラの前庭に招集をかけられるハウスキーパーたち。チェックシート片手にビシバシとクレームを読み上げるイ支配人。昨夜のすっぽかし事件で荒れている。ホテリアーたちの心配が現実になったみたい。
部屋にあった書類がゴミかどうか分からず、処分しなかったというハウスキーパーのクムスンに噛みついてみせたあと、オフィスに戻りがてら、廊下で立ち話をしている従業員を叱りつける。
まだ怒り足りず、ぷりぷりしながら席に戻ったイ支配人を待っていたのは、デスクに置かれた純白の花束。昨夜のおわびのしるしに総支配人がくれたものだわ!
そう思い込んだ彼女は、テジュンに電話をして一方的にお礼をまくしたてる。何のことやらさっぱり話が見えないテジュンだが、別の電話に増築工事の件で急用が入り、そそくさと電話を切る。
受話器を置き、うっとりと花束を胸に抱いて歓喜の溜息を漏らしているイ支配人のところへ、オ支配人がやってくる。
「イ・スンジョンさん、花束、気に入りました?」
見る見る顔色が変わるイ支配人。キャーッという叫びと共に、オ支配人に花束を投げつける。
いや~楽しいですね~。思ったとおりの展開に思ったとおりの反応で、笑わせてくれますイ・スンジョン。
でも、よく見てほしいな。オ支配人の選んだ花束。カラー、ユリ、ストックをすべて白で統一するセンスやラッピングのセンスなんて、ロマンチストのイ支配人の好みにぴったりじゃないですか。
汚れのない純白は、オ支配人が抱くスンジョン女史のイメージなんでしょうね。このカップル、意外とお似合いだと思うんだけどな。
場面が変わってサファイアヴィラ。すべて手に入れることが出来るのに、土壇場に来て動こうとしないボスに耐えかね、ついに不満をぶつけるレオ。
「ニューヨークでは株の15%を手に入れた。キム会長は金を用意して待っている。装填した銃をなぜ撃たない?」
レオって顔の割に(^^;)、なかなかしゃれたセリフを吐きますね。レオだけでなく、料理長の「映画は終わりだ」とか、ホテリアーは粋なセリフが多くてステキ。
さて、理由だけでも教えてくれと頼むレオに、知る必要はないと冷たくつっぱねるドンヒョク。女のためだとはさすがに言えないよね。
レオ「ボス、今まで何も言わず我慢してきたが」
ドンヒョク「そのまま我慢してろ」 ←笑える(^_^)
レオ「いくら女に目がくらんだからって、これじゃあんまりだ」
おおっと、10年来のパートナーは何でもお見通しなのね。って、ドンヒョクの態度を見てりゃバレバレですが(笑)
長年苦楽を共にした自分をないがしろにして、たかがホテルの従業員に仕事に支障が出るほど熱を上げている相棒に、レオの怒りは留まるところを知らない。
ホテルを手に入れれば同時にあの女も手に入る。金でなびかない女はいないぞと言うレオに、彼女はそんな女じゃないとドンヒョクは否定する。
しかし、従業員の間ではバラ300本の噂で持ちきりになっている。あの女はボスが呼べば仕事を放り出してホイホイやって来るじゃないか。“プラステッド・ファンタジー”さ、とレオは畳み掛ける(※)。
「
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レオの顔面に書類を叩きつける |
言葉に気をつけろ」
怒りを抑えてかろうじて答えるドンヒョク。その表情に気づかず、溜まっていた不満を吐き出していくうちに、どんどんヒートアップしてしまうレオ。
「ダイヤの指輪を買ってやれば私を好きにしてって女だ。なんなら俺が試してみようか? 俺のベッドに100ドル札を敷き詰めて、あの女を呼んでみるか?」
あまりの侮辱に思わずレオの顔面に書類を叩きつけるドンヒョク。
このシーンのドンヒョクの怒りに任せた行動が好きなんですよ~(なんて言ったらレオが気の毒だけど(笑))。かっこええ~かっこいいよおドンヒョク~(≧∇≦)
部屋じゅうに舞い散る書類。一気に興奮が冷めたレオは静かに言う。
「今までどんなに女のことをひどく言ってもこんなことはなかった。本当にあの女を愛しているみたいだな。だがな、ボス、仕事より女が好きになれば引退するときだ」
(※) 余談ですがレオのセリフにあったプラステッド・ファンタジーってどういう意味だろうと英語に堪能な方にいろいろ訊いてみました。
プラステッド・ファンタジーとはprostitute fantasy(prostituteの発音をカタカナで書くとプラスティテュート。なんだって「プラステッド」なんて発音になるのやら。字幕担当者大丈夫か!? 韓国語はわかっても英語のわからない人が訳しているんじゃなかろうな(-_-;))。
prostituteは“売春婦”とか“金のためには何でも売る人”という意味です。それにfantasyをくっつけるとどういう意味になるのか。辞書にも載っていません。海外生活が長く、かなり英語の堪能なhotelierisgood(lovemail)さんに助っ人をお願いしました。
彼女の解釈によると、一言で表すなら「娼婦の思い描くことさ」。娼婦がビジネスとして体を売る以上の幸運を夢想している……ということなんですね、
私はこの解釈を聞いて、映画「プリティ・ウーマン」みたいな展開を夢見る女というイメージが湧きました。
ジニョンのことをレオは、お金をちらつかせれば簡単に身を投げ出すに違いない、娼婦と同じじゃないかと見くびっているんですね。「プリティ・ウーマン」のようなおいしい話が自分にだって転がっているかもしれないと夢想する娼婦みたいに、ジニョンもホテルの従業員からあわよくば大富豪夫人へと、バカげた身の程知らずの幸運を夢見ている、とレオは言いたかったのでしょう。
ちなみによみうりTVの吹替えではズバリ「売春婦と同じさ」と言っています。
さらに新たな解釈が。映画の字幕製作にも携わったことのある、英語の翻訳家の方がコメントを寄せてくださいました。
「ここでの解釈のように、売春婦の夢物語を実践している、というようにも取れますが、この台詞が男性のほうに向けられたもののように感じるので、商売女に幻想を抱いている、商売女にのぼせあがっている、というような感じではないでしょうか。
言いたいことは、彼が夢中になっているのは、相手が金次第でどうにもなびくprostituteだということで、テレビの『売春婦と同じさ』というのは、意味をくんだ、コンパクトでわかりやすい訳だと思います。」
なるほど~。prostitute fantasyの言葉がジニョンに向けられたものか、ドンヒョクに向けられたものかで、上記のように解釈が違ってくるのですね。
ご協力くださったhotelierisgood(lovemail)さん、モッチンオンマさん、そのお友達の翻訳家さん、本当にありがとうございました。(2004.8.20追記)
とにかく、レオはジニョンのことを金のためなら節操でも何でも売る軽い女と見ていることは間違いないようで(ジニョンがというより、しょせんホテルの女従業員なんてと思っているのでしょうが)……そこがドンヒョクの逆鱗に触れたのでしょうね。
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確かに卵3つは多すぎるな…… |
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ジニョンの声を聞いたとたん、この反応(笑) |
ホテルマンが朝食を運んでくる。外に置いたテーブルから運び入れてるけど、これは本館からどうやって運んで来るのかな?
まさかガラガラ押して来るんじゃないよね(ホコリまみれになりますがな;)。車で運ぶ? それともヴィラ用の厨房が近くにある? ソウルホテルの七不思議のひとつです。
同時にジニョンもヴィラへとやってくる。つつじがきれい。四季折々の美しい景色が見られるのもホテリアーのいいところ。
運ばれた朝食にも手をつけず、食欲がないというドンヒョク。そこへジニョンがやってくる。彼女の声を聞いたとたん、目の色変えて慌てて席を立つドンヒョクがいじらしい。
無言で席をはずしてしまうレオ。気まずいムードが漂う。ドンヒョクに食事を勧められるが、お客様の部屋で食事は出来ないと断るジニョン。ここへ来たのは、誕生日のプレゼントのお返しに、買ってきたペンを渡すためだったのだ。
ドンヒョクの手を取り、「ジーンってやった後にサインするときに使ってください」と屈託なく笑うジニョン。とってもかわいい笑顔です。彼女の方から手を握ってくれて、嬉しそうな顔してますドンヒョク。レオのことなんて宇宙の彼方に吹っ飛んじゃっただろうね(笑)
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いいな~私もドンヒョクの手に触りたい触りたい触りたいよぉ~ q(≧∇≦*)(*≧∇≦)p |
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増築現場。図面をチェックし、地中海がテーマのバーにオ支配人が公私混同でビリヤード台を勝手に入れていたことを知るテジュン。即刻撤去するようにユ・チーム長と総務部長に言い渡す。ただでさえ工期は遅れてる、資金が心もとない、で頭が痛いのに、こんなことにまで頭を悩まさなきゃいけないんだから大変です。
そこへジニョンが現れる。テジュンにもらったネックレスをしてるところをわざわざ見せに来たのだが、工事業者や部下たちと打ち合わせているテジュンには、もちろん構っている暇などない。
ちょっとここのジニョンの行動は共感できないんですよね。お互い多忙の身だから、なかなか話す時間も機会もないのかもしれないけど、公私混同は否めない。どうにもジニョンが仕事の出来ない女に見えてしまうのが残念。ユンヒならそのへんはわきまえて、こんなことしないんじゃないかなあと思ってしまうんですが。
さてさて、とうとうテニスコートまでテジュンを追ってくるジニョン。「見て、かわいいでしょう」とネックレスを見せるが、気を使われていることを敏感に察して、「慈善事業でも始めたのか」とイヤミを言うテジュン。
嫉妬して辛く当たるのかと訊かれ、「嫉妬は恋人同士にのみある感情だ。俺にはそんな愛情も関心もない。俺のせいで他の男に会いづらいらしいが、俺には干渉するつもりも関心もないから気にするな」と、とことんジニョンの気持ちをペシャンコに踏みつけるような言葉を吐いてしまう。テジュンにしてはかなり大人気ない言葉。やはり昨夜のことが引っかかってるみたいね。
テジュンと喧嘩別れしたあと、腹立ち紛れにネックレスを草むらに投げ捨てるジニョン。だが、思い直して捨てたあたりを探し回る。短気はあかんで~。
ユンヒの滞在するパールヴィラの前。停車したジャガーからキム・ボクマン会長が降り立つ。監視役のジョンから娘の生活について仔細を聞いたキム会長は、足を折ってでも連れてこいと命じる。
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ジョンくんのおしゃれのポイント |
ジョンとキム会長の秘書のキム(ややこしいな;)、そしてあと2名のボディガードがユンヒの勤務するレストランに現れる。2名のボディガードを入り口に残し、キム秘書と一緒にテーブルにつくジョン。なにか企んでいる様子。
席に呼びつけたユンヒに家に戻るよう父親の命令を告げるが、あっさり拒否されてしまう。
裏手に戻ったユンヒは、アン・ミヒとジュヒの二人の先輩に心配して事情を聞かれるが、闇金融から借金したと嘘をつく。義侠心に燃えるアンに
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「じゅ、10億!?」 |
あんたに手出しはさせない、借金を立て替えてあげると言われて、咄嗟に借りたのは10億(1億円)だと口走ってしまう。あっけに取られるアンとジュヒ。
先輩たちの表情に気づき、慌てて「1億」と言い直すユンヒだが、それでも若い女の子が借りるには莫大すぎる金額。ますますアンたちは目を白黒(ユンヒのお嬢様ぶりがわかるエピソードですね(^^))。
そそくさと仕事に戻るユンヒ。呆然と互いに見交わすアンとジュヒ。
さて、料理の皿に髪の毛が入っていた、ステーキが硬すぎると何度も因縁をつけるジョン。料理長は
そのたび料理を作り直す。それでもまだイチャモンをつけるジョンに冷静に対応する料理長。部下には厳しいが、お客様にはとことん礼を尽くして臨む姿はさすがプロ。
それでも納得せず、というか、もともと揉め事を起こすのが目的で来ているジョンは、ついに料理長の顔にグラスの水を浴びせかける。
顔色ひとつ変えず、他の料理を提案する料理長にユンヒが歩み出る。
「その必要はありません。料理長」
あなた方に出す料理はないと言い放つユンヒに、ジョンは「お嬢さんは水でも注いでり
ゃいいんだ」
答える代わりにピッチャーの水をジョンの顔面に浴びせるユンヒ。
「クリーニング代は父からもらって」
思惑通りに揉め事を起こす口実が出来たジョンはテーブルを引っくり返し、喧嘩っ早いイ・ガプス主任がコック帽を脱ぎ捨てて飛び込んで来るや、他の従業員たちも巻き込んで、殴り合いの大騒動が始まってしまう。
フロントにいたジニョンのもとにも連絡が入り、新人の女の子が連れて行かれそうだという言葉を聞いて、ヨンジェは血相変えて騒動の真っ只中に飛び込んでゆく。飛び蹴りヨンジェ、かっこいい♪
そして、総支配人室の椅子で仮眠を取っていたテジュンに知らせが届いたのは、騒動が治まった後だった(なんでやねん)。
社長室で思案に暮れるユン社長。相手が和解に応じない、その理由がわからないのだった。このままだと従業員たちはみんな刑務所送りになってしまう。テジュンはジニョンに当直を頼み、警察署へ向かうことに。
警察署ではジョンたちが警官たちと談笑している。その様子を見て先行きに不安を覚えるイ・ガプス主任。この喧嘩はどうも裏があるようだ。
実は前科があって……と料理長に切り出すイ主任。素手による喧嘩で前科というほどの罪ではないのだが、彼は手を出さなかったことにしておけという料理長の計らいに神妙にうなずく仲間たち。ここで後輩の料理人が「主任って前科者だったんだ!」と無邪気に驚くのが面白い。
臨時休業になったレストランでオ支配人とユ・チーム長にこってりしぼられているユンヒ。総支配人のコネなど通用しないと恫喝するオ支配人だが、そこへテジュンが現れ、罰則を科すなら正当な手続きを踏むべきだと主張する。
言い争ううちにユンヒとの関係を邪推するオ支配人の胸倉を思わず掴むテジュン。いたたまれず涙ぐんで立ち去るユンヒ。
テジュン「よく聞け。おまえこそ辞めさせる理由ならトラック一杯ある。それをしないのは前社長が―――」
オ支配人「俺の叔父が建てたホテルだ。おまえはただの雇われ支配人だ」
冷たく見据えるオ支配人。テジュンは手を放し、ひとつ息をつくとその場を離れる。
がーん; そうだったのね。オ支配人がソウルホテルで大きな顔をしていたのは、亡くなったチェ社長の甥だったからなのね。彼もベルボーイから始めて17年務めて副総支配人になっています。身内でも甘やかさないのはさすがとはいえ、息子のヨンジェといい、チェ社長は職業人を育てるのはあまりうまくなかったみたいですね(^^;) 人が善すぎたのかしら。
女子ロッカーに戻ってきたユンヒをアンとジュヒが心配して待ち構えている。そこへ少し遅れてジニョンがすごい剣幕でやってくる。
オ支配人やユ・チーム長にしぼられた挙句、ジニョンにまで叱られているユンヒに同情して、アンが口を挟むが、ジニョンに外に追いやられてしまう。
テジュンがユンヒをヴィラに滞在させ、就職の世話まで焼いたことを知り、怒りに燃えるジニョン。ソ支配人はホテルで働けるのに私はいけないのか、ソ支配人はテジュンさんに関わってもいいのに私は関わってはいけないのかと挑戦的に言い放つユンヒ。テジュンを恋人のように馴れ馴れしく「さん」づけで呼ぶユンヒにますます怒りをたぎらせるジニョン。
さらに、「個人的な事情は言えない。この問題は自分が解決するがその方法は言えない」と、木で鼻をくくるようなユンヒの言葉に、呆れて「オモ」しか言えないジニョンだった。
女子ロッカー室の前にやってくるテジュン。中から憤然と出てきたジニョンに歩きながらユンヒの様子を心配して尋ねるが、「元気すぎてこっちが参るわよ!」と言い返される。
カッカしているジニョンをとうとう従業員用の階段の壁に押しつけ、「俺の話を聞けよ!」と怒鳴るテジュン。
気持ちを鎮めるように壁にもたれると、「俺はスーパーマンじゃない。疲れ切ってるさ」と語り始める。
従業員の給料が危ない上、工事の日程も遅れている。右腕になるはずのオ・ヒョンマンは俺を陥れることしか考えていない。その上、左腕になるソ・ジニョンまでこの調子じゃ、俺はどうすればいい?
ソウルホテルを愛するなら、個人的な感情は捨ててくれ。頼む――――
そうまで言われたら頭に血が昇っていたジニョンも素直にうなずくしかない。テジュンが弱音を吐ける相手はジニョンだけなのね。
二人でロビーまで歩いてくると、そこにドンヒョクの姿が。ビジネスセンターを使いにきたという。使用できる時間が過ぎているので……と断りかけるジニョンを制し、保安課に連絡してソ支配人が案内してくれと指示するテジュン。
いくら仕事とはいえ、恋敵に塩を送るとは……だからあなたは甘いのよハン・テジュン!(笑)
ビジネスセンターにて。書類をコピーして国際電話をかけたいと言うドンヒョク。そんなの部屋でも出来るでしょーが。レオに秘密にしておきたいことだったのだろうか。いや、絶対ジニョンに会う口実だよね~(笑)
「いつも忙しいんですね」と言うドンヒョク。
「今日は特別です。ちょっとトラブルがあって」と答えるジニョンに、
ドンヒョク「結婚してもこれじゃ疲れますね」
ジニョン「そう……ですね」
いやぁ~ん(≧∇≦) 思わせぶりな言葉~。もう手を替え品を替えプッシュプッシュですね~♪ ジニョン、このシアワセもの~!!
ブライアンに国際電話をかけるドンヒョク。「彼が韓国に?」と顔色を変える。なにやら重大なことが起きた様子。それにしてもジニョンに聞かれてもいいのでしょうか。普通こういうときって、従業員は席を外すものじゃ?(^^;)
次にレオに電話をかけ、「エリックのことをなぜ黙っていた?」と問い詰めるドンヒョク。
韓国に
来ている人物とはエリックだったのね。どうやら何もせずに手をこまねいているボスに業を煮やしたレオが勝手に事を運んだ様子。
「おまえの雇い主はエリックか!? それとも奴からコミッションでももらっているのか!?」
会議の資料を何千ページになろうが明日までに作れとレオを怒鳴りつけると、ドンヒョクは電話を叩き切る。初めて見るドンヒョクの冷徹な一面に驚くジニョン。
我に返ったドンヒョクはジニョンがいたことに気づき、大声を出してすみませんと謝る。
ジニョン「仕事のときは変わるんですね」
ドンヒョク「狩人だから」
かっこええ~! こんなキザなセリフがピタリと決まる人はそうそういないと思いませんか。惚れ直すなあ。サランヘヨ~(^・^)Chu♪
会議室に明日の朝の予約を入れるドンヒョク。叱られないようにちゃんと予約しておきますと先生に答える生徒のようにかしこまるジニョン。ドンヒョクは思わずくつろいだ笑いをもらす。
そんなラブラブな二人とは裏腹に、苦労を一人でしょいこんでいるハン・テジュン(;^_^A 警察署に到着です。
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韓国のピーボくん? |
バックの脳天気な絵が気になる |
しおれている従業員たちに差し入れの袋を渡す。第8話でジニョンに渡した差し入れも黒い袋だったなあ。日本みたいに白いスーパーの袋は使わないんだろうか。この袋に入っているのは、ノベライズによると海苔巻だそうです。
なかなか簡単にはいかないだろうと懸念を表す料理長。「私の経験では……」とイ主任が切り出すと、すかさず「前科があるんですよ」と口を挟む料理人。この呼吸、おもしろいなあ(^▽^)
「ヒョン(兄さん)、絶対に引かないでくれ。あいつらの言いなりになっちゃダメだ」と言うヨンジェの声を背中に、テジュンはキム会長の部下と談笑している警官の方へ。
DVDでは字幕が出ていませんが、この背景ではヨンジェの言葉を受けてイ主任たちの会話が続いています。シナリオ本から拾ってみると、
イ主任「おい、ヨンジェ。おまえな、とにかくここを出ることが先決だ。ずっといたら……」
料理人「前科2犯になりますね」
イ主任「だから言うなって」
喧嘩両成敗だから穏便にと申し出るテジュンに、担当官は全治6週間でしかも集団暴力、相手はお客様だと厳しい方向へ話を持っていこうとする。テジュンはジョンと二人きりで話をつけることに。
和解せずにゴネているのは大金を巻き上げるのが目的だと踏んでいたテジュンは、キム会長の一人娘であるユンヒを辞めさせるために起こした騒動だという彼らの真の目的を聞いて驚く。
理由もなく解雇など出来ないとテジュンは突っぱねるが、このままだと従業員たちは6ヶ月の刑務所暮らしになると聞いて苦悩する。
そこへ現れるユンヒ。警察署の外のベンチで話す二人。他に手はない。戻るしかなさそうですねと力なくつぶやく彼女に、テジュンはどうしてやることもできない。己の力のなさを痛感するテジュン。
ようやく解放されて厨房でハウスキーパーたちから豆腐をもらって食べる従業員たち(韓国では心を清めるために出所したら豆腐を食べる習慣がある)。
前のときも豆腐を食べたんですかと余計なことを言って、イ主任に豆腐を顔になすりつけられる料理人。
ヨンジェにだけ水を持ってきてやるジェニー。う~ん、あからさま(笑)
社長やジニョン、イ支配人たちがやって来て、みんなで無事を喜び合う。
パールヴィラの前。土砂降りの雨の中、車の脇に佇むジョン。離れたところで傘もささずに立ちつくすテジュンを勝ち誇ったように見ている。
ヴィラの中ではキム秘書に付き添われてユンヒが荷物をまとめている。名残惜しげに制服を見つめるユンヒ。
ポケットからテジュンにもらった金色のクラムスクープが顔を出している。
外へ出てきたユンヒは車に乗り込む寸前に踵を返し、テジュンに駆け寄りしがみつく。
「私、戻ってきてもいいですか?……いいと言ってください」
涙声のユンヒにテジュンはうなずいて言う。
「ああ、戻っておいで。必ず」
あふれる想いがユンヒの唇からこぼれ落ちる。
「好きです」
力づけるようにうなずくテジュンに泣き笑いの顔を見せながら、ユンヒは車に乗り込む。
やがて、彼女の乗った車はテジュンの視界から消えていってしまう。
駆けつけるヨンジェ。ユンヒがクビになったことを聞きつけて飛んできたのだった。
だが、まだ彼は事の真相を知らない。ユンヒがキム会長の一人娘だということを知らない。それゆえ、ホテルを守るためにテジュンがユンヒを切り捨てたと思い込んでいる。
社員一人もかばえないのか、こんなのは卑怯だとやり場のない怒りをぶつけるヨンジェ。テジュンは何も言えずに雨の中を去ってゆくしかないのだった。
さて、第11話はホテリアー屈指の名場面登場! 情熱的に迫るドンヒョクの魅力爆発の回です。ペ・ヨンジュンファンなら、これを見ずに死ねるか!?(笑) ご期待ください。 |